キャンサーネットジャパン レモネード活動と小児がんAYA世代支援の実際

キャンサーネットジャパンが運営するレモネードスタンド活動は、小児がんとAYA世代のがん支援を目的とした社会貢献プロジェクトです。この活動がどのように治療研究や患者支援に繋がり、医療従事者はどう関わることができるのでしょうか?

キャンサーネットジャパン レモネード活動と支援

この記事でわかる3つのポイント
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レモネードスタンド活動の意義

アメリカ発祥の小児がん支援活動が日本でどのように展開され、治療研究と患者支援に貢献しているか

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小児・AYA世代がんの特徴と課題

希少がんが多く研究開発が遅れている現状と、世代特有の心理社会的サポートニーズ

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医療従事者の関わり方

研究助成申請や患者支援プログラム、啓発活動への参加など具体的な連携方法

キャンサーネットジャパン レモネード活動の起源と日本での展開

 

 

 

レモネードスタンド活動は、1990年代にアメリカの小児がん患者の少女が始めた社会貢献活動です。この少女は、同じ病気と闘う友達との別れを経験する中で「レモネードスタンドでお金を集めて、がんと闘う子供たちを助ける治療法を見つけてもらおう」と考え、自宅の庭でレモネードスタンドを開き、集まったお金を病院へ寄付しました。もともとアメリカでは、子供たちがお小遣い稼ぎや社会勉強のためにレモネードスタンドを開くことが夏の風物詩となっていました。

 

参考)レモネードスタンド活動とは

少女が始めたこの活動は、メディアに取り上げられ全米に広がり、少女が8歳で天国に旅立った後も、その意思は引き継がれています。日本では、認定NPO法人キャンサーネットジャパンが2013年7月にレモネードスタンドジャパン事務局を開設し、全国各地で開催されるレモネードスタンドを応援・支援する体制を整えました。現在では英語の学校教材としても取り上げられ、学校の文化祭や地域のお祭り、企業のイベントなどで開催されるようになっています。

 

参考)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000149.000025644.html

全国一斉レモネードスタンドは毎年6月に開催され、2025年には全国32都道府県の61カ所で実施されました。栃木県宇都宮市のあずま保育園での活動は、小児がんで娘を亡くした保護者が企画したもので、同じ病気の子どもたちを支援したいという想いから始まりました。このように、レモネードスタンド活動は患者家族や地域住民が主体となって広がりを見せています。youtube​

キャンサーネットジャパンにおける小児がん治療研究助成制度

キャンサーネットジャパンは、レモネードスタンドで集まった募金を小児がん治療研究の支援に充てる助成制度を運営しています。第7次助成では、小児がん治療成績の向上を目的としたプロジェクトに対し、総額400万円の助成を実施しました。助成対象は、日本国内の国・公・私立の大学その他の医療機関や研究機関に属する医療従事者、教育・研究機関に属する者(個人あるいはグループ)となっています。

 

参考)https://www.cancernet.jp/wp-content/uploads/2025/05/PR_lemon2025.pdf

助成を受けるプロジェクトには、Japan Cancer Forumでの進捗報告が求められます。このフォーラムは8月上旬の土日に都内会場で開催される予定で、遠方からの参加者には交通費の一部が別途助成されます。このような報告義務を設けることで、研究の透明性と継続的な情報共有を確保しています。​
過去の助成実績は、レモネードスタンドジャパンの公式ウェブサイトで公開されており、どのような研究プロジェクトが支援されてきたかを確認することができます。医療従事者は、この助成制度を活用することで、患者数が少なく研究開発費の確保が困難な小児がん治療の研究を進めることが可能になります。​
キャンサーネットジャパン公式サイトでは、過去の助成先や助成金額などの詳細情報を確認できます

レモネード活動によるAYA世代がん患者への具体的支援内容

AYA世代とは、Adolescent and Young Adult(思春期と若年成人)の略で、一般的に15歳~39歳を指します。この世代のがん患者は、治療中やその後の生活の中で、就学、就労、恋愛、結婚、出産など人生のターニングポイントとなる様々な出来事と向き合う機会があり、高齢のがん患者とは異なる世代特有の問題を抱えています。​
キャンサーネットジャパンのレモネードスタンド活動では、22歳以下のがん患者さんへ新古ウィッグプレゼント企画を運営しています。
抗がん剤治療による脱毛は、若い世代にとって特に心理的負担が大きく、外見の変化による自己イメージの低下や社会活動への参加意欲の減退につながることがあります。医療用ウィッグの提供は、こうした患者のQOL向上に直接的に寄与する重要な支援です。

 

参考)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000161.000025644.html

さらに、小児・AYA世代のがんの普及啓発や患者支援を目的としたプロジェクト、レモネードスタンドの開催支援なども活動の一環として実施されています。2025年8月には、レモネードスタンドジャパン応援アンバサダー「レモン&シュガー」とのコラボレーションTシャツの販売を開始し、売上の一部を小児・AYA世代のがん治療研究への助成に充てる取り組みも行われました。このようなグッズ販売を通じた支援は、より多くの人々が気軽に参加できる仕組みとして機能しています。​

小児・AYA世代がんにおける治療研究の課題と必要性

小児・AYA世代のがんは患者数が少ない上に希少ながんが多く存在するという特徴があります。治療研究や新薬開発を進めるには膨大な費用がかかりますが、患者数の少ない小児がんは研究開発費の回収が難しく、治験を始めても患者数が少ないため結果が分かるまで長い期間がかかってしまいます。そのため研究開発が遅れている状況にあり、徐々に治療環境の整備は進んでいるものの、まだ十分とはいえません。​
日本では年間約2,000人から2,500人の小児がん患者が発生し、全世代のがん患者の約2%を占めています。小児がんの種類は、小児期特有のものから成人型がんまで多様で希少なものが多く、それぞれに適した治療法の開発が必要です。2018年に策定された「第三次がん対策推進基本計画」では「AYA世代のがん対策の充実」が重点課題として盛り込まれましたが、AYA世代のがん患者数は他の世代よりも少ないため、医療や相談支援の経験を積むことが難しいという課題があります。

 

参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11854022/

さらに、がんを克服しても成長の違いや不妊などの晩期合併症を抱えている人も多く、長期のフォローアップが必要です。就学や就労、恋愛、結婚など社会で自立するための支援も必要としており、大人のがんと異なる複合的な課題に直面しています。医療従事者には、こうした世代特有のニーズを理解し、包括的な支援を提供することが求められます。

 

参考)https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000196975.pdf

小児・AYA世代がんの主な課題

課題項目 具体的な内容 影響
患者数の少なさ 希少がんが多く年間発生数が少ない​ 研究開発費の回収困難、治験期間の長期化​
晩期合併症 成長障害、不妊、臓器機能障害など​ 長期フォローアップの必要性​
心理社会的課題 就学、就労、恋愛、結婚、出産との両立​ 世代特有の包括的支援が必要​
医療体制 経験のある医療従事者の不足​ 専門的な相談支援の提供が困難​

医療従事者がレモネードスタンド活動に参加する意義と方法

医療従事者は、レモネードスタンド活動に様々な形で関わることができます。最も直接的な関わり方は、研究助成への応募です。前述の通り、キャンサーネットジャパンは小児がん治療成績の向上を目的としたプロジェクトに対して助成を行っており、日本国内の医療機関や研究機関に属する医療従事者が申請できます。この助成金を活用することで、通常の研究費では取り組みにくい希少がんの研究や、患者数が少ないために企業からの支援を得にくい臨床研究を進めることが可能になります。​
また、医療従事者は患者や家族にレモネードスタンド活動について情報提供を行うことも重要な役割です。治療を受けている患者やその家族に、こうした支援活動が存在することを伝え、必要に応じてウィッグプレゼント企画などの支援プログラムを紹介することで、患者のQOL向上に貢献できます。特に、脱毛などの外見変化に悩む若い患者にとって、こうした情報は大きな支えとなります。

 

参考)【全国小児がん・子ども病院支援イベント】ウィッグドネーション…

さらに、医療機関内でのレモネードスタンド開催をサポートすることも可能です。病院の待合スペースや敷地内でのレモネードスタンド開催は、患者や家族、来院者に対する啓発活動としても機能します。キャンサーネットジャパンは、レモネードスタンド開催を希望する団体に対して運営マニュアルの提供やウェブサイトでの告知などのサポートを行っています。​
地域の啓発イベントへの参加も、医療従事者が貢献できる重要な活動です。毎年6月に開催される全国一斉レモネードスタンドでは、多くの地域で医療関係者が協力し、小児がんやAYA世代のがんについての正しい知識を広める活動を行っています。こうした啓発活動は、早期発見や適切な治療機会の確保につながる重要な社会貢献です。youtube​​
レモネードスタンドジャパン公式サイトでは、開催方法や運営マニュアルなどの詳細情報が提供されています

レモネード支援活動が医療現場にもたらす新たな視点

レモネードスタンド活動は、医療従事者に患者中心の医療の重要性を再認識させる機会を提供しています。栃木県の事例では、小児がんで娘を亡くした保護者が主導してレモネードスタンドを開催し、同じ病気の子どもたちを支援する活動を続けています。このような患者家族の想いに触れることで、医療従事者は治療だけでなく、患者とその家族の心理社会的側面へのサポートの重要性を深く理解することができます。youtube​
また、レモネードスタンド活動は地域コミュニティと医療機関をつなぐ架け橋としても機能しています。学校の文化祭、地域のお祭り、企業のイベントなど、様々な場所で開催されるレモネードスタンドは、小児がんやAYA世代のがんについての認識を広げ、社会全体での支援の輪を広げています。医療従事者がこうした地域活動に参加することで、医療機関の外でも患者支援のネットワークを構築することができます。​
さらに、レモネードスタンド活動から得られる資金は、従来の研究費では支援されにくい分野への投資を可能にしています。例えば、患者のQOL向上に直結するウィッグ提供プログラムや、患者交流会の開催など、医学的治療以外の包括的な患者支援プロジェクトに資金を充てることができます。これは、がん医療が「治療」から「治療と生活の質の向上」へとシフトしている現代の医療トレンドとも合致しています。​
興味深いことに、レモネードスタンド活動に参加する子どもたちやボランティアの中から、将来医療従事者を目指す人が生まれることもあります。こうした活動を通じて小児がんやがん医療に関心を持った若者が、将来的にこの分野の専門家となり、研究や臨床の現場で活躍する可能性があります。このように、レモネードスタンド活動は即時的な資金提供だけでなく、長期的な人材育成の観点からも医療界に貢献していると言えます。youtube​
レモネードスタンド活動への医療従事者の関わり方

  • 研究助成への応募:小児がん治療研究プロジェクトへの助成金申請​
  • 患者への情報提供:ウィッグプレゼント企画などの支援プログラムの紹介​
  • 院内開催のサポート:医療機関内でのレモネードスタンド開催の支援​
  • 地域啓発活動への参加:全国一斉レモネードスタンドなどのイベント協力youtube​
  • 患者家族との連携:患者会や家族会と協力した支援活動の展開youtube​

レモネードスタンド活動は、医療従事者にとって単なる資金調達の手段ではなく、患者中心の医療を実践し、地域社会と連携しながら包括的な患者支援を行うための重要なプラットフォームとなっています。この活動に参加することで、医療従事者は臨床の現場だけでは得られない、患者とその家族の生活や想いに触れる貴重な機会を得ることができます。​youtube​

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