一包化の最大の敵は「湿気」です。PTPやアルミピローは防湿のための設計なので、そこから出した瞬間に薬剤が環境湿度の影響を受けやすくなります。特に「吸湿性が強い」「アルミピロー開封後は湿気を避ける」「PTPから取り出して調剤しない」などの記載がある薬は、原則として一包化を避ける判断が安全側です。
吸湿で起きる変化は、単なる見た目の問題にとどまりません。錠剤の硬度低下→欠け・粉化→有効成分の均一性低下、さらに崩壊性や溶出性の変化につながると、同じ用量でも効き方が変わる可能性があります。軟カプセルは特に水分や温度で軟化・漏出リスクが上がりやすく、分包後の取り扱いで事故が起きやすい剤形です。
施設リストの例として、吸湿性を理由に分包不可とされる薬が多数掲載されています(例:アスパラカリウム錠、オーグメンチン配合錠、セルニルトン錠、デパケン錠など)。また「軟カプセル剤」で吸湿性や不安定が付記されている薬も並んでおり、剤形そのものがリスクシグナルになります。
分包不可薬品リスト(吸湿性・光・不安定の区分があり、院内運用の参考になる)
https://www.tosei.or.jp/app/wp-content/uploads/2020/03/20141020yakuhinlist.pdf
現場での実務上のコツは、「吸湿性=全部不可」と短絡しないことです。添付文書上で明確に“一包化を避ける”と書かれている群と、乾燥剤・遮光袋・気密容器などで条件付きに運用できる群を分けると、患者のアドヒアランスと品質担保のバランスが取りやすくなります(ただしその場合も“やむを得ず”の位置づけとし、保存条件の説明を必ずセットで行います)。
一包化の可否を「添付文書で明記される不可」と「条件付きで可」に分けて考える視点(実務の線引きに使える)
https://www.fizz-di.jp/archives/1040677767.html
光(特に紫外線)で変色・分解が起きる薬は、一包化により「遮光性能が落ちる」ことが問題になります。PTPにはUVカットや遮光性を持たせた設計が多く、製剤側がそれを前提に安定性を確保しているケースがあります。つまり、分包袋に移しただけで“別の保存形態”になり、同じ室内でも劣化条件が成立しやすくなります。
光に弱い薬の扱いは、患者側の保管行動の影響も大きい点が盲点です。たとえば「窓際に置く」「車内に置く」「透明ケースで持ち歩く」など、日常行動で曝露が増えます。一包化した薬は服用時点ごとに便利になる反面、保管は雑になりやすいので、遮光袋の併用や保管場所の指導をセットにしないと、運用として破綻します。
施設の分包不可薬品リストでも、「光」欄が設けられており、吸湿性とは別軸で管理していることが分かります。吸湿対策(乾燥剤)だけで安心せず、遮光の必要性がある薬は別扱いにし、薬袋や説明文で患者が誤解しない導線を作るのが重要です。
分包不可薬品リスト(光の観点でも確認できる)
https://www.tosei.or.jp/app/wp-content/uploads/2020/03/20141020yakuhinlist.pdf
「不安定」は、吸湿・光だけでなく、製剤設計(放出制御、腸溶、徐放、OD錠など)と密接です。たとえば、湿気で溶出特性が変わる懸念がある薬は、見た目に変化がなくても“薬効の時間軸”が変わるリスクがあり、結果として臨床上の影響が出やすいのが厄介です。添付文書で一包化回避が明記される薬はもちろん、記載がなくてもIFや安定性データで慎重に判断すべき薬が存在します。
一包化の議論では錠剤に目が向きがちですが、軟カプセルや特殊コーティング製剤も要注意です。軟カプセルは吸湿・温度で内容物漏出が起きれば、同包薬の汚染や識別性低下につながりますし、徐放や放出制御は「製剤構造を守ること」が品質そのものなので、湿気で脆くなるだけで成立条件が崩れます。
「不安定」判定がつく薬を扱うときは、次の順で確認するとブレが減ります。
この“根拠の三点セット”で、現場の説明責任も通しやすくなります。
添付文書明記の不可と、記載がなくても避けた方が良い例・考え方(不安定の整理に使える)
https://www.fizz-di.jp/archives/1040677767.html
「一包化できない薬 一覧」を作るとき、ネットのまとめだけに頼ると更新漏れや施設差が必ず出ます。実務では、施設(病院・薬局)ごとに運用条件(室温、分包機の仕様、薬袋の材質、患者層)が違うため、最終的な判断は“自施設の分包不可薬品リスト”に落とし込むのが安全です。公立陶生病院のように、薬品名と剤形、吸湿性、光、その他(麻薬・抗悪性腫瘍剤、院内規定など)の区分を持たせたリストは、教育にも監査にも強い形です。
リストの強みは、「禁止理由が明示される」点です。たとえば“麻薬”や“抗悪性腫瘍剤”といった付記があると、単なる安定性だけでなく曝露リスクや取り扱い管理の観点も一緒に想起できます。これは新人がやりがちな「吸湿・光の話だけで判断する」ミスを減らします。
運用上は、次のようにリストを“二層構造”で管理すると便利です。
この二層化にすると、患者都合(手指巧緻性、認知機能、服薬回数)で一包化が必要になったときも、例外運用が“場当たり”になりにくいです。
分包不可薬品リスト(一覧の土台にできる。院内規定・吸湿性・光・不安定の付記がある)
https://www.tosei.or.jp/app/wp-content/uploads/2020/03/20141020yakuhinlist.pdf
ここは検索上位があまり踏み込まない“独自視点”として、患者・介護者へ渡す「説明文」を最初から設計する話をします。一包化できない薬は、単に「できません」で終えると、患者側には“薬局が面倒だから断った”に見え、信頼を落とします。逆に、理由を一言で言語化できると、服薬支援がスムーズになります。
説明文は、理由別に短文化すると運用しやすいです(薬袋・お薬手帳のメモ欄・介護者向けメモに転用できます)。例。
こうした文言は、“薬を守るための行動”が具体的に伝わるのが利点です。
さらに意外と効果が高いのが、「一包化できない薬が混ざるときの代替案」をセットで提示することです。たとえば、同じタイミングで飲む薬が多数あっても、不可薬だけはPTPのまま別袋にして「朝食後:一包+このシート1錠」のように整理すると、アドヒアランスを落とさずに品質も守れます。添付文書で明記される不可と、条件付きで可を分けて考えるという発想自体が、患者への説明の説得力にもつながります。
不可の根拠(添付文書の取扱い)と、条件付きで可の考え方(説明設計の根拠に使える)
https://www.fizz-di.jp/archives/1040677767.html

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