アコファイドとガスモチンの違いと機能性ディスペプシア治療薬

アコファイドとガスモチンはどちらも消化管運動に関わる薬ですが、適応や作用機序、使いどころが同じではありません。医療従事者として患者説明と処方設計の精度を上げるために、何を軸に使い分けますか?

アコファイドとガスモチンの違い

アコファイドとガスモチンの違い:最初に押さえる3点
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適応(診断名と症状の一致)

アコファイドは「機能性ディスペプシア(FD)の食後膨満感・上腹部膨満感・早期満腹感」を軸に設計された薬。ガスモチンは消化管運動促進薬としてより広い場面で使われがちで、適応と処方目的の整合が重要。

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作用機序(AChE阻害 vs 5-HT4)

アコファイドはAChE阻害でACh分解を抑え、胃運動(特に食後期)を底上げする設計。ガスモチン(モサプリド)は5-HT4受容体刺激→ACh遊離増大という上流のスイッチを押す設計。

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長期投与の考え方(漫然投与を避ける)

FDは再燃と寛解を繰り返しやすいので、症状変化に合わせて休薬・再投与も視野に入れ、4〜8週を目安に効果判定して次の手を考える。

アコファイドとガスモチンの作用機序の違い(AChE阻害・5-HT4受容体)


アコファイド(一般名:アコチアミド)は、コリン作動性神経終末から放出されたアセチルコリン(ACh)がアセチルコリンエステラーゼ(AChE)で分解される流れに介入し、AChE阻害によりACh分解を抑えて局所のACh量を増やすことで、胃前庭部・胃体部の収縮や運動を増強させる薬として位置づけられます。
PMDAの資料では、アコチアミドはAChEに対して選択的で(BuChEとの阻害比が>330)、かつ透析で阻害がほぼ消失する=可逆的阻害であることが示されており、「強く不可逆に固めてしまう」タイプではない点が臨床的な安心材料になります。
またアコチアミドは、ムスカリン受容体やドパミンD2受容体、セロトニン5-HT4受容体など主要な運動調節受容体への親和性が低いとされ、“受容体に強く結合して直接刺激する”よりも、“AChの利用可能性を整える”設計思想が読み取れます。
一方、ガスモチン(一般名:モサプリド)は、選択的セロトニン5-HT4受容体アゴニストとして、消化管内在神経叢の5-HT4受容体を刺激し、ACh遊離増大を介して上部・下部消化管運動促進作用を示すと考えられています。


参考)モサプリドクエン酸塩錠5mg「日医工」の効能・副作用|ケアネ…

つまり、同じ「ACh系を介して運動を上げる」でも、アコファイドはAChの分解抑制(下流の“減衰”を止める)で、ガスモチンはACh放出増大(上流の“出力”を上げる)という違いです。

この違いは、患者説明でも使えます。例えば「アコファイドは、胃を動かす神経の“信号が消えにくくなる”薬」「ガスモチンは、その“信号を出しやすくする”薬」と言語化すると、作用機序の差が短時間で伝わります。

アコファイドとガスモチンの適応と機能性ディスペプシア(FD)での位置づけ

FDは「症状を説明できる器質的疾患がないのに、慢性的に心窩部痛・胃もたれ等の上腹部症状を呈する疾患」と整理され、Rome基準を参照しつつも、実臨床では症状の幅を医師が判断するというスタンスが日本のガイドラインで明確です。
同ガイドラインの診断・治療フローチャートでは、一次治療として酸分泌抑制薬に加えて、運動機能改善薬(アコチアミド)や漢方(六君子湯)が挙げられ、治療期間は4〜8週を目安に効果がなければ次ステップへ進むことが示されています。
ここで重要なのは、「FDという診断の中でも、PDS(食後膨満感・早期満腹感)寄りなのか、EPS(心窩部痛・灼熱感)寄りなのか」で薬剤選択の納得感が変わることです。
アコファイドの予定効能・効果としてPMDA資料には「機能性ディスペプシア(食後の膨満感、上腹部膨満感、早期満腹感等の消化器症状)」が明記され、用法・用量は「通常、成人には1日3回毎食前100mg経口投与」とされています。


つまり、上腹部症状のうちでも“食後のつらさ(PDS寄り)”を正面から取りに行く薬として設計されている点が、ガスモチンとの差を語るうえでの土台になります。


参考)新規機能性ディスペプシア(FD)治療薬アコチアミド塩酸塩水和…

ガスモチン(モサプリド)は、5-HT4受容体刺激→ACh遊離増大というメカニズムで上部・下部消化管運動を促進するため、臨床現場では胃もたれ、便秘傾向、食後の停滞感など「運動低下が関与しそうな症状」に幅広く使われがちです。

ただし“使われがち”と“適応疾患・推奨の文脈に合う”は別なので、FDとして説明するなら、まずガイドラインの枠組み(一次治療→二次治療、4〜8週で再評価)に乗せ、患者の主訴がPDS優位であればアコファイドの合理性が立ちやすい、と整理すると処方理由がブレにくいです。

アコファイドとガスモチンの用法用量と服薬指導(毎食前・効果判定)

アコファイドは「1日3回毎食前」という投与タイミングが明確で、食後症状を狙う薬として服薬指導が組み立てやすいのが利点です。
服薬指導では「食後の膨満感や早期満腹感が主症状なら、食事の前に飲むことに意味がある」ことを一言添えると、コンプライアンスが上がりやすくなります。
FD治療全体としては、4〜8週を目処に治療し、効果が乏しければ次のステップへ進むという時間軸がガイドラインで示されます。

この時間軸に合わせて、処方時点で「いつ・何で効いたと判断するか」を医療者側が明確にしておくのが実務上のポイントです(例:2週時点で食後膨満感が何割減ったか、早期満腹で摂取量が戻ったか、頓用制酸薬の回数が減ったか等)。

薬剤の“勝ち筋”を症状で測る姿勢があると、薬を替えるときも「効かなかったから変更」ではなく「この症状には寄与が薄かったので次は別ターゲットへ」という説明ができ、患者の信頼を落としにくいです。

ガスモチンの服薬指導は、薬理としては「5-HT4受容体を介してACh遊離を増やし運動を促進する」という説明が中核になりますが、患者には「腸の動きを整える側面もある」など症状の実感に合わせた言い換えが有用です。

ただし、同じ“胃もたれ”でもFDのPDS、胃食道逆流、薬剤性、食行動、心理社会因子など背景が異なるため、薬効説明が先行して診断が曖昧になるのは避けたいところです。

アコファイドとガスモチンの安全性と相互作用(CYP・QT・併用)

相互作用の観点では、アコチアミドはCYPに対する阻害作用をほとんど示さないため、薬物動態学的相互作用が起こる可能性は低いと考えられた、というPMDA資料の記載があり、多剤併用の多い患者では“処方設計の気持ち悪さ”が減る要素になります。
またPMDA資料には、アコチアミドの安全性薬理としてhERG電流に対する評価やQT間隔への影響評価が実施されている記載があり、少なくとも承認審査の枠組みで心電図関連の検討が組み込まれていることは押さえておくと安心です。
ガスモチン(モサプリド)については、添付文書系情報として「選択的5-HT4受容体アゴニストで、ACh遊離増大を介して消化管運動促進」と整理されます。

一方で、消化管運動促進薬の領域は過去にQT延長などで問題となった薬剤の歴史(例:シサプリド)を背景に、心電図リスク、併用薬(マクロライド等)や電解質異常、高齢者などの文脈で“気を付ける癖”が臨床的には重要です。


参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/medical_interview/IF00003533.pdf


モサプリドのインタビューフォームには、エリスロマイシン併用でモサプリドのCmax増加など代謝阻害が示唆された記載があり、併用薬チェックの必要性を再確認させます。

ここまでを踏まえると、ざっくりした使い分けは次のように言語化できます。


  • ✅ FD(特にPDS寄り:食後膨満感・早期満腹感)で、ガイドラインの一次治療の枠に沿って選ぶならアコファイドが説明しやすい。​
  • ✅ 幅広い運動低下症状で「上部・下部消化管運動促進」を狙うならガスモチンが候補になるが、併用薬や背景リスクも含めた設計が要点。

アコファイドとガスモチンの独自視点:FDの「症状の型」と薬剤の“効き方のズレ”を先に説明する

検索上位の記事は、作用機序や適応の“違い一覧”で終わることが多い一方、現場で困るのは「患者の言う胃もたれが、薬理で想定する胃もたれと一致しない」ケースです。ここを先回りして説明できると、治療満足度が上がり、不要な薬剤追加も減ります。
FDガイドラインでは、FDの発症要因として消化管運動異常だけでなく、知覚過敏、ストレスと脳腸相関、胃底部弛緩不全、H. pylori感染など多因子が並列で挙げられ、「症状との関連性は不明な点も多い」とされています。
つまり、運動機能改善薬を使っても“効かないのが普通に起こりうる”病態であり、そのときに「薬が弱い」「患者が大げさ」といった解釈を避ける言葉が必要です。
実務で使えるフレーズとしては、例えば次のような説明が有効です(患者向けに言い換えています)。


  • 🧠「胃の動きの問題が主役の人には、この薬は合いやすいです。ただ、胃の“感じ方”が敏感になっているタイプだと、別の治療のほうが近道になることがあります。」
  • 🍽️「食後の張りやすさが中心なら、食前に飲むタイプ(アコファイド)が理屈に合います。痛みや灼熱が強いなら、酸の治療を優先することがあります。」​

さらに意外と効くのが「中止の設計」を最初から共有することです。FDは再燃・寛解を繰り返すことがあり、ガイドラインでも治療を段階的に見直す設計が前提です。

「ずっと飲み続ける薬」なのか「症状の波に合わせて調整する薬」なのかを先に合意しておくと、漫然投与の回避だけでなく、患者の自己調整(勝手な中止・再開)も減ります。

参考:FD診断・治療のフローチャート(一次治療/二次治療、4〜8週での見直し、アコチアミドの位置づけ)が図で確認できる
日本消化器病学会 機能性消化管疾患診療ガイドライン2021―機能性ディスペプシア(FD)
参考:アコファイド(アコチアミド)の作用機序(AChE阻害、可逆性、選択性)や安全性薬理(hERG等)が一次資料で確認できる
PMDA 承認申請資料(CTD概要)アコファイド:薬理・作用機序




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