骨移植の点数と算定で損しない正しい知識

骨移植の点数(K059)は種類ごとに16,830〜39,720点と大きく異なります。人工骨のみでは算定できない落とし穴や、複数箇所移植の注意点など、算定ミスで査定を受けないために知っておくべき重要なポイントとは?

骨移植の点数と算定ルールを正しく理解する

人工骨だけ使っても、K059骨移植術の点数は1円も算定できません。


この記事のポイント3選
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骨移植の点数は種類で最大2.4倍差がある

自家骨移植16,830点〜同種骨移植(特殊)39,720点まで。移植の種別を正確に把握することで、適切な点数を算定できます。

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人工骨のみの移植はK059を算定できない

自家骨または同種骨との「併用」があって初めてK059算定が可能です。人工骨単独では算定不可という規定は査定の主要原因のひとつです。

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複数箇所への移植でも算定は1回のみ

採取した健骨を複数か所に移植した場合でも、点数の算定は1回限りです。この原則を知らないと過剰請求の指摘を受けるリスクがあります。


骨移植の点数(K059)の種類と基本的な区分


骨移植術(K059)は、令和6年度診療報酬改定において大きく4つの区分で点数が設定されています。それぞれの内容を正確に理解しておくことが、適切な算定の第一歩です。


まず区分の全体像を整理します。


| 区分 | 内容 | 点数 |
|------|------|------|
| K059「1」 | 自家骨移植 | 16,830点 |
| K059「2」 | 同種骨移植(生体) | 28,660点 |
| K059「3」イ | 同種骨移植(非生体)特殊なもの | 39,720点 |
| K059「3」ロ | 同種骨移植(非生体)その他 | 21,050点 |
| K059「4」 | 自家培養軟骨移植術 | 14,030点 |


最も点数が低いのは自家培養軟骨移植術の14,030点であり、最高点は同種骨移植(特殊なもの)の39,720点です。


つまり、区分の選択を誤るだけで約2.4倍もの差が生じます。この点数差は非常に大きく、算定担当者・医師の双方が区分の意味を正確に把握しておく必要があります。それだけ重要な判断です。


「自家骨移植」とは患者本人の骨を採取して移植する方法(腸骨や脊椎の棘突起・椎弓など)です。「同種骨移植(生体)」とは他の生きている患者から手術中に摘出された余剰骨を使う方法です。「同種骨移植(非生体)」は心停止・脳死後の提供者から採取された骨(凍結保存死体骨)を使う方法で、「特殊なもの」は日本組織移植学会が認定した組織バンクを経由し、広範囲の骨欠損に用いる場合に限定されます。


さらに令和7年12月1日から新たに追加された規定として、肘関節または膝関節における外傷性軟骨欠損症・離断性骨軟骨炎(変形性膝関節症を除く)に対して「軟骨修復材」を使用した場合は、K059「4」自家培養軟骨移植術の所定点数(14,030点)を準用して算定できることになりました。これは2025年12月1日施行の最新ルールです。算定を見落とさないようにしましょう。


参考:K059骨移植術に関する令和6年度算定ルール通知(厚生労働省 保医発0305第4号)
厚生労働省 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項(保医発0305第4号)


骨移植の点数算定で必ず押さえたい「人工骨のみは算定不可」ルール

医療現場でしばしば混乱が生じるのが、人工骨と骨移植術の関係です。「人工骨を使ったのだからK059を算定できるはず」と考えてしまうと、査定につながります。これは大切なポイントです。


通知第7号には次のように定められています。「自家骨又は非生体同種骨(凍結保存された死体骨を含む。)移植に加え、人工骨移植を併せて行った場合はK059「3」により算定する。ただし、人工骨移植のみを行った場合は算定できない。」


つまり、自家骨や同種骨(非生体)との「併用」がある場合に限り、K059「3」ロ(21,050点)として算定できます。人工骨単独ではK059は算定対象外です。


下表で「人工骨の使用パターン別算定可否」を確認してください。


| 使用パターン | K059算定 | 算定区分 |
|---|---|---|
| 自家骨のみ | ✅ 算定可 | K059「1」16,830点 |
| 同種骨(生体)のみ | ✅ 算定可 | K059「2」28,660点 |
| 自家骨+人工骨 | ✅ 算定可 | K059「3」ロ 21,050点 |
| 同種骨(非生体)+人工骨 | ✅ 算定可 | K059「3」ロ 21,050点 |
| 人工骨のみ | ❌ 算定不可 | 算定できない |


実務上、人工骨単独での移植症例にK059を算定してしまうミスは審査でD査定(告示・通知に示された算定要件不適合)に該当します。返戻・減点の対象になる前に、術記録を確認する習慣をつけることが重要です。


また、人工骨を使用した場合は「人工骨の移植部位について、診療報酬明細書の摘要欄に記載する」ことも義務付けられています。摘要記載を怠ると審査で疑義が生じやすいため、記載漏れにも注意が必要です。


参考:人工骨の算定要件・使用条件についての通知(厚生労働省 保医発0305第8号)
厚生労働省 特定保険医療材料の材料価格算定に関する留意事項(保医発0305第8号)


複数箇所移植・局所骨採取・複数手術の骨移植点数の算定ルール

骨移植の算定でもう一つ重要なのが、「採取した骨を複数か所に移植した場合」および「脊椎手術などで局所骨を使った場合」のルールです。


複数箇所に移植した場合の原則は明快です。「移植用に採取した健骨を複数か所に移植した場合であっても、1回のみ算定する」と通知に定められています。1回の採骨につき1回の算定が原則です。


「2か所移植したから2回算定できるのでは?」という疑問を持つ方もいますが、これは誤りです。複数箇所へ分散して移植しても、算定は1回分のみです。


脊椎手術における局所骨の算定は、実は全国統一の取扱いが令和6年に確定しました。支払基金の統一事例(令和6年4月30日)により、「同一手術野の局所骨からの採取に対するK059骨移植術の算定は、原則として認められる」とされています。腸骨からではなく、棘突起・椎弓など術野内の局所骨から採取して移植した場合でも、K059として算定できます。


これは、骨移植術が通則14の例外として「骨移植術と他の手術を同時に行った場合もそれぞれ所定点数を合算して算定できる」と規定されているためです。骨移植術は同一手術野での主手術との「併算定可」という特例が与えられています。重要なポイントです。


2回法手術の算定についても整理しておきます。前方・後方アプローチで別日に手術を行う場合など、医学的に2回に分けることが妥当と認められる症例(例:侵襲を考慮した椎体・椎弓の前後別日手術)では、それぞれの手術に骨移植術を別々に算定できます。ただし、一連の手術と見なされる場合は難しいこともあるため、術中記録の整備と詳記の記載が安全策です。


参考:支払基金 審査統一事例 手術123「骨移植術の算定について」(令和6年4月30日)
支払基金 骨移植術(軟骨移植術を含む。)の算定に関する統一取扱い(令和6年)


同種骨移植(特殊なもの)39,720点を算定するための施設基準と要件

K059「3」イ「同種骨移植(特殊なもの)」の39,720点は、全区分で最も高い点数です。しかし、この区分は算定できる施設・ケースが厳密に限定されています。


算定のための条件は以下のとおりです。


- 🏥 適応疾患:腫瘍・感染・人工関節置換等に係る広範囲の骨および靱帯組織の欠損があること
- 🧬 使用材料:日本組織移植学会が認定した組織バンクにおいて適切に採取・加工・保存された非生体の同種骨・靱帯組織を使用すること
- 🏛️ 施設要件:日本組織移植学会の認定を受けた組織バンクを有していること(または当該バンクを有する他医療機関との連携)


施設基準を満たさない医療機関では、この区分の算定自体が認められません。「特殊なもの」に該当するかどうかの判断で最も重要なのは「広範囲の骨欠損」という点です。局所的な骨欠損への通常の同種骨使用では「その他の場合」(21,050点)に留まります。


さらに、骨移植を行った医療機関と同種骨を採取・保存した医療機関が異なる場合、診療報酬の請求は「移植を行った保険医療機関で一括して行う」ことが原則です。採取機関と移植機関がそれぞれ別々にK059を請求すると査定の対象になります。2施設間の診療報酬の分配は「相互の合議」による取り決めが求められており、事前の確認が欠かせません。


参考:同種骨移植(特殊なもの)の施設基準届出様式(近畿厚生局)
近畿厚生局 骨移植術(同種骨移植(非生体)(同種骨移植(特殊なもの))施設基準届出様式(令和6年)


骨移植の点数に関する最新ルール変更(令和7年12月施行)と実務への影響

令和7年11月に厚生労働省が発出した通知(保医発1128第2号)により、K059骨移植術の算定範囲が拡大されました。令和7年12月1日から施行されており、現時点(2026年)では実際の運用に影響が出ています。


今回の主な改正内容は2点です。


① K059「4」自家培養軟骨移植術の準用拡大


これまで自家培養軟骨を患者自身に移植した場合のみに限られていた「4 自家培養軟骨移植術(14,030点)」の算定が、新たに承認された「軟骨修復材」の使用にも準用できるようになりました。対象となる疾患は肘関節または膝関節における外傷性軟骨欠損症・離断性骨軟骨炎(変形性膝関節症を除く)です。


② K059-2 関節鏡下自家骨軟骨移植術の算定対象追加


関節鏡下で「軟骨修復材」を使用した場合は、K059-2(22,340点)を準用して算定できることになりました。K059とK059-2の違いは「関節鏡下」かどうかという点だけです。


これは重要です。従来は保険算定の対象外だった軟骨修復材が、新たに保険適用を受けたことで、これらの算定が可能になりました。令和7年11月12日の中医協総会での承認が背景にあります。


整形外科・スポーツ外傷分野での実務に直結するため、対象症例を把握して適切に算定することが求められます。新規算定漏れは実際に機会損失につながります。


参考:令和7年11月28日通知(厚労省 算定ルール見直し)
GemMed 新医療材料の保険適用踏まえ、【骨移植術】や【四肢の血管拡張術・血栓除去術】等の算定ルール見直し(2025年12月4日)


骨移植の点数算定で査定を防ぐためのレセプト実務の注意点【独自視点】

点数の区分や算定要件を知っていても、レセプト上の記載不備で査定される事例は少なくありません。ここでは、特に見落とされやすい実務上のポイントを整理します。


①病名と術式の整合性確認


K059「3」イ(同種骨移植・特殊なもの)を算定する場合、レセプト上に「広範囲骨欠損」を示す病名が必要です。単純に「骨折」や「骨欠損」だけでは、なぜ特殊な区分で算定しているかを審査側が判断できず、疑義が生じます。腫瘍切除後・感染後・人工関節置換後といった具体的な病状が病名や摘要で確認できることが重要です。


②摘要欄の記載事項の確認


人工骨との併用でK059「3」を算定した場合、「人工骨の移植部位」の摘要記載は通知に定められた必須事項です。これを記載しないまま請求すると、D査定(算定要件不適合)になるリスクがあります。記載は必須です。


また、同一箇所への2回以上の移植(例:再手術・感染治療後の再移植)の場合も「医学的理由・移植箇所・移植回数」の摘要記載が求められています。


③稀な手術症例は詳記を添付する


審査機関は症例の統計的な傾向を参考にしています。一般的にK059を併算定しない術式に対してK059を請求した場合、理由が伝わらないと疑義が生じやすくなります。詳記(症状詳記)を添付して術中の状況・移植の必要性を簡潔に記載しておくことで、審査がスムーズに通りやすくなります。


④組織適合性試験の算定は不可


通知では「移植用骨採取及び骨提供者の組織適合性試験に係る費用は、所定点数に含まれ別に算定できない」と明示されています。これは盲点になりがちな項目です。組織適合性試験を別途検査として算定してしまうと、「重複算定」として返戻される可能性があります。


⑤骨採取のみで移植に至らなかった場合の対応


手術中に骨を採取したが、予定した移植が実施できなかったケースも起こりえます。このとき、K059を算定することはできません。代わりに「K126 脊椎、骨盤骨(軟骨)組織採取術(試験切除によるもの)」に準じて算定するよう通知で定められています。手術記録を確認し、正確な術式に基づいた算定を行うことが肝心です。


参考:国保連 骨移植術の審査情報提供事例(人工関節置換術時の腸骨採取)
国民健康保険中央会 審査情報提供事例(医科)手術 K-2「骨移植術(人工関節置換術)」




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