ノロウイルス感染対策ガイドライン医療従事者向け最新版

医療機関でのノロウイルス感染対策、アルコール消毒の限界や次亜塩素酸ナトリウムの正しい使い方を解説します。症状消失後も感染リスクが続く理由をご存知ですか?

ノロウイルス感染対策ガイドライン

症状が治まっても1週間は便からウイルスを排出し続けます。


この記事の3ポイント要約
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アルコール消毒は効果不十分

ノロウイルスはエンベロープを持たないため、一般的なアルコール消毒では十分な効果が得られません。次亜塩素酸ナトリウムによる消毒が基本です。

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石けんと流水による手洗いが最重要

30秒のもみ洗いと15秒のすすぎを2回繰り返すことで、ウイルス残存率を約0.0001%まで減少させることができます。

症状消失後も1週間はウイルス排出継続

回復後も便中にウイルスが排出され続けるため、手洗いの徹底と適切な消毒が必要です。小児では1ヶ月以上排出される場合もあります。


ノロウイルス感染対策の基本原則


ノロウイルスは感染力が極めて強く、わずか10〜100個程度の少量でも感染が成立します。医療機関での院内感染を防ぐためには、標準予防策接触予防策を徹底することが基本です。


厚生労働省は医療機関等に対し、手洗いの徹底及び糞便・吐物の適切な処理を指導しています。感染対策委員会の設置や定期的な病棟ラウンドを通じて、平時からの感染予防体制を整備することが重要です。


病床規模が300床以上の医療機関では、医師、看護師、薬剤師、検査技師からなる感染制御チームを設置し、組織的な対策を講じることが推奨されています。感染症アウトブレイクへの対応は、早期発見と早期対応がとなります。


つまり組織的な体制整備が基本です。


ノロウイルスに対するアルコール消毒の限界

一般的なアルコール消毒は、ノロウイルスに対して効果が十分ではありません。これはノロウイルスが「エンベロープ」という脂質の膜を持たないウイルスだからです。


インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスはエンベロープを持っており、アルコールによってこの膜を破壊できます。しかしノロウイルスはもともとエンベロープを持たないため、アルコールに対して抵抗性があるのです。


擦式アルコール手指消毒では効果が乏しく、石けんと流水による手洗いが効果的であるとガイドラインで明記されています。アウトブレイク中の感染対策では、感染患者のケア後には流水と石けんを用いた手指衛生が求められます。


アルコールだけでは不十分です。


医療機関では、入口に設置されているアルコール消毒だけに頼らず、必ず石けんと流水による手洗いを併用する必要があります。30秒間のもみ洗いと15秒間の流水でのすすぎを2回繰り返すと、ノロウイルスの残存率を約0.0001%まで減らすことができたという実験結果があります。


食品安全委員会によるノロウイルス消毒方法の詳細ガイド


ノロウイルス感染対策における次亜塩素酸ナトリウムの使い方

ノロウイルスの消毒には次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤)が有効です。使用する濃度は汚染の程度によって調整する必要があります。


嘔吐物や糞便による汚染場所には、次亜塩素酸ナトリウム1000ppm(0.1%)を使用します。床などの汚染場所は200ppm(0.02%)で浸すようにペーパータオル等で覆うか、拭き取り、その後水拭きします。


消毒液の作り方は、水2リットルに対して塩素系漂白剤10ml(200ppm)または40ml(1000ppm)を目安に作ります。次亜塩素酸ナトリウムの殺菌力は有機物による影響を受けるため、必要に応じて濃度を調節しましょう。


濃度の使い分けが重要です。


ただし次亜塩素酸ナトリウムには腐食作用や漂白作用があります。濃度が濃いほど、また作用させる時間が長いほどノロウイルスに対して有効ですが、反面、対象物を変色させる可能性があります。医療器具や環境面の消毒では、素材の特性を考慮して使用してください。


ノロウイルス感染患者の隔離と接触予防策

ノロウイルスに感染した患者は、個室に隔離し接触予防策を実施することが原則です。発症者は個室が望ましく、やむを得ない場合は同じ症状の集団で管理します。


トイレ付きの個室が理想ですが、トイレが付いていない場合は専用トイレを設け、使用後は清拭消毒をします。同じ病棟内で集団発生があった場合は、大部屋での集団隔離も可能です。


患者配置の際には、発症した患者と同室だった患者はすでに感染している可能性を考慮します。医療器具(血圧計、聴診器など)は専用とし、患者専用の手洗いも確保することが推奨されます。


個室隔離が基本原則です。


感染対策として、感染対策委員会を開催し、ノロウイルス検査を実施し、新入院や転棟、面会の制限を検討することが必要です。感染の拡大を防ぐためには、早期の組織的対応が不可欠となります。


環境感染学会によるノロウイルス感染症の詳細解説


ノロウイルス嘔吐物処理の正しい手順

嘔吐物処理では、必要な個人防護具(使い捨てマスク、手袋、ガウン等)を着用し、十分に換気を行います。浮遊ノロウイルスや消毒液のガスを吸い込むリスクがあるため、換気は必須です。


嘔吐物はウイルスが飛び散らないようにペーパータオル等で静かに拭き取り、ビニール袋に密閉して廃棄します。この際、ビニール袋に廃棄物が十分に浸る量の次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度1000ppm)を入れることが望ましいです。


拭き取った後の汚染場所には、次亜塩素酸ナトリウム消毒液をしっかりと噴霧し、5〜10分程度そのまま置いてウイルスを殺菌します。使用した布やタオルはすぐにビニール袋に入れ、消毒液が布にしみこむ程度まで注いだら、ビニール袋を固く縛って処分しましょう。


静かに拭き取るのがコツです。


食事中に食器が嘔吐物で汚れた場合、厨房に持ち込まないために事前に処理を行うことが重要です。二次感染を防ぐためには、処理手順の徹底が欠かせません。


ノロウイルス感染後のウイルス排出期間

ノロウイルスの主症状は通常1〜3日で改善しますが、症状消失後も便中へのウイルス排出は継続します。排出期間は感染後1週間程度が一般的ですが、長い場合は1か月程度続くこともあります。


糞便中へのノロウイルス排泄量は54%が10の8乗コピー/g以上であり、大量のウイルスが糞便中に排泄されています。不顕性感染者でも13〜15日間ウイルスを排出し、ウイルス量も10の7乗コピー/gと報告されています。


小児では1ヶ月以上の排泄も認められており、リアルタイム定量PCRでは回復後最長56日間も便でのウイルス排出が確認されました。症状が強い時期が最も感染力は高いですが、症状消失後も数日〜1週間程度は排出されることがあります。


1週間は注意が必要です。


食品製造・流通・販売従事者や医療従事者は、ノロウイルス回復後も自分がウイルスを排出している自覚を持つ必要があります。手洗いの徹底と適切な衛生管理を継続することが、二次感染防止の鍵となります。


ノロウイルス感染対策における二重手袋の考え方

米国CDCは、一般的には標準予防策あるいは感染経路予防策の一環として二重手袋を推奨していません。吐物処理時に二重手袋を明確に推奨しているガイドラインはなく、基本的には一重手袋を使用し、汚染の際に交換します。


日本環境感染学会の吐物・汚物の処理に関する手順書にも、手袋は必要に応じて交換できるよう2組準備と記載があり、二重手袋を推奨してはいません。通常の吐物処理では一重手袋で十分です。


ただし発生場面のリスク評価に基づき、曝露リスクが高いと判断された場合には二重手袋も選択肢となります。吐物量が多い場合や作業者の汚染リスクが高いと判断した場合には、二重手袋を選択することも一案です。


リスク評価次第ということですね。


摘便など手袋破損のリスクが高い処置では、二重手袋で処置を行い、万が一外側の手袋が破損されても内側の手袋で守ることができます。手術用手袋の二重装着では、外側手袋が穿刺されたときの患者の血液への曝露リスクを最大87%減少させるという研究結果もあります。


ノロウイルス感染対策における個人防護具(PPE)の使用

ノロウイルスの感染が疑われる患者治療区域に入る場合は、標準予防策・接触予防策にしたがったPPE使用(入室時のガウンや手袋)を遵守することが推奨されます。感染性の嘔吐物や糞便に暴露する可能性を減らすための基本装備です。


手袋は使い捨てタイプを使用し、汚染された場合や処置が終わった後は速やかに交換します。手袋を外した後は必ず石けんと流水で手洗いを行うことが重要です。


ガウンやエプロンは、嘔吐物や排泄物の処理時に衣服の汚染を防ぐために着用します。使い捨てマスクは飛沫や浮遊ウイルスの吸入を防ぐために必要です。


PPEの適切な着脱が基本です。


医療機器を介した感染事例も報告されているため、使用済みの医療機器は消毒または滅菌に先立ち、適切な手順を遵守できるよう体制を整備することが必要です。感染対策の徹底には、個人防護具の正しい使用と廃棄手順の理解が欠かせません。


ノロウイルス感染対策の医療機関での体制整備

医療機関でのノロウイルス感染対策には、平時からの感染予防と早期発見の体制整備が重要です。アウトブレイクが生じた場合またはアウトブレイクを疑う場合の早期対応が、被害拡大を防ぐ鍵となります。


感染制御チームは定期的に病棟ラウンドを実施し、感染対策の実施状況を確認します。手洗いの励行、患者専用のトイレや手洗いの確保、医療器具の専用化など、具体的な対策を現場で徹底させる役割を担います。


院内感染が疑われた場合は、感染対策委員会を開催し、ノロウイルス検査を実施し、新入院や転棟、面会の制限を検討します。組織的な対応により、感染拡大を最小限に抑えることができます。


早期対応が被害を抑えます。


排泄物の処理の後、調理や食事の前、トイレの後には必ず手洗いを行うという基本原則を、全職員に徹底させることが感染対策の基盤となります。継続的な教育と訓練を通じて、医療従事者の感染対策スキルを維持向上させることが求められます。


看護師向けノロウイルス感染症ケア編の詳細ガイド






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