不穏時とは 看護 せん妄 原因 対応 予防

不穏時とは何かを看護の視点で整理し、せん妄との違い、原因の見立て、現場での対応と予防、拘束の判断までを実践に落とし込みます。あなたの現場の「不穏」は何が引き金になっていませんか?

不穏時とは 看護

不穏時の看護で最初に押さえること
🧭
「状態」を言語化する

不穏は病名ではなく、行動が過剰で落ち着かない“状態”です。まず「何が起きているか」を観察と言葉で揃えます。

🔍
原因は身体・薬・環境にある

痛み、呼吸苦、不安、薬剤、環境変化など複数の要因が重なりやすいので、ひとつに決め打ちしないのがコツです。

🛡️
安全と尊厳を同時に守る

転倒・自己抜去などのリスクは下げつつ、身体拘束に安易に寄らないケア設計(環境調整・見守り・苦痛緩和)を優先します。

不穏時とは 看護 せん妄 違い


不穏は、医療現場で「過剰な動き」「行動の増加」「落ち着かない」など、行動面の異常が前景に出た状態を指す言葉で、診断名ではありません。
一方、せん妄は「身体疾患などが原因で生じる意識障害の一種」という位置づけで、見当識・記憶・注意力の障害や、時間帯で覚醒度が揺れることが特徴です。
つまり、看護師が「不穏」と言うとき、実際には“せん妄を含むことがある”のが重要ポイントで、両者は重なり得ます。
さらに厄介なのは、「不穏ではないせん妄(低活動性せん妄)」もあり得る点です。
「暴れる=せん妄」と短絡すると、逆に見逃すのが“静かな危険”で、ぼーっとして会話がかみ合わない、反応が遅い、注意が続かないといった変化も、同じレーンで拾う必要があります。
現場の申し送りで役立つ、最低限の言い換え例を置いておきます(曖昧な「不穏です」を減らす目的です)。


・「離床しようとしてサイドレールをつかみ、点滴ルートを引っ張る動作が続いている」
・「時間・場所の見当識が乱れ、会話が途中で脱線する。夕方に悪化する」
参考)そもそも不穏って何?|不穏のメカニズム、せん妄との違い

・「疼痛訴えが強く、体位変換を拒否しながら落ち着けない」​

不穏時とは 看護 原因 薬剤

不穏は、痛みや呼吸苦などの身体的苦痛、強い不安、薬剤の副作用や離脱症状など、さまざまな原因で現れます。
特に「薬剤」は、本人の性格や精神面の問題に見えやすいのが落とし穴で、現場では“いつから何が追加・中止されたか”を時系列で追うだけでも手掛かりになります。
日本看護倫理学会の身体拘束予防ガイドラインでは、せん妄リスク因子として、ベンゾジアゼピン系抗コリン作用を持つ薬剤、H2ブロッカー抗うつ薬抗ヒスタミン薬、抗菌薬、NSAIDs、抗がん剤などが例示されています。
ここで、少し意外だけれど実務に効く視点があります。


不穏の“主訴”が「イライラ」「怒り」「落ち着かない」に見えても、背後にあるのが低酸素・脱水・電解質異常・低血糖など“全身状態の変調”だと、鎮静より先に身体面の調整が必要になります。


参考)不穏とは? せん妄との違い・原因・対応方法を解説│看護師ライ…

また、本人の言葉が信頼できない状態(注意障害・見当識障害)では、訴えの強さより「バイタル」「呼吸状態」「水分出納」「排泄」「睡眠」を横断で見て、原因を潰しにいくのが安全です。

不穏の原因整理に使える、短いチェック(入れ子なし)です。


・痛みはコントロールされているか(表情・体動・うめきなども含む)​
・低酸素や循環不全の兆候はないか​
・脱水、電解質異常、低血糖などのリスクはないか​
・便秘、頻尿、失禁、普段と違う排泄方法で苦痛が増えていないか​
・環境変化(病室、スタッフ、照明、騒音、時計が見えない等)が強くないか​
・眼鏡/補聴器などの補助具が外れて“感覚遮断”になっていないか​
・チューブ・酸素マスク・モニター類がストレス源になっていないか​

不穏時とは 看護 対応 アセスメント

不穏対応の軸は、「行動を止める」より先に「行動の理由を探して受け止める」ことです。
身体拘束予防ガイドラインでも、転倒・転落リスクの場面で、患者の行動には「トイレに行きたい」「身体的苦痛がある」などの理由があることを前提に、先取りした環境調整やケアで予防する流れが示されています。
また、混乱しているときに否定や説得で押し切ると、対象者を傷つけ、症状を悪化させることがあるため、「否定しない、議論しない」「話を聞き、行動につきあう」姿勢が推奨されています。
具体的には、次の順が現場でブレにくいです(緊急時の安全確保は当然として、その後の“再燃予防”まで含めた順番)。


  1. まず危険を一時的に下げる:ベッド周囲の障害物除去、適度な照明、必要ならスタッフを増やす。​
  2. せん妄の可能性を必ず拾う:発症が急、症状が動揺、可逆性という特徴を念頭に置く。​
  3. 直接因子(身体要因)を整える:脱水・電解質・低酸素・疼痛・排泄などを調整し、医師と相談する。​
  4. 誘発因子(促進要因)を整える:時計・カレンダー、騒音、過剰照明、補助具、環境変化の最小化を行う。​
  5. 記録を“判断の根拠”として残す:なぜその対応を選んだか、代替策を何を試したかが後で効きます。​

「チューブを抜く」タイプの不穏は、とくに“本人視点”に寄せると改善しやすいです。


ガイドラインでは、チューブが痛い・不快、皮膚が痒い、目障り、行動の邪魔、低刺激で無為…などをアセスメントし、固定や清潔、説明、視界から外す工夫、活動を増やす、そして早期抜去を目標に多職種で検討することが示されています。

ここでのコツは、ミトンや抑制に寄せる前に「そもそもそのルートは今も必要か?」「別ルート/別方法に変えられないか?」をチームで問い直すことです。

参考:身体拘束を避けるための考え方・具体的行為の定義・三原則(切迫性/非代替性/一時性)がまとまっています(不穏時の安全確保と倫理判断の根拠に)。


https://www.jnea.net/wp-content/uploads/2022/09/guideline_shintai_2015.pdf

不穏時とは 看護 身体拘束 予防(独自視点)

不穏対応で“検索上位に出やすい話”は、どうしても「声かけ」「環境調整」「せん妄」までで止まりがちです。
でも現場の失敗は、そこまで正しくやっても、なぜか夜勤で再燃し、結局「不穏時指示」「抑制」に流れてしまうことです。
この再燃を減らすには、「不穏の芽」を“日中のうちに仕込んでおく”発想が効きます(ここが独自視点として提案したいポイントです)。
身体拘束予防ガイドラインが繰り返し強調するのは、せん妄を誘発する因子(環境、感覚過剰・遮断、不動・身体拘束、疼痛、排泄、睡眠、心理的ストレス)を早期から整えることです。

ここから逆算すると、夜間に荒れる患者ほど、日中に「することがない」「寝すぎ」「トイレが合っていない」「痛みが残っている」「補聴器が外れたまま」「時計が見えない」など“小さな未完了タスク”が溜まっています。

つまり、夜の不穏は夜だけの問題ではなく、24時間のケア設計の問題として扱うと、抑制に寄りにくくなります。

実装しやすい“日中の仕込み”を、具体策に落とします。


・見当識の支援を固定化:時計とカレンダーを必ず視界に入れる(「毎回やる」運用にする)。

・感覚補助具をルーチンに:眼鏡・補聴器を「朝のケア項目」に組み込み、外れていたら戻す。

・疼痛・呼吸苦の「夕方前」再評価:夕方〜夜間に悪化しやすいなら、その前にコントロールを見直す。

・排泄の先取り:頻尿や便秘、普段と違う排泄手段が不穏を促進するので、パターンを把握し先回りする。

・不動を減らす:安静や身体拘束自体がせん妄の促進要因になり得るので、早期離床や“安全な活動”を検討する。

・環境変化を減らす:病室変更や関わるスタッフの変動を最小限にし、「いつもの流れ」を作る。

そして、どうしても身体拘束を検討せざるを得ない場面では、ガイドラインにある三原則(切迫性・非代替性・一時性)に照らし、代替案の検討とチーム合意、記録、解除基準までセットで設計します。

「安全のために抑制する」ではなく、「何を試しても代替できず、どの条件で解除するかが明確」という形に落とすことで、患者の尊厳とスタッフの心理的負担の両方を守りやすくなります。

参考:不穏とせん妄の違い(不穏=行動、せん妄=意識・認知)と、低活動性せん妄の見落としポイントが整理されています(用語の統一に)。


そもそも不穏って何?|不穏のメカニズム、せん妄との違い




映画『信長協奏曲 NOBUNAGA CONCERTO』