六神丸と救心はいずれも生薬製剤で、丸剤として「どうき・息切れ・気つけ」を適応に掲げますが、配合成分が一致していません。
まず六神丸(虔脩ホリ六神丸R)は、蟾酥・牛黄・鹿茸末・人参・真珠・龍脳・動物胆の7種構成で、6粒中の分量が公開されています(例:蟾酥5mg、牛黄3mg、鹿茸末5mg、人参23mg、真珠7.5mg、龍脳2.7mg、動物胆6mg)。
一方の救心は9種構成で、六神丸側の7種に加えて羚羊角末と沈香が含まれ、6粒中の分量も異なります(例:蟾酥5mg、牛黄2mg、鹿茸末5mg、人参25mg、羚羊角末6mg、真珠7.5mg、沈香3mg、龍脳2.7mg、動物胆8mg)。
表にすると、患者説明で「同じ成分もあるが、処方は同一ではない」を一言で伝えられます。
| 成分 | 六神丸(虔脩ホリ六神丸R) | 救心 |
|---|---|---|
| 蟾酥(センソ) | 6粒中 5mg | |
| 牛黄(ゴオウ) | 6粒中 3mg | 6粒中 2mg |
| 鹿茸末(ロクジョウマツ) | 6粒中 5mg | |
| 人参(ニンジン) | 6粒中 23mg | 6粒中 25mg |
| 真珠(シンジュ) | 6粒中 7.5mg | |
| 龍脳(リュウノウ) | 6粒中 2.7mg | |
| 動物胆(ドウブツタン) | 6粒中 6mg | 6粒中 8mg |
| 羚羊角末(レイヨウカクマツ) | 配合なし | 6粒中 6mg |
| 沈香(ジンコウ) | 配合なし | 6粒中 3mg |
医療従事者の観点では、効能が同一でも「鎮静方向の補助線(羚羊角末)」「香気性生薬(沈香)」が救心に入る点を、患者の主訴(不安・緊張の関与が強いか)と合わせて説明すると納得感が出やすいです。
また両製品とも、蟾酥の説明として「心筋に働いて拍動を強くする」「心筋収縮力を高め血液循環をよくする」といった機序説明が公式に示されており、循環器症状への入口としては共通しています。
参考:救心(丸剤)の公式成分表(各生薬の分量と説明)
救心の成分(6粒中)・作用説明の公式一覧
参考:虔脩ホリ六神丸Rの公式成分表(7種構成での分量と説明)
虔脩ホリ六神丸Rの成分(6粒中)・作用説明の公式一覧
添付文書・公式製品情報の範囲では、六神丸(虔脩ホリ六神丸R)と救心はいずれも効能として「どうき、息切れ、気つけ」を掲げており、ここは同じです。
ただし臨床現場の会話では、「どうき」という単語が不整脈・貧血・甲状腺機能異常・パニック発作・薬剤性など幅広い鑑別を内包します。
そのためOTC強心薬として説明するなら、効能表示をそのまま復唱するだけでなく、患者が言う「どうき」を“頻度・持続時間・誘因・随伴症状”に分解し、危険なパターンを先に除外するのが実務的です。
特に「息切れ」は、心不全増悪・肺塞栓・喘息/COPD増悪・肺炎など緊急性が混じるので、OTCで様子を見る選択が妥当かを短時間で見極める必要があります。
「気つけ」は、公式説明上「意識が低下したり、めまいや立ちくらみがしたとき」といった状況例が並ぶため、熱中症/脱水、起立性低血圧、過労などを想起させます。
ここでのポイントは、六神丸と救心の“効能は同じ”という事実を押さえつつ、どちらを選ぶか以前に「受診が先」のケースを確実に拾うことです。
患者へ一言で伝える例(現場向けの言い換え)
六神丸(虔脩ホリ六神丸R)も救心も、用法・用量は「大人(15才以上)1回2粒、1日3回、朝夕および就寝前に水またはお湯で服用」と案内されています。
ここは「違いがない」ため、患者が混乱しやすい“飲み方のクセ”を強調するほうが安全に寄与します。
両者に共通して重要なのが、「口の中や舌下にとどめたり、かんだりしないこと」で、そうした飲み方をすると成分の性質上、舌や口の中にしびれ感が残ることが明記されています。
この注意書きは、服薬後の問い合わせ(「副作用ですか?」)を減らす実務上のツボなので、交付時に先回りで説明しておくとトラブル予防になります。
服薬指導の例(短く、しかし具体的に)
また、救心・六神丸とも「小さな丸剤で、崩壊性にすぐれ、薬効成分がすみやかに吸収されるよう工夫」といった剤形設計の説明があり、“噛まずに飲む”設計思想とも整合します。
公式ページの範囲では、両者とも生薬の「主な作用・特長」が成分表に記載されており、蟾酥が心筋に作用して拍動・収縮力を高める説明が示されています。
このため、医療従事者としては「動悸があるから強心薬」ではなく、循環器系の既往や併用薬を確認してから勧める、という姿勢が重要になります。
実務で最低限確認したい“購入前チェック”(聞き取りの型)
「六神丸と救心の違い」というテーマでも、患者安全の観点では“違いの説明”より“危険徴候を拾う”ほうがアウトカムに直結します。
特に「いつもと違う」「急に悪化」「胸が痛い」「息ができない」は、OTCの比較検討を中断して医療につなぐ合図として統一しておくとチーム内でブレません。
検索上位の比較記事は、成分表の差分(救心に羚羊角末と沈香がある、動物胆が多い等)に着地しがちです。
しかし現場での“本当の違い”は、成分表の暗記よりも「患者の自己解釈を修正できるか」にあります。
患者は「救心=心臓病の薬」「六神丸=安い救心」「強心薬=不整脈が治る」といった短絡で理解しやすく、ここを放置すると受診遅れや過度な期待につながります。
そこで説明は、次の順番にすると短時間でも誤解が減ります。
さらに“意外と見落とされる”のが、同じメーカーでも製品ごとに添加物が違う点で、救心は添加物としてトウモロコシデンプン、寒梅粉、カルメロース、薬用炭などが示され、六神丸(虔脩ホリ六神丸R)はパラベンを含むなど差があります。
アレルギー・添加物過敏を強く気にする患者、嚥下が苦手で剤形に敏感な患者には「効能・用量だけでなく、剤形と添加物も違う」ことを一言添えると、クレーム予防と信頼形成の両面で効きます。
最後に、医療者として言語化しておくと便利な“ワンフレーズ”を置きます。