治療開始から1年以内は4月に1回算定できるが、1年を過ぎると年1回しか算定できなくなり、気づかず請求すると返戻対象になります。

骨塩定量検査(D217)は、骨粗鬆症の診断およびその経過観察の際のみ算定できると定められています。 算定の目的が限定されているため、骨粗鬆症以外の疾患で骨密度を測定しても、保険算定はできません。これが基本です。
関連)https://clinicalsup.jp/jpoc/shinryou.aspx?file=ika_2_3_3_2%2Fd217.html
令和6年度時点では「患者1人につき4月に1回を限度」とするルールが適用されていました。 つまり、1月1日に初回算定した場合、次の算定は5月1日以降となります。 4ブロック経過後に算定可能になるイメージです。
関連)https://knowlety.jp/ika/r6-d217/
令和8年度改定では、このルールに大きな変更が加わりました。 原則「年1回」になったうえで、骨粗鬆症の治療を開始した日から起算して1年以内の患者については、従来どおり4月に1回の算定が認められる特例が設けられています。初回算定時の治療開始日の記録が、算定管理の核心になります。
検査の種類にかかわらず、DEXA法・REMS法・MD法・超音波法いずれも同一の算定回数制限が適用されます。 複数の方法を併用しても、別々に算定することはできません。方法は1つだけが原則です。
関連)https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001620460.pdf

各検査法の点数は以下のとおりです。
関連)https://www.toyo-medic.co.jp/news/7579/
| 検査法 | 点数 | 備考 |
|---|---|---|
| DEXA法(腰椎撮影) | 360点 | 大腿骨同時撮影で+90点加算可 |
| REMS法(腰椎) | 140点 | 大腿骨同時検査で+55点加算可 |
| MD法・SEXA法等 | 140点 | — |
| 超音波法 | 80点 | — |
DEXA法は最も点数が高く、腰椎と大腿骨を同日に撮影した場合は360+90=450点となります。 骨折リスク評価の精度が高い反面、X線被曝が伴います。意外ですね。
関連)https://clinicalsup.jp/jpoc/shinryou.aspx?file=ika_2_3_3_2%2Fd217.html
REMS法は超音波を使った比較的新しい手法で、令和4年度改定で新設されました。 被曝がなく、腰椎と大腿骨の同時検査に対応しています。初回の検査法選択は、患者の状態と施設の機器環境で決まります。
超音波法は80点と最も点数が低く、簡易的な評価向きです。初回から精密な骨密度評価を行う場合は、DEXA法かREMS法が適切な選択になります。
令和8年度改定の最大のポイントは、「治療開始日から1年以内かどうか」が算定頻度を左右することです。 治療開始日の定義を正確に把握しないと、算定誤りが生じます。
関連)https://shirobon.net/qabbs_detail.php?bbs_id=74997
具体的なケースで確認します。
関連)https://shirobon.net/qabbs_detail.php?bbs_id=74997
つまり「治療開始から1年を境に、算定間隔が4ヵ月から12ヵ月に変わる」ということですね。
電子カルテや医事システムで治療開始日を入力・管理しておくことが、返戻防止の第一歩です。治療開始日の記録は必須です。初回算定時に必ず確認してください。
急激な骨減少・増加をきたす病態(例:ステロイド大量投与、悪性腫瘍の骨転移疑い)や、ビスホスホネート薬の一時中止を検討する場合などは、例外的に年1回の制限外となる可能性があります。 この例外要件についても、レセプト記載で根拠を明示することが求められます。
関連)https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001620460.pdf
初回算定時のレセプト記載でよくあるミスは、病名の記載もれです。骨粗鬆症の病名がレセプト上にないと、算定要件を満たさないと判断され査定されます。 「骨粗鬆症(疑い含む)」の病名は初回から必ず入力してください。
関連)https://www.tokyo.med.or.jp/doctor/practicing_docs/detail/02-07
続いて多いのが、前回算定月の管理ミスです。4月に1回ルールの期間中、前回算定が3ヵ月前の場合に誤って算定してしまうケースがあります。 これは請求後に返戻となり、修正・再請求の工数が発生します。痛いですね。
関連)https://kabu-shosinnsha.com/post-1388/
以下のチェックリストを初回算定時に活用してください。
東京都医師会の保険診療の要点でも、「検査の種類にかかわらず4月に1回」と明記されています。 算定ルールは検査機器の種類によって変わらないと理解しておくことが重要です。
関連)https://www.tokyo.med.or.jp/doctor/practicing_docs/detail/02-07
一般的な解説記事では触れられない視点として、治療開始日の証跡管理があります。令和8年度改定によって「治療開始日から1年以内かどうか」が算定頻度を決定的に左右するようになり、この日付の記録精度がそのまま算定適正化・収益管理に直結します。
治療開始日の証跡として有効なのは以下の3点です。
どれを「治療開始日」とするかは、施設ごとの運用で異なる可能性があります。査定リスクを最小化するには、処方開始日を治療開始日として統一管理することが現実的です。これが条件です。
レセプトコンピュータのマスタに「骨粗鬆症治療開始日」フィールドを追加するか、電子カルテのテンプレートに入力欄を設けることが、実務レベルでの対策になります。医事担当者と担当医が情報共有できる仕組みを、初回算定のタイミングで整備することが返戻ゼロへの近道です。
令和8年度改定の詳細は厚生労働省の資料にも掲載されています。最新算定要件の確認に活用してください。
厚生労働省:令和8年度診療報酬改定 個別事項(骨塩定量検査関連)PDF
骨塩定量検査の算定ルールは、令和8年度改定で実務的な複雑さが一段と増しました。初回の治療開始日管理を軸に、医師・医事担当者が連携した算定体制を構築することが、返戻・査定ゼロの実現につながります。