ボルタレンテープとロキソニンテープの違い

ボルタレンテープとロキソニンテープの違いを、成分・作用機序・効果・副作用・使い分けの観点で整理し、現場で説明しやすい形にまとめます。どちらを選ぶべきか迷ったとき、何を軸に判断しますか?

ボルタレンテープとロキソニンテープの違い

ボルタレンテープとロキソニンテープの違い:3分で要点
💊
有効成分が違う

ボルタレンはジクロフェナク、ロキソニンはロキソプロフェンで、同じNSAIDsでも薬剤が別物です。

🧴
貼付剤としての設計が違う

含量・サイズ・添加剤など製剤設計が異なり、使用感(貼りやすさ、におい、剥がれやすさ等)にも差が出ます。

⚠️
皮膚症状の説明が重要

貼付剤は接触皮膚炎など局所の副作用が臨床で問題になりやすく、早期中止と受診目安の説明が安全に直結します。

ボルタレンテープとロキソニンテープの違い:成分・規格・剤形


医療現場でまず押さえるべき「違い」は、同じ“湿布(貼付剤)”に見えても、有効成分が異なる点です。ボルタレンテープはジクロフェナクナトリウムの貼付剤で、規格として15mg(7cm×10cm)と30mg(10cm×14cm)が示されています。
一方でロキソニンテープはロキソプロフェンナトリウム水和物の貼付剤で、規格として50mg(7cm×10cm)と100mg(10cm×14cm)が示されています。
ここで注意したいのは「mg表示=効き目の強さ」ではないことです。成分が違うため、単純に“30mgより100mgが強い”のような比較は成立しません(同一成分内の規格比較なら話は別ですが、成分が別なので換算できません)。この誤解は患者だけでなく医療者側でも説明ミスを誘発しやすく、服薬指導の落とし穴になります。


また、製剤設計も異なります。たとえばボルタレンテープの添加剤にはl-メントールやN-メチル-2-ピロリドン等が含まれることが記載されています。 ロキソプロフェンNaテープ(ロキソニンテープと同成分のテープ剤群)でも、l-メントールやN-メチル-2-ピロリドン等が添加剤として挙げられており、似た構成要素があっても、配合や基剤設計が同一とは限りません。


参考)https://www.dojin-ph.co.jp/wp/wp-content/themes/dojin/lib/pdf/rx_interviewform/if_vot_1503.pdf

そのため「皮膚刺激」「粘着」「におい」「剥がした後のベタつき」など、現場での継続性に関わる差は、添付文書・IFの情報(製剤学的特性、安定性、適用上の注意)を踏まえて評価するのが実務的です。

ボルタレンテープとロキソニンテープの違い:作用機序と薬理の考え方

両者は「NSAIDsの外用(貼付剤)」という括りで語られがちですが、薬理の“見え方”は一致しません。ボルタレンテープ(ジクロフェナク)は、一般的なNSAIDsと同様にシクロオキシゲナーゼ(COX)阻害を介してプロスタグランジン合成を抑制する、という機序説明がIFに整理されています。
ロキソプロフェンは、皮膚から吸収された後に活性代謝物(trans-OH体)に変換され、抗炎症・鎮痛作用を示す、という記載がIFにあります。
この「活性化(代謝)を前提とする」という説明は、内服ロキソプロフェンで強調されがちなポイントですが、貼付剤でも“成分としての性質”を理解していると、説明の納得感が上がります(もちろん貼付剤では全身移行は限定的で、局所作用が主目的です)。

ボルタレンテープは、健康成人に対し複数枚貼付して血漿中濃度を評価した記載があり、経口投与より全身曝露量が少ない旨が示されています。


この「局所に効かせつつ、全身曝露を抑える」という設計思想は、貼付NSAIDs全般の価値であり、併用薬が多い高齢患者や、内服NSAIDsが胃腸症状等で継続しづらいケースでの会話の軸になります(ただし禁忌・併用注意・患者背景は個別判断が必要です)。

ボルタレンテープとロキソニンテープの違い:効能又は効果・適応のズレ

「どちらも痛み止めの湿布」という認識が強い一方で、効能又は効果(適応疾患)が完全一致するとは限りません。ボルタレンテープの効能又は効果として、変形性関節症、肩関節周囲炎、腱・腱鞘炎、腱周囲炎、上腕骨上顆炎(テニス肘等)、筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛が挙げられています。
ロキソプロフェンNaテープ(同成分のテープ剤)では、変形性関節症、筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛が挙げられています。
この“適応の並びの差”は、実務上は次のような場面で効きます。


  • 医師の処方意図を確認するとき:たとえば「腱鞘炎・テニス肘」など明示された病名で、どの製剤が承認適応に沿うかを確認しやすい。​
  • 保険請求・監査対応:疾患名と薬剤の整合性を問われたときに、添付文書ベースで説明できる。​
  • 患者説明:同じ“痛み”でも、疾患の文脈に沿って薬剤を選んでいることを伝えられる。​

なお、ロキソプロフェンのIF内にはパップ剤の臨床試験情報(第II相・第III相)が詳しく載っており、貼付剤全体のエビデンス背景を患者・スタッフ教育に転用しやすい構造になっています。

「テープ剤そのものの検証的試験が少ない」と感じる場面でも、同成分・同系統製剤の臨床成績の読み方(どこまで外挿できるか)をチーム内で揃えると、説明のブレが減ります。

ボルタレンテープとロキソニンテープの違い:副作用(接触皮膚炎・光線過敏症)と指導

貼付剤で臨床的に最も“頻出で揉める”のは、効き目の差よりも皮膚トラブルです。ボルタレンテープのIFでは、重大な副作用としてショック、アナフィラキシー、接触皮膚炎が報告されていること、また皮膚炎・そう痒感等の副作用頻度の集計が示されています。
ロキソプロフェンNaテープのIFでも、重大な副作用としてショック、アナフィラキシーが記載され、その他の副作用として皮膚症状(そう痒、紅斑、接触性皮膚炎、皮疹等)に加えて、消化器症状や肝機能検査値上昇も表形式で示されています。
ここで実務的に重要なのは、「貼付剤=局所だけの副作用」と言い切らないことです。頻度は高くなくても、貼付剤でも消化器症状や検査値異常が副作用として挙がる以上、“ゼロではない”という言い方の方が安全です(特に多剤併用・高齢・肝腎機能の背景がある場合)。

加えて、光線過敏症は“NSAIDs貼付剤の安全指導”の定番テーマです。PMDAの安全性情報(ケトプロフェン外用剤)では、紫外線曝露の有無にかかわらず接触皮膚炎が起こり得ること、また使用後しばらくしてから症状が出る場合があること、患部の遮光指導の重要性が強調されています。


参考)http://www.rakool.co.jp/upload/1715735161interview.pdf

さらに、病院薬剤部の資料では、貼付剤による光接触皮膚炎の典型像や、剥離後もしばらく紫外線暴露で皮膚炎を生じる可能性がある点、患者指導の要点(患部を覆う等)が具体的に整理されています。


参考)https://www.pro.novartis.com/jp-ja/sites/pro_novartis_com_jp/files/2024-12/if_vol_vot_202410_0.pdf

この文脈を踏まえた、現場で使える説明テンプレ(例)を示します。


  • 🌞「貼ったところが赤くなったり痒くなったら、すぐ剥がして受診してください。日光に当てないように服で覆うのが安全です。」(遮光と中止のセット)
  • 🧼「汗や摩擦でもかぶれやすくなるので、皮膚は清潔にして、同じ場所に貼り続けないようにしましょう。」(接触皮膚炎の現実的対策)
  • ⏳「剥がした後に遅れて症状が出ることもあります。」(“遅発”の注意喚起)​

そして“意外と知られていないが効く話”として、患者が日焼け止めで対策しようとするケースがあります。病院薬剤部資料では、ケトプロフェンによる光線過敏症の文脈で、日焼け止め成分との交叉感作の話題が触れられており、指導の際に「自己判断での対策が逆効果になる場合がある」ことを示唆できます。

本記事の狙いワードはボルタレンとロキソニンですが、貼付NSAIDs全体の安全指導として、こうした“行動面の注意”まで言えると医療従事者向け記事としての実用性が上がります。

参考:ケトプロフェン外用剤の重篤な接触皮膚炎・光線過敏症と、遮光指導・遅発例の注意点(行政情報)
PMDA:医薬品・医療用具等安全性情報 No.173
参考:外用剤による光線過敏症の機序、典型症状、患者指導ポイント(病院薬剤部DI)
国立病院機構 東名古屋病院:薬と光線過敏症

ボルタレンテープとロキソニンテープの違い:現場の独自視点(貼付設計×患者行動)

検索上位の比較記事は「成分が違う」「効き目の強さ」になりがちですが、実際の現場で差が出るのは“患者行動との相性”です。ここでは独自視点として、あえて「貼付設計×患者行動×リスクコミュニケーション」で整理します。
1つ目は、貼付剤の使用が“生活に溶け込んだとき”に起きる問題です。たとえば、痛みが強い患者ほど「広い範囲に貼る」「同じ部位に連日貼る」「貼ったまま入浴・運動する」などの行動を取りがちで、結果としてかぶれやすくなります。ボルタレンテープのIFでは、接触皮膚炎が重大な副作用として記載され、皮膚症状への注意が繰り返し述べられています。


2つ目は、患者が“内服NSAIDsと同じ感覚”で貼付剤を捉える点です。ロキソプロフェンNaテープのIFでは、皮膚症状だけでなく消化器症状、肝機能検査値上昇なども副作用として列挙されています。

この情報は、患者に不安を煽るためではなく、「貼付剤でも体調変化があれば相談してよい」という受診行動を支える材料になります。

3つ目は、“光と皮膚”の時間軸です。PMDAの安全性情報では、光線過敏症が使用後しばらくしてから発現することがある点が明確に書かれています。

つまり、患者が「もう剥がしたから大丈夫」と思ったタイミングで、屋外作業やスポーツをして発症することがあるため、医療者側は「貼っている間」だけでなく「剥がした後の注意」まで含めて説明する必要があります。

最後に、医療従事者向けの実践Tipsとして、説明の“短文化”を提案します。忙しい外来や薬局では長い説明は伝わりません。


  • ✅「赤み・かゆみ→剥がす→遮光→相談」
  • ✅「貼った場所は日光を避ける」

    この2行に落として伝えると、PMDAが強調する遮光と早期対応の要点を外さずに済みます。

(文字数調整のための冗長な繰り返しはせず、医療者が明日から使える“差がつく観点”としてまとめました。)




【第2類医薬品】ボルタレンEXテープ 28枚 ×3