光線過敏症では、日光が当たった露光部に特徴的な皮膚症状が現れます。健康な方では問題にならない程度の日光でも、過敏に反応して皮膚に炎症が起きる状態を指します。主な症状には、皮膚の紅斑(赤み)、かゆみを伴う発疹、丘疹(ブツブツ)、水疱、皮膚の腫脹などがあります。mt-pharma+3
通常の日焼けとの大きな違いは、反応が起きる光線量の少なさです。重度の場合、屋内で窓から差し込む日光を浴びるだけで反応してしまうケースもあります。露光部とは顔面、首、上胸部のV字領域、腕など日光が直接当たる部分を指し、これらの部位に限局して症状が現れることが診断の重要なポイントとなります。kenko.sawai+2
症状の程度は個人差が大きく、軽度の紅斑から、痛みを伴う水疱形成、さらには皮膚の変色(褐色や青灰色)まで多岐にわたります。また、皮膚症状が広範囲に及ぶ場合、頭痛や吐き気、めまい、喘鳴などの全身症状が現れることもあります。medicalnote+2
光線過敏症は症状の特徴によっていくつかのタイプに分類されます。日光蕁麻疹では、日光を浴びてから数分程度で蕁麻疹のような大きくて赤い、かゆみを伴う発疹が現れます。この症状は数分から数時間以内に消失することが多いですが、長期間続くこともあります。日光蕁麻疹は多形日光疹と比較すると症状出現までの時間が短く、日陰に入るなど日光を避けることで速やかに症状が消失するという特徴があります。urawa-hifuka+1
光毒性光線過敏症では、日光を浴びた皮膚に痛み、発赤、炎症、皮膚の変色などの日焼けと似た症状が現れます。通常、日光を浴びてから数時間以内に発生し、光線過敏症の原因となる薬剤や化合物を服用したり、皮膚に塗ったりした後に起こることがあります。光毒性は薬の成分が紫外線と反応して有害物質を作り、それが皮膚細胞を傷つけることで起こります。etouhp+1
光アレルギー性光線過敏症では、特定の薬剤や化学物質に接触した後に日光を浴びることでアレルギー反応が起こります。日光を浴びた後に発赤や鱗屑(うろこ状のくず)、かゆみ、蕁麻疹に似た水疱や斑点などが現れます。このタイプでは、日光を浴びていない部位にも症状が現れることがあり、日光を浴びてから24~72時間以内に発生することが多いです。medicalnote
多形日光疹は、日光過敏症の中でも頻度の高い疾患であり、10代から30代の女性に多くみられます。日光(紫外線)に当たった後、腕や胸元などにかゆみを伴う赤み(紅斑)やブツブツ(丘疹)がみられることが特徴です。通常は日光に当たってから30分から数時間以内に出現しますが、翌日以降に遅れて発症することもあります。urawa-hifuka
日光にさらされた部分の皮膚が赤く盛り上がったり、「局面」と呼ばれる不均一な形の赤い発疹が複数箇所生じたりします。かゆみを伴うことがあるほか、まれに水疱ができることもあります。顔に症状が出ることは比較的少ないとされています。medicalnote+1
興味深いことに、多形日光疹では「ハードニング現象」と呼ばれる特徴があります。これは、繰り返し日光に当たることで徐々に症状が弱まる現象で、夏を過ぎると自然に改善することもあります。皮膚症状は通常数日から長くても数週間以内に消失します。「日光アレルギー」や「紫外線アレルギー」とも称されることがありますが、実際には紫外線そのものではなく、紫外線によって体内でアレルギーの元となる物質(アレルゲン)が作られ、これに対してアレルギー反応を生じている状態です。medicalnote+1
薬剤性光線過敏症は大きく2つのタイプに分類されます。光接触皮膚炎は、軟膏や湿布薬などの外用剤を用いた部分に日光が当たって、水ぶくれや掻痒感等の皮膚症状が出現するものです。一方、光線過敏型薬疹は、内服薬を服用後に日光に当たった皮膚に広範囲に発疹が起こるタイプです。higashinagoya.hosp+1
特にケトプロフェンを含む湿布薬による光接触皮膚炎は報告数が多く、重要です。湿布薬をはがした後も皮膚にケトプロフェンが付着しており、腕や首など肌が露出する部分に貼ってはがした後に紫外線があたると、肌に残っていたケトプロフェンが原因でアレルギー反応を起こすことがあります。湿布薬と同じ四角い形の紅斑とその部位に水ぶくれが生じることが特徴的です。midori-hp+2
紫外線の中でも波長が長く、くもりの日や窓を通して届くUVAに反応するので、晴天以外の日や室内でも窓際にいるときは注意が必要です。一度光接触皮膚炎になると、水ぶくれが治まっても3カ月間は発症する可能性があるため、継続的な注意が必要です。薬剤性光線過敏症は原因薬剤の交差性が認められることがあり、既往がある人には同系統の薬でも発症リスクがあります。nakano-derma+1
慢性光線性皮膚炎は、露出した皮膚に湿疹性の発疹が頻繁に発生する光線過敏症で、赤みのあるごつごつした発疹ができます。強いかゆみがあり、皮膚が硬くなることが特徴で、高齢の男性に多い疾患です。重症化すると、わずかな光でも反応してしまう状態になります。yomiuri+1
この疾患では、炎症を起こした隆起である丘疹が現れ、中には紅皮症へ移行し、皮膚リンパ腫様の皮下結節や皮膚肥厚、獅子様顔貌にまで至る症例もあります。何らかの理由により、光線曝露によって内因性抗原が産生されるという仮説が提唱されています。skincancer+1
慢性光線性皮膚炎の中には、HIV感染や成人T細胞白血病/リンパ腫が関与するものもあることが報告されており、単なる光線過敏症としてではなく、全身状態の評価も重要となります。症状は顔面、首、上胸部のV字領域にほてりや発赤が見られることが多く、特に顔面の中央部、主に鼻、ほお、あご、額、眉間で症状が顕著になります。tokushima.med+1
光線過敏症の原因は大きく内因性と外因性に分類されます。外因性の光線過敏症には、口にした、あるいは肌に触れることによって体内に取り込んだ薬剤や食品などに含まれる物質が皮膚に運ばれ、そこに光線があたることで物質が変化し、皮膚の炎症を引き起こすタイプがあります。化粧品・植物成分・貼り薬や、口にした食品・薬剤などが原因となります。kateinoigaku+1
外因性の光線過敏症には、これらの物質に対する免疫反応を介して発症するもの(光アレルギー性)と、特殊な物質に日光が当たることによって直接肌にダメージを与えるもの(光毒性)があります。光毒性反応は、薬の成分が紫外線と反応して有害物質を作り、それが皮膚細胞を傷つけることで起こります。一方、光アレルギー性反応は、薬の代謝物が光に当たることで免疫反応を引き起こし、数日後にかゆみや湿疹が現れます。frontiersin+3
内因性の光線過敏症は、遺伝子の異常や代謝疾患、自己免疫疾患、ウイルス感染症、栄養素の欠乏などが原因で発症します。内因性光毒性反応の多くは遺伝的疾患や代謝疾患による光線過敏性皮膚症であり、メラニン色素やニコチン酸の減少、DNA修復欠損、ポルフィリン増加などがその原因と考えられています。皮膚ポルフィリン症、色素性乾皮症は遺伝子の異常が原因で、どちらも厚生労働省の指定難病となっています。municipal-hospital+1
光線過敏症の原因となる薬剤は数多く特定されており、抗菌薬(サルファ剤、テトラサイクリン系)、降圧薬(利尿剤など)、糖尿病薬、抗炎症薬、精神科の薬などがあります。特に消炎鎮痛成分の「ケトプロフェン」が含有されている湿布は報告数が多く、患者への指導が重要です。内服薬では、ベムラフェニブ(ゼルボラフ®)やピルフェニドン(ピレスパ®)でも光線過敏症の報告数が多くなっています。okayama-gmc+2
薬剤性光線過敏症の発症機序について詳しく解説した論文(光毒性と光アレルギー性の違い、原因薬剤、メカニズムを網羅的に記載)
光線過敏症の診断において最も重要なのは、病歴聴取と皮疹の性状・分布の確認です。光線曝露後の皮疹出現と露光部に限局する皮疹分布が光線過敏症を疑うポイントとなります。日光にさらされた皮膚の部分にのみ発疹が現れた場合は、光線過敏症を疑います。jstage.jst+1
光線過敏症を診断するための特別な検査法として、光線テストがあります。光線過敏試験とは、臨床的に光線過敏症が疑われた場合に、診断の確定、重症度の評価、原因となる光線の波長の決定、原因物質の特定を目的に行う検査です。実際に患者の背中に光線を当て、皮膚の反応をみます。kompas.hosp.keio
光線テストには以下の3種類があります:kpum-dermatology+1
📋 UVB照射試験:UVB(ultraviolet B:波長域280~320nm)に対する光線過敏の検査です。背中の検査部位にUVBを段階的に照射量を変えて数ヶ所に照射し、照射した24時間後に皮膚を観察します。kompas.hosp.keio
📋 UVA照射試験:UVA(ultraviolet A:波長域320~400nm)に対する光線過敏の検査です。照射した48時間および72時間後に皮膚を観察し、UVAに対する光線過敏があるかどうかを診断します。kompas.hosp.keio
📋 光パッチテスト:皮膚に塗ったものに光線が当たってかぶれが起こる光アレルギー性接触皮膚炎や、飲み薬の服用後に光線が当たって薬疹が起こる光線過敏症型薬疹の原因物質を特定する検査です。原因と思われる接触源や薬剤を背中の検査部位の各2ヶ所に密封して貼り、24時間後にそれをはがして片方にだけUVAを照射します。kompas.hosp.keio
光線照射テストでは、皮膚反応(紅斑、その他)を生じる光線量を測定することで光線過敏性の程度やどのような光線が皮膚症状をおこしているか判断します。薬剤による光線過敏が疑われる場合には、薬物を皮膚に貼って光を当てたり(光貼付試験)、内服して光を当てる(内服照射試験)ことで原因薬剤の診断の補助とします。kpum-dermatology
患者の病歴、皮膚の症状、病気、服用した薬剤、皮膚に塗った物質(薬剤や化粧品など)を詳しく調べると、光線過敏反応の種類や原因を特定するのに役立ちます。そのような反応が起きやすくなることが知られている病気(全身性エリテマトーデスなど)の可能性を否定するために、血液検査を行うこともあります。msdmanuals+1
慶應義塾大学病院による光線過敏試験の詳細な解説(検査の実際の手順と判定基準)
光線過敏症の治療において最も重要なのは遮光です。原因となる波長の光線を防御する日焼け止めを使用し、帽子、日傘、長そでの着衣などの生活の工夫を行います。UVカット効果のあるカーディガンや日傘、サングラス、つばの広い帽子などで紫外線から身を守ることが基本です。kmu+1
薬物や接触物質が原因の場合にはそれらの使用を中止します。薬剤性の光線過敏症が発症した場合には、まず原因となる薬剤を中止し、ステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬の内服(重症例ではステロイド薬の内服)などで対症療法を行いながら、厳重な遮光を行います。higashinagoya.hosp+1
薬物療法としては、抗アレルギー薬や免疫抑制薬の内服、ステロイドや免疫抑制薬の外用を行います。多形日光疹は通常何もしなくても数日で落ち着きますが、繰り返し日光に当たり治りにくくなっている場合や、かゆみなどの症状が辛い場合は、ステロイドの外用薬(塗り薬)で対応します。場合によっては抗ヒスタミン薬(抗アレルギー薬)の内服も使用することがあります。kmu+1
光接触皮膚炎の治療では、抗アレルギー剤やステロイド剤の内服、患部にステロイド軟こうを塗布して治療します。多形日光疹の患者や全身性エリテマトーデスによる光線過敏症のある患者の場合は、コルチコステロイドを塗布するか内服、またはヒドロキシクロロキンを内服したりといった治療が行われることもあります。sugamo-sengoku-hifu+1
早期に適切な処置ができれば、経過は概ね良好である場合が多いですが、光線過敏症であることに気付かず、紫外線暴露を継続してしまうと、重症化することがしばしばあります。症状が消えてからも、衣服やサポーターなどで紫外線から皮膚を守るようにし、数か月経過観察する必要があります。reiroukai+1
光線過敏症の予防には、直射日光を避けることが重要です。肌の露出を控え、物理的遮光を徹底することが基本となります。光過敏症を引き起こす物質を塗ったり薬を服用したりすることが避けられない場合は、反応を起こすリスクを抑えるための予防策があります。shionogi-hc+1
医療従事者として重要なのは、光線過敏症のリスクがある薬剤を処方する際の患者教育です。特にケトプロフェン含有湿布を処方する際は、使用後の遮光の重要性を説明する必要があります。湿布薬をはがした後も皮膚にケトプロフェンが付着しており、3カ月間は発症リスクが継続することを患者に伝えることが重要です。renatusclinic+2
紫外線に注意を要する薬剤としては、内服薬ではベムラフェニブ(ゼルボラフ®)やピルフェニドン(ピレスパ®)、外用薬ではケトプロフェン(モーラス®等)があり、これらの薬剤を処方する際は必ず患者への指導が必要です。また、薬剤性光線過敏症は原因薬剤の交差性が認められることがあり、既往がある患者には同系統の薬でも発症リスクがあることを理解しておく必要があります。midori-hp+1
光線過敏症が疑われるときは、医療機関を受診してできるだけ原因を特定し、適切に対処する必要があります。光線過敏症は原因不明で起きることもありますが、原因がはっきりしているものにはそれぞれ疾患名がつけられており、適切な診断と治療計画が必要です。症状が消失した後も、長そでやUVカット加工をしている衣服で物理的に遮光するなどして、紫外線から皮膚を守るようにすることが再発予防に重要です。mt-pharma+1
光線過敏症を疑った場合は、露光部に皮膚症状がみられる疾患との鑑別診断を行い、光線過敏症が確実な場合は露光を避ける指導をします。色素性乾皮症などの内因性疾患の可能性も考慮し、必要に応じて専門施設への紹介を検討することも医療従事者の重要な役割です。clinicalsup
一宮市立市民病院による光線過敏症の詳細な解説資料(内因性と外因性の分類、原因物質の一覧)
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