抗SS-B抗体が陽性でも、シェーグレン症候群と診断されない患者が実は6割以上います。 rheumatology.co(https://rheumatology.co.jp/kanpo-online/2017/02/11/%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%83%B3%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4%E3%81%A7%E8%A1%8C%E3%81%86%E8%A1%80%E6%B6%B2%E6%A4%9C%E6%9F%BB%E3%80%81%E3%81%AA%E3%81%9C%E3%81%9D%E3%81%AE%E6%A4%9C/)
抗SS-B抗体(抗SS-B/La抗体)は、RNAポリメラーゼIIIの転写産物と複合体を形成する蛋白質に対する自己抗体です。 抗原は核内に存在するため、抗核抗体(ANA)検査ではSpeckled型の陽性パターンを示します。 つまり抗核抗体陽性かつSpeckled型のケースでは、積極的に本抗体を疑う姿勢が重要です。 crc-group.co(https://www.crc-group.co.jp/crc/q_and_a/160.html)
最も関連する病名はシェーグレン症候群です。 シェーグレン症候群は慢性唾液腺炎と乾燥性角結膜炎を主徴とし、唾液腺・涙腺などの外分泌腺を炎症が侵す自己免疫疾患です。 一次性(単独発症)と二次性(他の膠原病合併)に分類され、関節リウマチ(RA)では30%以上に二次性として合併することが知られています。 test-directory.srl(https://test-directory.srl.info/akiruno/test/detail/065460200)
| 検査項目 | 感度 | 特異度 | 主な陽性疾患 |
|---|---|---|---|
| 抗SS-A抗体 | 70〜90% | 低め | シェーグレン症候群、SLE、RA、強皮症など多岐 |
| 抗SS-B抗体 | 30〜40% | 高い | ほぼシェーグレン症候群に限定 |
| 両者同時陽性 | 83.7% | 91.5% | シェーグレン症候群の最強コンビネーション |
crc-group.co(https://www.crc-group.co.jp/crc/q_and_a/194.html)
特異度が高いということは、偽陽性が少ないということです。 抗SS-B抗体が陽性なら、まずシェーグレン症候群を疑うのが原則です。 rheumatology.co(https://rheumatology.co.jp/kanpo-online/2017/02/11/%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%83%B3%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4%E3%81%A7%E8%A1%8C%E3%81%86%E8%A1%80%E6%B6%B2%E6%A4%9C%E6%9F%BB%E3%80%81%E3%81%AA%E3%81%9C%E3%81%9D%E3%81%AE%E6%A4%9C/)
参考:シェーグレン症候群の診断基準・病態詳細(難病情報センター)
https://www.nanbyou.or.jp/entry/267
抗SS-B抗体陽性で想起すべき主な病名は以下の通りです。 crc-group.co(https://www.crc-group.co.jp/crc/q_and_a/160.html)
抗SS-A抗体との関係が重要です。 抗SS-B抗体陽性例では、ほぼ必ず抗SS-A抗体も同時に陽性となります。逆に言えば、抗SS-A抗体陰性で抗SS-B抗体のみ陽性というパターンは非常に稀で、そのような結果が出たときは検査誤差や他疾患の可能性を再検討する必要があります。 crc-group.co(https://www.crc-group.co.jp/crc/q_and_a/194.html)
抗SS-B抗体陽性例では乾燥症状の合併率が高く、皮疹・高γ-グロブリン血症・リウマトイド因子陽性が高率に認められます。 これが鑑別の糸口になります。 crc-group.co(https://www.crc-group.co.jp/crc/q_and_a/194.html)
感度が30〜40%という数字には、大きな意味があります。 つまりシェーグレン症候群と診断された患者の60〜70%は抗SS-B抗体が陰性なのです。東京大学病院リウマチ内科のガイドラインでも、抗SS-A抗体・抗SS-B抗体の両者が陰性でもシェーグレン症候群の診断が成立するケースがあると明示されています。 ryumachi.umin(https://ryumachi.umin.jp/clinical_case/Sjogren.html)
臨床現場では「抗SS-B陰性=シェーグレン症候群ではない」と誤解されがちです。 それは間違いです。 rheumatology.co(https://rheumatology.co.jp/kanpo-online/2017/02/11/%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%83%B3%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4%E3%81%A7%E8%A1%8C%E3%81%86%E8%A1%80%E6%B6%B2%E6%A4%9C%E6%9F%BB%E3%80%81%E3%81%AA%E3%81%9C%E3%81%9D%E3%81%AE%E6%A4%9C/)
診断を確定するには以下の検査を組み合わせます。 crc-group.co(https://www.crc-group.co.jp/crc/q_and_a/194.html)
crc-group.co(https://www.crc-group.co.jp/crc/q_and_a/194.html)
血清学的検査だけで病名を決めない、これが原則です。
参考:シスメックス「抗SS-B/La抗体定性」臨床意義解説(検査基準値含む)
https://primary-care.sysmex.co.jp/speed-search/detail.php?pk=356
医療従事者が特に注意すべきなのが、妊娠中の抗SS-B抗体陽性例です。 抗SS-A抗体陽性女性から出生した児の約10%に新生児ループスエリテマトーデス(NLE)が発症し、約1%に先天性完全房室ブロック(CHB)が発生するとされています。 先天性心ブロックは、胎児の心拍数が毎分40〜60回台まで低下する重篤な状態です。東京ドーム1個分の広さで例えるなら、その中でたった1人だけが助かる確率に等しいほど、ペースメーカーを必要とするCHBは深刻です。 ivd.mbl.co(https://ivd.mbl.co.jp/diagnostics/faq/stacia/ssassb.html)
妊娠中の管理として実施すべきことは以下の通りです。 ncchd.go(https://www.ncchd.go.jp/hospital/about/section/perinatal/bosei/699ba3ce063e73aa36e1461f8196a7bada02fca6.pdf)
jspccs(https://jspccs.jp/wp-content/uploads/j2401_023.pdf)
先天性心ブロックの発症後にペースメーカーが必要になれば、子どもは生涯にわたって機器管理が必要になります。 それを防ぐには妊娠初期からの抗体スクリーニングが不可欠です。 ivd.mbl.co(https://ivd.mbl.co.jp/diagnostics/faq/stacia/ssassb.html)
参考:国立成育医療研究センター「抗SS-A抗体陽性女性の妊娠に関する診療の手引き」
https://www.ncchd.go.jp/hospital/about/section/perinatal/bosei/699ba3ce063e73aa36e1461f8196a7bada02fca6.pdf
ここでは、上位記事ではほとんど言及されない「診断後のフォローアップ漏れ」について解説します。抗SS-B抗体陽性でシェーグレン症候群と診断された患者の一部は、後にSLEや強皮症、RAなどの膠原病を発症することが知られています。 これは「二次性シェーグレン症候群」として最初から合併している場合もありますが、経過観察中に新たな病名が加わるケースも存在します。 crc-group.co(https://www.crc-group.co.jp/crc/q_and_a/194.html)
つまり「シェーグレン症候群確定=終わり」ではありません。
臨床的に問題になるのは、以下のような状況です。 jmedj.co(https://www.jmedj.co.jp/blogs/product/product_7774)
このため、抗SS-B抗体陽性患者には初診時から複数の自己抗体を包括的に測定し、経過中も定期的に再検査することが推奨されます。 抗dsDNA抗体・抗U1-RNP抗体・抗Scl-70抗体・抗Jo-1抗体などを同時にスクリーニングしておくと、病態変化への気づきが早くなります。 jmedj.co(https://www.jmedj.co.jp/blogs/product/product_7774)
実際の診療では、抗SS-B抗体陽性の結果を受けた後に「あとはシェーグレン症候群として経過観察」と判断されることがあります。これは危険です。 定期的なフォローと他の自己抗体モニタリングが、患者の長期予後を左右します。 crc-group.co(https://www.crc-group.co.jp/crc/q_and_a/194.html)
参考:京都大学医学部附属病院「抗SS-B抗体」検査解説
https://clinical-lab.kuhp.kyoto-u.ac.jp/reference/item/6956.html
参考:CRCグループ「抗SS-A抗体と抗SS-B抗体の違いと使い分け」
https://www.crc-group.co.jp/crc/q_and_a/194.html