エビリファイ(アリピプラゾール)の最も特徴的な副作用は**アカシジア(静座不能症)**です。この症状は患者にとって非常につらく、身体の内側から湧き上がる不快感により「じっとしていることができない」状態を指します。
アカシジアの具体的な症状。
この副作用は服用初期に現れやすく、**頻度は46.3%**と非常に高い発現率を示しています。ドパミン受容体への作用が原因とされており、患者のQOLに深刻な影響を与える可能性があります。
エビリファイでは錐体外路症状として以下のような副作用が報告されています:
振戦(手足の震え)
流涎(よだれが出る)
ジストニア(筋緊張異常)
これらの症状は抗コリン薬による治療や用量調整により改善する場合があります。
エビリファイは睡眠に関して相反する副作用を示すことが特徴的です。
不眠症状
傾眠症状
興味深いことに、エビリファイは他の抗精神病薬と比較して鎮静作用が弱いとされていますが、個人差により傾眠が現れる患者も少なくありません。
消化器症状
代謝系の変化
体重増加については、食欲増進による二次的な影響と考えられており、食事指導と運動療法が重要な対策となります。
また、エビリファイは他の非定型抗精神病薬と比較して代謝系への影響が比較的軽微とされていますが、定期的なモニタリングは必要です。
エビリファイ使用時に注意すべき重篤な副作用として以下が挙げられます:
悪性症候群(頻度:0.1%)
遅発性ジスキネジア(頻度:0.1%)
麻痺性イレウス(頻度:0.1%)
糖尿病関連合併症
これらの重篤な副作用は早期発見・早期対応が患者の予後を大きく左右するため、医療従事者による継続的な観察と患者・家族への教育が極めて重要です。
定期的な血液検査、バイタルサインのモニタリング、症状の詳細な聴取により、重篤な副作用の兆候を見逃さないよう注意深い経過観察を行う必要があります。