クレアチニンは筋肉の代謝によって体内で自然に生じる老廃物で、通常は腎臓で濾過されて尿中に排泄されます 。健康診断における血清クレアチニンの基準値は、男性で0.61~1.04mg/dL、女性で0.47~0.79mg/dLとされています 。
参考)https://soujinkai.or.jp/himawariNaiHifu/creatinine/
この基準値を超えた場合の段階的評価として、軽度腎障害(男性1.01~1.09mg/dL、女性0.71~0.79mg/dL)、軽度腎機能低下(男性1.10~1.29mg/dL、女性0.80~0.99mg/dL)、腎不全(男性1.30以上mg/dL、女性1.00以上mg/dL)に分類されます 。
クレアチニンの値は筋肉量の影響を受けるため、年齢や性別、体格によって正常値が変動することが重要な特徴です 。極端に筋肉量が少ない患者では、血清クレアチニン値が腎機能を正確に示さない場合があるため、シスタチンCという別の血液検査値も併用されます 。
参考)https://jinentai.com/doctor_qas/post_14.html
クレアチニン値が高い主な原因として、慢性腎臓病が最も重要です 。現在では食生活の欧米化に伴い、糖尿病性腎症が第1位、高血圧性腎症が第2位となっており、従来多かった腎炎は減少傾向にあります 。
参考)https://www.kcm-cl.jp/first/dialysis/creatinine/
急性腎障害も重要な原因の一つで、突然の腎機能低下により血清クレアチニン値が急激に上昇します 。尿路の通過障害(尿路結石、前立腺肥大など)では、尿の流れが妨げられることで腎機能が低下し、クレアチニン値が上昇します 。
参考)https://www.nobu-healthylife-clinic.com/blog/creatinine/
高齢者では加齢による腎機能の自然な低下も重要な要因です 。生活習慣病である糖尿病では高血糖状態が続くと腎臓の血管が傷つき、高血圧では血管に常に高い圧力がかかることで腎臓の機能低下を招きます 。
参考)https://oishi-shunkei.com/blog/9843/
臨床現場では、血清クレアチニン値単独よりも、年齢や性別を加味した推定糸球体濾過量(eGFR)がより正確な腎機能評価指標として使用されます 。eGFRは血清クレアチニン値、年齢、性別から以下の計算式で求められます 。
参考)https://www.shiga-jin.com/calculation/04.html
eGFR(男性)= 194 × Scr^-1.094 × age^-0.287
eGFR(女性)= eGFR(男性)× 0.739
慢性腎臓病の重症度分類では、eGFR値によってG1(90以上)からG5(15未満)まで段階的に評価され、eGFR60以下では医療機関受診が推奨されます 。クレアチニン・クリアランス(CCr)は24時間蓄尿による測定で、正常値は約100~120ml/分とされ、腎機能を最も正確に把握できる検査です 。
参考)https://hoken.kakaku.com/health_check/creatinine/
腎機能低下の初期段階では自覚症状がほとんど現れないことが特徴的です 。クレアチニン値が軽度上昇している段階でも、実際の腎機能は大きく低下していることがあるため注意が必要です 。
参考)https://salusclinic.jp/column/kidney/article-109/
症状が現れる場合の主な兆候として、むくみ(浮腫)、尿量の異常や夜間尿の増加、全身倦怠感、貧血、皮膚のかゆみなどがあります 。慢性腎臓病は高血圧を合併しやすく、重症化すると頭痛、めまい、肩こりなどの症状も現れます 。
定期的な健康診断による血液検査と尿検査が早期発見の鍵となります 。特に糖尿病患者では、微量アルブミン尿(30~299mg/gCr)の検出が糖尿病性腎症の早期診断に重要です 。
参考)https://jsn.or.jp/general/kidneydisease/symptoms02.php
クレアチニン値を下げる直接的な食べ物は存在しませんが、腎臓への負担を軽減する食事療法が効果的です 。基本的な食事療法の原則として、減塩(6g/日以下)、適切なタンパク質制限、カリウム制限、高カロリー摂取、リン制限が重要です 。
参考)https://www.gme.co.jp/column/column127_creatinine.html
推奨される食品として、白身魚(タラ、ヒラメ)、豆類(大豆、豆腐)、低脂肪乳製品、野菜類(ブロッコリー、ほうれん草)、果物(オレンジ、りんご)、全粒穀物、キノコ類などがあります 。野菜は茹でることでカリウムを減らすことができ、乳酸菌飲料は通常の乳製品よりもリン含有量が少ないという工夫も重要です 。
生活習慣の改善では、定期的な運動(ウォーキング、ヨガなど)、禁煙、節酒、十分な睡眠、ストレス軽減、血糖値と血圧の管理が推奨されます 。ただし、腎機能の状態によっては水分制限が必要な場合もあるため、医師の指導に従うことが重要です 。
参考)https://oishi-shunkei.com/blog/10096/