大腸癌とは症状から予防まで完全ガイド

大腸癌は日本人の癌罹患数第1位となる深刻な疾患です。症状、原因、診断、治療法から予防法まで網羅的に解説し、早期発見の重要性についてもお伝えします。あなたや家族の健康を守るために、どのような対策が必要でしょうか?

大腸癌の基本知識

大腸癌の基本情報
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疾患概要

大腸(結腸・直腸)に発生する癌で、日本人では罹患数第1位

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発生部位

S状結腸と直腸に多く発生し、腺腫から癌化する場合が多い

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転移特性

リンパ節転移や肝臓・肺への遠隔転移を起こしやすい

大腸癌は、大腸(結腸・直腸)に発生する癌で、日本人では癌の罹患数第1位となっている重要な疾患です 。年間約15万人が新たに診断されており、早期発見と適切な治療により多くの場合で完治が可能とされています 。
参考)https://www.jcancer.jp/about_cancer_and_knowledge/%E5%A4%A7%E8%85%B8%E3%81%8C%E3%82%93%E3%81%AE%E5%9F%BA%E7%A4%8E%E7%9F%A5%E8%AD%98

 

大腸癌は主にS状結腸と直腸に発生しやすく、腺腫という良性腫瘍から癌化するものと、正常な粘膜から直接発生するものがあります 。大腸の粘膜から発生し、徐々に大腸壁に深く侵入していき、進行すると隣接臓器への浸潤や腹膜播種、リンパ節転移、肝臓や肺への遠隔転移を起こします 。
参考)https://ganjoho.jp/public/cancer/colon/about.html

 

病理組織学的には、大腸癌の多くは腺癌で、乳頭腺癌、管状腺癌、低分化腺癌、粘液癌、印環細胞癌、髄様癌に分類されます 。この分類は治療方針や予後の判定に重要な意味を持っています。

大腸癌の症状と早期発見の重要性

大腸癌の代表的な症状には、血便、排便習慣の変化(便秘、下痢)、便の狭小化、残便感、貧血、腹痛、嘔吐などがあります 。しかし、早期癌は2センチ以下の小さな癌がほとんどで、症状がないことが多く、肛門出血に気づいて検査を受けるか、大腸癌検診で発見されるケースが増えています 。
参考)https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/clinic/colorectal_surgery/150/index.html

 

結腸癌では部位により症状が異なり、盲腸と上行結腸の癌は腸の内径が太く便通異常が起こりにくいため、発見しにくい傾向があります 。発見時には癌が大きくなり、腹部腫瘤や貧血による全身倦怠感で気づくこともあります 。
参考)https://www.onaka-kenko.com/various-illnesses/large-intestine/large-intestine-cancer/01.html

 

下行結腸やS状結腸では癌により内腔が狭くなると、便が通過しにくくなり便秘と間歇的な下痢などの便通異常が見られます 。肛門に近い部位のため血便で発見しやすくなる特徴があります 。

大腸癌の原因とリスク因子

大腸癌のリスクを高める生活習慣として、加工肉(ハム、ソーセージなど)の摂取、飲酒、肥満、糖尿病、高身長、喫煙が挙げられます 。特に加工肉に使用される発色剤の亜硝酸ナトリウムや硝酸ナトリウムは発癌性物質とされており、過剰摂取は大腸癌のリスクになる可能性があります 。
参考)https://www.senju-ge.jp/media/colorectal-cancer-risk

 

飲酒については、日本人では1日アルコール15g以上の摂取で大腸癌のリスクが上昇し、男性の大腸癌患者の25%が1日23g以上のアルコール摂取をしていたことが報告されています 。喫煙により大腸癌のリスクが20~40%上昇し、たばこの煙に含まれる多くの発癌性物質が影響します 。
参考)https://hiki-clinic.or.jp/column/cancer/colon-cancer-and-diet/

 

肥満も重要なリスク因子で、特に男性は女性よりも肥満の影響を受けやすく、BMIが25以上で大腸癌のリスクが高まるとされています 。糖尿病患者も大腸癌のリスクが上昇し、食生活の乱れや肥満などの複合的な要因が関与していると考えられています 。

大腸癌のステージ分類とTNM分類

大腸癌のステージ(病期)は、癌の広がり具合を4段階(ステージ1~4)に分けたもので、TNM分類(腫瘍の大きさ・リンパ節転移・遠隔転移)により決定されます 。
参考)https://www.ginzaphoenix.com/post/colon-cancer-stages

 

TNM分類において、T(腫瘍)は癌が大腸壁のどこまで広がっているかを示し、Tis(上皮内癌)からT4b(他臓器・構造物への浸潤)まで分類されます 。N(リンパ節)は近くのリンパ節への転移の有無と個数を示し、N0(転移なし)からN3(主幹動脈根部リンパ節転移)まで分類されます 。M(遠隔転移)は肝臓や肺など他の臓器への転移の有無を示します 。
参考)https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/multimedia/table/%E5%A4%A7%E8%85%B8%E7%99%8C%E3%81%AE%E7%97%85%E6%9C%9F%E5%88%86%E9%A1%9E

 

ステージ0は上皮内癌(Tis N0 M0)、ステージIは粘膜下層または固有筋層までの浸潤でリンパ節転移なし(T1-T2 N0 M0)、ステージIIは漿膜下組織までの浸潤または隣接臓器浸潤でリンパ節転移なし(T3-T4 N0 M0)、ステージIIIはリンパ節転移あり(Any T Any N M0)、ステージIVは遠隔転移あり(Any T Any N M1)となります 。

大腸癌の治療法と内視鏡治療

大腸癌の治療には、内視鏡治療、手術、薬物療法、免疫療法、放射線治療があります 。ステージ0~2では内視鏡治療と手術が中心となり、ステージ3では手術と薬物療法の組み合わせが標準治療となります 。
参考)https://ganjoho.jp/public/cancer/colon/index.html

 

内視鏡治療は、肛門から入れた大腸内視鏡を使って癌を切除する治療法で、癌が粘膜内または粘膜下層の浅い部分にとどまり、無理なく1回で切除できる大きさのものに適応されます 。ポリペクトミーや内視鏡的粘膜切除術(EMR)、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)などの方法があり、多くの場合、日帰りまたは短期間の入院で実施されます 。
参考)https://p.ono-oncology.jp/cancers/crc/05/01_endoscopic/01.html

 

手術療法では開腹手術や腹腔鏡下手術が行われ、現在ではロボット支援による腹腔鏡下手術も保険適用となっています 。術後の病理検査でリンパ節転移が確認された場合は、再発予防のため術後補助化学療法が推奨されます 。

大腸癌の予防と早期発見

大腸癌の予防には、運動習慣、食物繊維の摂取、カルシウムの摂取が効果的とされています 。適度な運動は大腸癌の予防に効果的であることがほぼ確実とされており、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動で約24%のリスク低下が期待できます 。
参考)https://ganjoho.jp/public/cancer/colon/prevention_screening.html

 

食物繊維は大腸癌の予防効果が確認されており、1日10g程度の摂取でリスク低下効果が認められます 。カルシウムの摂取も大腸癌予防に効果的である可能性があり、牛乳・乳製品の摂取が推奨されています 。
参考)https://shinagawa-ganweb.jp/article/2021093000034/

 

早期発見のためには、便潜血検査による大腸癌検診が重要で、早期発見と死亡率の減少に有効であることが証明されています 。40歳を過ぎたら年1回の便潜血検査を受け、陽性の場合は必ず精密検査(大腸内視鏡検査)を受診することが推奨されます 。
参考)https://nidc.or.jp/column/colon-cancer-earlydetection/

 

遺伝的要因として、家族性大腸腺腫症やリンチ症候群などの遺伝性大腸癌があり、全大腸癌の5%程度を占めます 。家族歴のある方は早めの検査や遺伝カウンセリングの受診を検討することが重要です 。
参考)https://www.coloproctology.gr.jp/modules/citizen/index.php?content_id=38