高血圧症の症状から治療法まで

高血圧症は心筋梗塞や脳卒中のリスクを高める「サイレントキラー」として知られています。日本人の約3人に1人が罹患するこの疾患について、症状、原因、診断基準、最新の治療法まで詳しく解説します。高血圧症から命を守るための正しい知識とは?

高血圧症とは

高血圧症の基本理解
📊
診断基準

診察室血圧140/90mmHg以上、家庭血圧135/85mmHg以上

📈
国内有病率

日本人成人の約3人に1人、推定2700万人が罹患

🔍
分類

本態性高血圧症(85-90%)と二次性高血圧症に分類

高血圧症の定義と診断基準

高血圧症は、血圧が持続的に高い状態を指し、診察室で測定した血圧において収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg以上となった場合に診断されます 。家庭血圧の場合は、より低い基準が設定されており、収縮期血圧135mmHg以上、拡張期血圧85mmHg以上が診断基準となります 。
参考)https://j-circ-assoc.or.jp/learn/57/

 

一度の測定で基準値を上回っても即座に高血圧症と診断されるわけではなく、血圧は常に変動するため、複数回の測定を行い、繰り返し基準値を上回る場合に高血圧症と判断されます 。
参考)https://newheart.jp/glossary/detail/cardiovascular-surgery_013.php

 

高血圧症の分類と原因

高血圧症は原因により大きく2つに分類されます 。
参考)https://www.haru-clinic.jp/high_blood_pressure/

 

本態性高血圧症は、明確な原因疾患がないタイプで、日本人の高血圧の85~90%を占めます。遺伝的要因、塩分の過剰摂取、肥満、過度の飲酒、運動不足、ストレス、喫煙などの生活習慣が複合的に関与して発症します 。
二次性高血圧症は、原因となる疾患が明らかなタイプです。ホルモン分泌異常、腎臓疾患、薬剤の副作用などが原因となり、原発性アルドステロン症、褐色細胞腫、腎動脈狭窄などが代表的です 。

高血圧症の合併症と危険性

高血圧症は「サイレントキラー」と呼ばれるように、自覚症状がないまま進行し、重篤な合併症を引き起こします 。血圧が正常値よりも10mmHg上昇するだけで、脳卒中のリスクは約30%増加することが報告されています 。
参考)https://cliniciwata.com/2025/04/24/6226/

 

主な合併症には以下があります :
参考)https://www.takeda.co.jp/patients/hypertension/qa102.html

 

これらの合併症は致死率が高く、後遺症が残る可能性も高いため、早期診断と適切な治療が極めて重要です 。
参考)https://digital-clinic.life/column/3764/

 

高血圧症の測定方法と注意点

正確な血圧測定のためには、適切な測定条件を守ることが重要です 。
参考)https://kai-clinic.net/explanation/high02/

 

朝の測定条件
参考)https://mediage.lotte.co.jp/post/0004

 

  • 起床後1時間以内
  • 排尿後
  • 朝食・服薬前
  • 1-2分間の安静後

夜の測定条件

  • 就寝前
  • 入浴・飲酒・食事直後は避ける
  • 1-2分間の安静後

朝・夜の2回測定を行い、それぞれ2回ずつ測定してその平均値を記録することが推奨されています 。この方法により、早朝高血圧(朝の血圧135/85mmHg以上)や夜間高血圧(夜間血圧120/70mmHg以上)の発見にもつながります 。

高血圧症の生活習慣改善による治療

高血圧症治療の基本は生活習慣の改善です 。日本高血圧学会のガイドラインでは以下の生活習慣改善が推奨されています :
参考)https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shippei-undou/undou-kouketsu.html

 

食事療法のポイント
参考)https://seikeclinic.com/disease/%E9%AB%98%E8%A1%80%E5%9C%A7%E3%81%AE%E9%A3%9F%E4%BA%8B%E7%99%82%E6%B3%95%E3%80%81%E9%81%8B%E5%8B%95%E7%99%82%E6%B3%95/

 

  • 塩分制限:1日6g未満
  • 野菜・果物の積極的摂取
  • 飽和脂肪酸・コレステロールの制限
  • 多価不飽和脂肪酸(魚油・植物油)の摂取
  • 低脂肪乳製品の摂取

運動療法の実践

  • 有酸素運動(速歩など)を中心に実施
  • 運動強度:「ややきつい」程度(ボルグ・スケール)
  • 頻度:できれば毎日30分以上
  • 最低でも10分以上の運動を合計30分

日本人は特に食塩摂取量が多く(平均約10g/日)、食塩感受性が高い人が3-5割程度存在するため、減塩による降圧効果が期待できます 。
参考)https://www.healthcare.omron.co.jp/cardiovascular-health/hypertension/hypertension-guide/06.html

 

高血圧症の薬物療法と最新ガイドライン

生活習慣改善で十分な降圧が得られない場合、薬物療法が開始されます 。最新の高血圧治療ガイドライン2025では、段階的な薬物治療アプローチが明確化されています 。
参考)https://sera-clinic.com/%E9%AB%98%E8%A1%80%E5%9C%A7%E3%81%AE%E8%96%AC%E7%89%A9%E6%B2%BB%E7%99%82-%E2%80%95-%E6%9C%80%E6%96%B0%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%81%AB%E5%9F%BA%E3%81%A5%E3%81%8F-2/

 

第一選択薬
参考)https://www.med.or.jp/dl-med/jma/nichii/zaitaku/2024kakari/2024kakari_06.pdf

 

治療は単剤から開始し、効果不十分な場合は2剤併用へ進み、さらに必要に応じて3剤以上や新規薬剤(ARNIなど)の導入を検討します 。降圧目標は診療室血圧130/80mmHg未満、家庭血圧125/75mmHg未満とされています 。
個々の患者の病態に合わせた薬剤選択と、定期的なモニタリングにより、目標血圧の達成と維持を図ることが重要です 。
参考)https://med2.daiichisankyo-ep.co.jp/cardiology/knowledge/hypertension03.php?certification=1

 

日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」- 最新の診断基準と治療指針が詳細に記載されています
健康長寿ネット「高血圧の運動療法」- 具体的な運動方法と注意点について詳しく解説されています