ヒアルロン酸目薬の副作用と医療従事者注意点

ヒアルロン酸目薬は安全性が高いとされていますが、まぶたのかゆみや刺激感など軽微な副作用が報告されています。医療従事者が知っておくべき注意点とは?

ヒアルロン酸目薬副作用

ヒアルロン酸目薬の副作用と対処法
👁️
主な副作用

眼刺激感、かゆみ、充血などの軽微な症状が中心

⚠️
注意すべき症状

まぶたの炎症や結膜炎などの炎症性反応

🏥
対処法

症状継続時は投与中止と医師相談が必要

ヒアルロン酸目薬の基本的副作用症状

ヒアルロン酸目薬(ヒアルロン酸ナトリウム点眼液)は高い安全性を持つ薬剤として知られていますが、軽微な副作用が報告されています。

 

最も多い副作用症状
・眼刺激感(しみる感覚)
・眼瘙痒感(目のかゆみ)
・結膜充血
・眼脂(目やに)
これらの症状は一般的に軽度で、使用初期に現れることが多いとされています。厚生労働省の調査では、副作用発現率は1.63%と比較的低い数値が報告されています。
特に注目すべきは、重篤な副作用の報告がないことです。製造販売後調査において、1,288症例中21例(1.63%)で副作用が認められましたが、全て軽微なもので重篤な症例は確認されませんでした。

ヒアルロン酸目薬の炎症性副作用

軽微な刺激症状以外に、炎症性の副作用も報告されています。

 

炎症性副作用の種類
・眼瞼炎(まぶたの炎症)
結膜炎
アレルギー性結膜炎
・結膜浮腫
これらの炎症性副作用は、0.1%製剤において102例中2例(0.2%)で結膜浮腫とアレルギー性結膜炎が各1例報告されています。
また、びまん性表層角膜炎等の角膜障害も頻度不明ながら報告されており、角膜に直接影響を与える可能性があることを医療従事者は認識しておく必要があります。
医療従事者は、患者が訴える症状の程度や継続時間を慎重に評価し、必要に応じて投与中止を検討することが重要です。

 

ヒアルロン酸目薬濃度別副作用頻度

ヒアルロン酸目薬には0.1%製剤と0.3%製剤があり、濃度によって副作用の発現頻度に違いがあります。

 

0.1%製剤の副作用頻度
・副作用発現率:約1.8%
・主な症状:しみる感覚、眼そう痒感
・重篤な副作用:報告なし
0.3%製剤の副作用頻度
・副作用発現率:約2.9%
・主な症状:かゆみ、眼刺激感
・重篤な副作用:報告なし
臨床試験データによると、0.3%製剤では35例中1例(2.9%)でかゆみが報告されており、0.1%製剤と比較してわずかに高い傾向が見られます。
高濃度製剤ほど粘性が高くなるため、点眼時の違和感や刺激感を感じやすくなる可能性があります。医療従事者は、患者の症状や重症度に応じて適切な濃度を選択することが求められます。

 

ヒアルロン酸目薬の稀な全身副作用

ヒアルロン酸目薬は局所作用が主体ですが、稀に全身に影響を与える副作用も報告されています。

 

報告された全身副作用
・流涙増加
・霧視(視界のかすみ)
・頭部不快感
・眼精疲労
・浮動性めまい
特に注目すべきは、製造販売後調査で報告された未知の副作用です。これには流涙増加や霧視が各2件、頭部不快感、眼精疲労、眼部不快感が各1件含まれています。
さらに、眼以外の部位への影響として以下が報告されています。
呼吸困難
・動悸
・味覚不全
・頸部痛
・口の感覚鈍麻
これらの症状は極めて稀ですが、ヒアルロン酸が血管内に移行する可能性や、添加物による全身反応の可能性を示唆しています。医療従事者は、患者から通常では考えにくい全身症状の訴えがあった場合、ヒアルロン酸目薬との関連性も検討する必要があります。

 

ヒアルロン酸目薬副作用の患者指導ポイント

副作用の適切な管理には、医療従事者による的確な患者指導が不可欠です。

 

使用方法の指導
・容器先端が直接目に触れないよう注意
・点眼後は軽く目を閉じ、数分間安静にする
・他の点眼薬との使用間隔は5分以上空ける
・保存剤含有製剤は開封後1カ月以内に使用
副作用出現時の対応
患者には以下の症状が現れた場合、速やかに医師または薬剤師に相談するよう指導します。
・強い刺激感や痛みが続く場合
・視界の異常やかすみが生じる場合
・まぶたの腫れや赤みが悪化する場合
・使用前になかった症状が新たに出現した場合
特別な注意が必要な患者
・妊婦・授乳婦:有益性が危険性を上回る場合のみ使用
・小児:臨床試験データが不十分
・アレルギー体質:初回使用時の慎重な観察が必要
医療従事者は、ヒアルロン酸目薬の高い安全性を正しく理解しつつも、個々の患者の状態を注意深く観察し、適切な指導を行うことで、より安全で効果的な治療を提供できます。

 

厚生労働省によるヒアルロン酸ナトリウムの安全性評価報告書