動脈硬化の原因と症状と治療と予防法

動脈硬化は血管の老化現象で、プラーク形成により心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高める重要な疾患です。生活習慣病との関連が深く、早期診断と適切な治療により予防可能な病気ですが、具体的にはどのような対策が効果的なのでしょうか?

動脈硬化の原因と症状と治療と予防

動脈硬化の基本知識
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動脈硬化のメカニズム

血管内皮細胞の損傷からプラーク形成まで

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診断と検査法

ABI・CAVI検査による早期発見

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治療と予防策

生活習慣改善と薬物療法の重要性

動脈硬化の基本的なメカニズム

動脈硬化は、血管内皮細胞の損傷から始まる慢性的な炎症性疾患です。血圧の上昇などによって血管内皮細胞が傷つくと、悪玉LDLコレステロールが内皮細胞の裏側に入り込みます。このLDLコレステロールが酸化変性を受けて酸化LDLになると、マクロファージが酸化LDLを貪食して泡沫細胞に変化し、血管内膜の裏側に蓄積していきます。
参考)https://doumyaku-c.jp/knowledge/

 

このようにして形成された動脈硬化巣(プラーク)は、脂質コアを中心として血管内腔を狭くしていきます。プラークが徐々に増大し慢性的な炎症が続くと、線維性被膜が薄くなって不安定プラークとなり、破裂のリスクが高まる状態になります。プラークの破裂は急性心筋梗塞脳梗塞などの重篤な心血管疾患の直接的な原因となるため、この破裂プロセスを予防することが動脈硬化治療の最も重要なポイントとされています。
参考)https://jsth.medical-words.jp/words/word-95/

 

動脈硬化の主要な症状と合併症

動脈硬化は初期段階では自覚症状がなく、「サイレントキラー」と呼ばれるほど静かに進行する疾患です。しかし、放置すると全身の重要な臓器に深刻な合併症を引き起こします。
参考)https://www.ishida-heartcl.com/arteriosclerosis/

 

脳血管系では、脳出血、脳梗塞、くも膜下出血のリスクが高まります。心臓では狭心症、心筋梗塞、高血圧性心疾患、心房細動などの不整脈弁膜症が発症する可能性があります。大動脈においては大動脈瘤や大動脈解離、腎臓では腎不全や腎硬化症、ネフローゼ症候群、末梢動脈では閉塞性動脈硬化症などの合併症が生じます。これらの合併症は、動脈硬化が発生した部位によって異なりますが、いずれも生命に関わる重篤な疾患であることが共通しています。

動脈硬化の診断に用いられる検査方法

動脈硬化の診断には、複数の検査方法が用いられます。最も一般的で非侵襲的な検査がABI検査(足関節上腕血圧比検査)とCAVI検査(心臓足首血管指数検査)です。
参考)https://mymc.jp/clinicblog/238137/

 

ABI検査は、両手と両足に血圧計を巻いて同時に測定することで、動脈硬化の進行具合や血管の詰まり具合を評価します。健康な人では足首の血圧は上腕とほぼ同じか、やや高い値を示しますが、動脈に狭窄があると足首の血圧が低下するため、この比率から動脈の状態を判断できます。
参考)https://sou.clinic/menu/medicalcheckup/arteriosclerosis/

 

CAVI検査は、心臓から足首までの動脈の硬さを測定し、「血管年齢」として表示する検査です。血管が硬いほど血液の伝播速度が速くなる原理を利用し、血圧の影響を受けにくい正確な測定が可能で、早期の動脈硬化も検出できます。その他、頸動脈超音波検査、造影CT検査、MRA検査、カテーテル検査なども症状に応じて実施されます。
参考)https://www.dock-tokyo.jp/results/heart/pwv.html

 

動脈硬化の効果的な治療法

動脈硬化の治療は、生活習慣の改善と薬物療法を組み合わせた包括的なアプローチが重要です。生活習慣の改善では、禁煙、適正体重の維持、食事療法、運動療法が基本となります。
参考)https://asamaghp.jp/pages/242/

 

薬物療法においては、スタチン系薬剤が動脈硬化の進行抑制に重要な役割を果たします。スタチンはLDLコレステロールを30%以上低下させるだけでなく、コレステロール低下効果以外にも血管壁への直接的な保護作用があることが確認されています。同じコレステロール低下薬と比較しても、スタチンの方が動脈硬化性疾患の予防効果が高いことがメタアナリシスで示されています。
参考)https://www.lifescience.co.jp/cr/zadankai/0205/2.html

 

高血圧、糖尿病脂質異常症などの生活習慣病の治療も動脈硬化の進行を抑制するために必須です。これらの疾患は動脈硬化の危険因子であるため、積極的な内科治療により多くの動脈硬化は改善可能とされています。治療効果の判定には定期的な検査による評価が重要で、不十分な場合は治療の強化が必要になります。
参考)https://www.ts-clinic.jp/center

 

動脈硬化の予防に重要な生活習慣改善

動脈硬化の予防には、生活習慣病の改善が第一です。特に重要なのは食事療法で、基本的には伝統的な日本食を意識した食生活が推奨されています。
参考)https://www.j-athero.org/jp/general/4_atherosclerosis_yobou/

 

食事面では、肉の脂身や動物脂(牛脂、ラード、バター)を控え、大豆、魚、野菜、海藻、きのこ、果物、未精製穀類を組み合わせた食事が効果的です。減塩にも注意し、過食やアルコールの過剰摂取、トランス脂肪酸を含む食品は控える必要があります。
運動療法については、毎日30分以上の有酸素運動が動脈硬化の予防に有用とされています。ウォーキング、速歩、水泳、ベンチステップ運動などを中強度(ややきつい程度)で週3回以上、できれば毎日実施することが推奨されます。運動不足は肥満、血圧上昇、中性脂肪の上昇、HDLコレステロールの低下などを引き起こし、これらすべてが動脈硬化の危険因子となるからです。
禁煙も極めて重要な予防策です。喫煙により体内に一酸化炭素が発生し、これが血液中の赤血球と結合して酸素不足を引き起こし、結果的に血圧上昇を招くため動脈硬化が促進されます。
参考)https://www.h-cl.org/column/arteriosclerosis-symptoms-causes/