あなたは赤沈だけで炎症判断すると誤診で損します
赤沈(ESR)は赤血球がどれだけ速く沈むかをみる検査です。単位は1時間値でmmです。例えば成人男性で10mm/h未満が目安です。これが50mm/h以上になると明らかな亢進と判断されます。結論は蛋白変化です。
炎症時にはフィブリノゲンや免疫グロブリンが増え、赤血球表面の電荷(ゼータ電位)が低下します。その結果、赤血球が連銭形成し重くなり沈降が速くなります。つまり凝集促進です。
ただし赤血球数や形状も影響します。例えば小球性より正球性のほうが沈みやすい傾向があります。ここが盲点です。
赤沈とCRPは同じ炎症指標ですが動きが違います。CRPは6〜8時間で上昇し、半減期も短く改善とともに速やかに低下します。一方、赤沈は上昇まで24〜48時間かかります。ここが重要です。
つまり急性期の評価はCRPが優位です。結論は使い分けです。
逆に慢性炎症や経過観察では赤沈が有用です。例えば関節リウマチや結核では赤沈が長く高値を維持します。これは使えそうです。
厚労省の検査指標解説
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411.html
赤沈亢進は炎症だけではありません。ここが落とし穴です。
例えばヘモグロビン8g/dL程度の貧血では、赤血球密度が低下し沈降が速くなります。つまり浮力低下です。
妊娠ではフィブリノゲン増加によりESRは妊娠後期で50mm/h以上になることもあります。これは生理的です。
高齢者も上昇しやすいです。70歳以上では20〜30mm/hでも正常範囲内とされることがあります。年齢補正式が基本です。
著明な赤沈亢進(100mm/h以上)では腫瘍性疾患を疑います。代表は多発性骨髄腫です。ここは重要です。
免疫グロブリン(M蛋白)が大量に存在すると赤血球凝集が極端に進みます。その結果、沈降が異常に速くなります。結論は蛋白異常です。
例えばIgG型骨髄腫ではESRが100mm/hを超えるケースが多く報告されています。これは見逃せません。
このリスク場面では、原因特定を狙い、血清蛋白電気泳動を1回確認するのが有効です。行動は一つです。
日本血液学会の疾患解説
https://www.jshem.or.jp/modules/general/index.php?content_id=11
赤沈単独で炎症判断するのは危険です。ここが最大の誤解です。
例えばCRP正常で赤沈のみ高値の場合、慢性炎症・貧血・腫瘍を疑うべきです。つまり単独評価は不可です。
逆にCRP高値で赤沈正常もあります。発症初期や急性感染が典型です。時間差が原因です。
あなたが外来で判断する場面では、CRP・Hb・総蛋白をセットで確認するだけで誤診リスクは大きく下がります。これだけ覚えておけばOKです。