コーレス骨折・スミス骨折・バートン骨折の分類と治療戦略

橈骨遠位端骨折の代表であるコーレス骨折・スミス骨折・バートン骨折は、転位方向と関節内外の違いで治療方針が大きく異なります。医療従事者として正確な鑑別と適切な介入タイミングを理解できていますか?

コーレス骨折・スミス骨折・バートン骨折の分類と治療

スミス骨折保存療法でギプス固定しても、整形外科専門医が約6割で手術を選択します。


🦴 コーレス・スミス・バートン骨折:3つの要点
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転位方向で骨折型が決まる

背側転位=コーレス骨折、掌側転位=スミス骨折、関節内骨折+亜脱臼=バートン骨折と、受傷機転と転位方向が分類の鍵です。

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バートン骨折は手術が原則

関節内骨折で靭帯・関節包損傷を合併するため、徒手整復が困難なケースが多く、外科的固定が必要になります。

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治癒・リハビリ期間は全治3ヶ月が目安

保存療法・手術療法ともに骨癒合まで約1.5〜2ヶ月、その後リハビリで機能回復を図ります。術後3ヶ月でほぼ日常生活が可能となります。


コーレス骨折の特徴・受傷機転・診断のポイント

コーレス骨折(Colles' Fracture)は、橈骨遠位端骨折の中で最も頻度が高い骨折です。 転倒時に手のひらを地面についた際、前腕遠位部に背屈・回外方向の強制力が加わることで発生します。 遠位骨片が手の甲側(背側)に転位するため、側面から見た手首が「フォークを伏せて置いたような形(フォーク状変形)」になるのが典型像です。 juusta(https://juusta.jp/kokushi/question_detail/?question_id=1350)


発生しやすい年齢層は幅広く、小児から高齢者まで見られます。 ただし年齢によって骨折型に違いがあり、小児では若木骨折・竹節状骨折・骨端線離開が多く、高齢者では粉砕骨折や多発骨折の頻度が上がります。 特に骨粗鬆症を持つ高齢女性では、軽微な外力でも骨折が起こる点に注意が必要です。 shimouma(https://www.shimouma.jp/disease/colles-fracture/)


診断にはX線撮影が基本ですが、関節内への骨折線の波及を正確に評価するにはCTが有用です。つまり「X線で問題なし」の印象でも、CTで関節内骨折が判明するケースがあります。 受傷から時間が経過するほど整復時の疼痛が増し、整復困難になるため、早期の診断・治療介入が基本です。 kotsujiko-yotsubasougou(https://www.kotsujiko-yotsubasougou.com/knowledge/damageparts/upper_limbs/09_10/)










所見 コーレス骨折
転位方向 背側(手の甲側)
受傷体位 手のひらをついた転倒
外見変形 フォーク状変形
関節 関節外骨折
好発年齢 幼小児〜高齢者(骨粗鬆症女性に多い)



骨折頻度が非常に高く、柔道整復師国家試験でも過去30回中23回出題されているほど臨床的に重要な骨折です。 これは使えそうです。 f-juku-blog(https://f-juku-blog.com/column/1964/)


参考:橈骨遠位端骨折のレントゲン所見と合併症について詳しい解説(病態・術後管理も記載)

橈骨遠位端骨折について~病態やレントゲン所見と合併症、術後管理~(敬心病院)


スミス骨折の特徴・受傷機転・整形外科へのコンサルトタイミング

スミス骨折(Smith's Fracture)は、コーレス骨折と逆の転位方向が生じる骨折です。 転倒時に手関節を掌屈(手のひら側に曲げた)状態で手の甲を地面につく、あるいは手の甲に直接強い外力が加わることで受傷します。 遠位骨片は掌側(手のひら側)へ転位するため、「逆コーレス骨折(Reverse Colles' Fracture)」とも呼ばれます。 stroke-lab(https://www.stroke-lab.com/speciality/33786)


頻度はコーレス骨折より低いとされています。しかし手関節不安定性の合併率が高いという特徴があります。 掌側転位は整復位の保持が難しく、保存療法でギプス固定をしても、整形外科の現場では手術適応になりやすい骨折です。 EMCNAのリコメンドでは「スミス骨折は早期の整形外科専門医フォローアップを要する」と明示されています。 hokuto(https://hokuto.app/erManual/FZjwkYJlHCsV9t9a4oWq)


整復固定は軽度掌屈+橈屈位でのギプス固定が標準ですが、骨片がずれたまま整復できない場合には速やかに手術を検討します。 医療従事者として「スミス骨折=少し様子をみる」という判断は危険です。早めの専門医コンサルトが後遺障害予防に直結します。 kotsujiko-yotsubasougou(https://www.kotsujiko-yotsubasougou.com/knowledge/damageparts/upper_limbs/09_10/)



  • 🔴 手関節不安定性の合併が多い → 早期専門医受診が必須

  • 🔴 保存療法でも整復位保持が困難なケース多数

  • 🟡 整復固定:軽度掌屈+橈屈位でのギプス固定(1〜2ヶ月)

  • 🟡 改善なければ外科的固定(プレート固定など)へ移行


受傷後の経過として、X線で骨折型を確認した段階で整形外科へのコンサルトを遅らせないことが重要です。コンサルトタイミングが遅れた分だけ、患者の機能予後に影響が出ます。 hokuto(https://hokuto.app/erManual/FZjwkYJlHCsV9t9a4oWq)


バートン骨折の病態・関節内骨折との鑑別・手術適応の判断基準

バートン骨折(Barton's Fracture)は、コーレス骨折・スミス骨折と同じ橈骨遠位端骨折ですが、決定的に異なる点があります。関節内にまで骨折線が及び、手根骨の亜脱臼または転位を伴う関節内骨折です。 これが最大の特徴です。 kouishougai(https://www.kouishougai.jp/example/%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%B3%E9%AA%A8%E6%8A%98)


転位方向によって「背側バートン骨折」と「掌側バートン骨折」の2型に分類されます。 背側型は手を反った状態での受傷(コーレス骨折と類似した機転)、掌側型は手の甲側への直接外力(スミス骨折と類似した機転)で発生します。 関節靭帯・関節包の損傷を合併するため、橈骨遠位端骨折の中では最も重症度が高い骨折に分類されます。 koshigaya-jiko(https://www.koshigaya-jiko.com/126/126173173/)


バートン骨折は徒手整復が困難なケースが多く、関節内骨折の有無を正確に把握するためにCT撮影が必須です。 EMCNAは「バートン骨折は早期手術加療のため整形外科医に早期コンサルトする(当日でなくとも可)」と記載しています。 手術では骨折部を直接開放してプレート固定するのが一般的で、経皮鋼線刺入法や創外固定法が選択される場合もあります。 joa.or(https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/distal_radius_fracture.html)










比較項目 コーレス骨折 スミス骨折 バートン骨折
関節内外 関節外 関節外 関節内 ⚠️
転位方向 背側 掌側 背側または掌側
亜脱臼 なし なし あり
治療原則 保存療法も可 手術になりやすい 手術が原則
重症度 中等度 中〜高


橈骨短縮が6mm以上ある場合は手術を行うべきとの見解もあり、具体的な数値的指標として覚えておく価値があります。 橈骨短縮6mmというのは、A4用紙の厚さ約6枚分程度のわずかな差ですが、それが手術適応に影響します。 kotsujiko-yotsubasougou(https://www.kotsujiko-yotsubasougou.com/knowledge/damageparts/upper_limbs/09_10/)


参考:バートン骨折の詳細と後遺障害等級認定について

バートン骨折の解説と等級認定のポイント(後遺障害・等級認定サポート)


コーレス骨折・スミス骨折・バートン骨折のリハビリと機能回復の期間

橈骨遠位端骨折(コーレス・スミス・バートン骨折いずれも)の全治期間は、概ね3ヶ月が目安です。 治療法によってリハビリ開始時期と進め方が異なります。保存療法では4〜8週間のギプス固定後、2ヶ月程度のリハビリテーションを実施します。 手術療法では約3週間のシーネ固定後にリハビリを開始でき、骨癒合には通常1.5〜2ヶ月かかります。 medicalconsulting.co(https://medicalconsulting.co.jp/2025/03/19/overall-duration-of-distal-radius-fracture/)


リハビリの初期段階(術後1〜2週間)は、指・肩など患部以外の軽い運動から始めて関節固縮を予防することが重要です。 その後、術後4〜6週を目安に装具を外してから手首の可動域訓練・筋力強化を本格的に開始します。 術後3ヶ月で日常生活動作がほぼ問題なく行えるようになるのが目標です。 kaneshiro(https://kaneshiro.clinic/%E6%A9%88%E9%AA%A8%E9%81%A0%E4%BD%8D%E7%AB%AF%E9%AA%A8%E6%8A%98)


リハビリの注意点として、痛みや腫れが退いてきたタイミングでの関節可動域訓練が機能回復のとなります。 「痛みが取れたから終わり」では不十分です。筋力や握力の回復まで継続的に介入することで、日常生活動作(ADL)の質が大きく変わります。 sanada-seikei(https://www.sanada-seikei.com/toukotuenitankossetu/)



  • 📅 術後1〜2週:患部外の関節(指・肩)の軽運動

  • 📅 術後4〜6週:手首の可動域訓練・筋力強化を本格開始

  • 📅 術後8〜12週:日常生活動作への支障が軽減、リハビリ終了の目安

  • 📅 術後3ヶ月:ほぼ日常生活復帰


参考:橈骨遠位端骨折のリハビリテーション内容と患者指導の工夫について

橈骨遠位端骨折のリハビリテーション~生活を支える手を目指して(東大阪病院)


コーレス骨折の後遺障害・合併症と臨床現場での見落としリスク

コーレス骨折・スミス骨折・バートン骨折の後遺障害は、後遺障害等級12級8号「長管骨に変形を残すもの」に該当する可能性があります。 具体的には、骨端部骨折として一定の基準を満たす変形が残存した場合に認定されます。医療従事者として、後遺障害評価の視点を持っておくことが患者への丁寧な説明・インフォームドコンセントにつながります。 kotsujiko-yotsubasougou(https://www.kotsujiko-yotsubasougou.com/knowledge/damageparts/upper_limbs/09_10/)


合併症の中でも見落としやすいのが、「親指の伸筋腱断裂」です。バートン骨折では、手指にしびれが生じ、後になって親指の伸筋腱が切断されていることが判明するケースが報告されています。 これは臨床的に重要です。初診時に指のしびれや握力低下を訴える患者では、腱損傷の可能性を念頭に置いた評価が必要です。 kotsujiko-yotsubasougou(https://www.kotsujiko-yotsubasougou.com/knowledge/damageparts/upper_limbs/09_10/)


また、高度な粉砕骨折・関節内骨折・背側傾斜角20°以上・短縮転位10mm以上という4つの条件が、手術適応の目安として広く参照されています。 「少しずれているが整復できた」と判断した場合でも、背側傾斜角と橈骨短縮の数値的評価を必ず行う必要があります。数字で見ると判断に迷いにくいですね。 f-juku-blog(https://f-juku-blog.com/column/1964/)



  • 指伸筋腱断裂:バートン骨折で後から判明するケースあり

  • 正中神経障害:手根管付近の腫脹による神経圧迫

  • 橈骨短縮6mm以上:手術適応の数値的基準のひとつ

  • 背側傾斜角20°以上:手術を検討すべき転位量の目安

  • 後遺障害等級12級8号:変形残存時の等級認定可能性


臨床現場では、受傷直後の評価だけで判断を完結させず、経過観察の中でも合併症の有無を継続的にチェックする姿勢が、患者の機能予後改善に直結します。 これが基本です。 kotsujiko-yotsubasougou(https://www.kotsujiko-yotsubasougou.com/knowledge/damageparts/upper_limbs/09_10/)


参考:橈骨遠位端骨折診療ガイドライン(日本整形外科学会・日本手外科学会 監修)

橈骨遠位端骨折診療ガイドライン2017(改訂第2版)Minds掲載ページ


参考:日本整形外科学会による患者向け解説(治療選択の参考に)

橈骨遠位端骨折(コレス骨折・スミス骨折)|日本整形外科学会