ロキソプロフェンによる胃腸障害は、NSAIDs特有の副作用として最も頻度が高く、発生頻度は1~5%と報告されています。主な症状として胃痛、胸やけ、腹痛、胃部不快感、吐き気・嘔吐、食欲不振などが挙げられます。
発生機序として、ロキソプロフェンがシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することで、胃粘膜を保護するプロスタグランジンの産生が抑制されます。これにより胃酸分泌の増加と胃粘膜防御機能の低下が生じ、短期間の使用でも胃潰瘍や十二指腸潰瘍に進展する可能性があります。
特に注意すべき危険な症状として、以下のRed flag signがあります。
ロキソプロフェンによる腎機能障害は、頻度は0.1%未満と低いものの、重篤な結果をもたらす可能性があります。発生機序として、腎臓におけるプロスタグランジン産生阻害により腎血流量が減少し、急性腎不全(AKI)を引き起こします。
特に以下の条件下でリスクが増大します。
症状として、尿量減少、むくみ、倦怠感などが認められ、重症化すると透析が必要となる場合もあります。腎機能が悪化した場合、血清クレアチニンが0.3 mg/dL以上上昇したら即座に中止を検討する必要があります。
ロキソプロフェンによるアレルギー反応は稀ですが、重篤な皮膚症状を呈することがあります。最も危険な症状として、中毒性表皮壊死融解症(TEN)や皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)があり、これらは緊急入院が必要な状態です。
初期症状として以下が認められます。
進行すると皮膚・粘膜が赤く腫れて発疹や水ぶくれが形成され、全身に拡大します。これらの症状が現れた場合は、即座に服用を中止し、専門医による治療が必要です。
また、アナフィラキシー様症状として血圧低下、喉頭浮腫なども報告されており、ショック状態に陥る可能性があります。
ロキソプロフェンによる間質性肺炎は非常に稀な副作用ですが、報告例が存在します。71歳女性の症例では、発熱に対してロキソプロフェンを使用後、呼吸困難と両側下肺野の細かい水泡音が認められ、胸部CTで両側下葉に浸潤影が確認されました。
症状として以下が挙げられます。
その他の稀な重篤副作用として。
これらの症状は生命に関わる可能性があるため、異常を認めた場合は直ちに使用を中止し、専門的な治療を要します。
ロキソプロフェンの副作用を予防するためには、適切な使用方法と定期的なモニタリングが重要です。
基本的な予防策
定期的なモニタリング項目
長期使用時(3~6ヶ月ごと)。
高リスク患者での注意点
中止を要する症状