医療従事者の9割超がビタミンD不足または欠乏状態と判定されています。

ビタミンDが豊富な食品は、大きく「魚類」「きのこ類」「卵・魚卵」の3カテゴリに絞られます。野菜、穀類、豆類、芋類には、ほとんど含まれていません。これが基本です。
以下に、文部科学省「食品成分データベース」をもとにした可食部100gあたりの含有量ランキングを示します。
🐟 魚類トップ10(可食部100gあたり)
| 順位 | 食品名 | ビタミンD含有量 |
|------|--------|---------------|
| 1位 | あんこうのきも(生) | 110 µg |
| 2位 | しらす干し(半乾燥品) | 61 µg |
| 3位 | にしまあじ 開き干し(生) | 49.8 µg |
| 4位 | いわし 丸干し | 50 µg |
| 5位 | 身欠きにしん | 50 µg |
| 6位 | しろさけ すじこ | 47 µg |
| 7位 | しらす干し(微乾燥品) | 46 µg |
| 8位 | いくら | 44 µg |
| 9位 | かわはぎ | 43 µg |
| 10位 | しろさけ 焼き | 39 µg |
🍄 きのこ類(可食部100gあたり)
| 食品名 | ビタミンD含有量 |
|--------|---------------|
| あらげきくらげ 乾燥 | 128.5 µg |
| きくらげ 乾燥 | 85.4 µg |
| あらげきくらげ 油いため | 38 µg |
| 干ししいたけ(乾燥) | 17 µg |
| まいたけ(生) | 3 µg |
| しめじ(生) | 2 µg |
| 生しいたけ | 0.4 µg |
🥚 卵・乳製品など(可食部100gあたり)
| 食品名 | ビタミンD含有量 |
|--------|---------------|
| たまご(卵黄) | 6 µg |
| たまご(全卵・生) | 3 µg |
| うずら卵(生) | 3 µg |
| 豚たん(舌) | 2 µg |
| 普通牛乳 | 0 µg |
数字を見ると、魚の"脂の乗った部位"が圧倒的に強いことがわかります。あんこうのきもは100gあたり110µgと、1日の目安量(9.0µg)を約12日分も一度に満たす量が含まれています。それほど濃縮されているということですね。
一方、乾燥きくらげの128.5µgという数字も目を引きます。ただし「乾燥」100gは非常にかさが少なく、普段の料理で使う量は5〜10g程度です。数字のインパクトに惑わされず、実際の摂取量で考えることが大切です。
参考:文部科学省食品成分データベース(栄養素別食品一覧)
栄養計算サービス「ビタミンDの多い食品一覧表」(文科省データ準拠)
「魚をよく食べているから大丈夫」と思っていませんか。これは危険な思い込みです。
国立国際医療研究センターが2023年6月に実施した医療従事者2,543人のデータ解析では、ビタミンD不足(20〜29 ng/mL)が44.9%、ビタミンD欠乏(20 ng/mL未満)が45.9%と、合計で9割超が不足または欠乏状態にあることが判明しました。充足(30 ng/mL以上)と判定されたのは、わずか9.3%に過ぎませんでした。
なぜ魚食の多い日本人でもここまで不足するのでしょうか。その主な要因を整理すると下記のとおりです。
- 皮膚でのビタミンD産生が激減している:体内ビタミンDの約9割は、日光(UVB)を浴びることで皮膚が合成します。日焼け止めの常用、屋内勤務、COVID-19以降の外出自粛がこの産生を大幅に低下させています。上記の研究では、日焼け止めを常用している人は屋外活動によるビタミンD補充効果がほぼ消失することも示されました。
- 食事だけでは目安量に届きにくい:1日の摂取目安量9.0µgを食事のみで毎日達成するには、鮭1切れ(80g)や大量のしらす干しが必要です。忙しい医療職の食生活では、継続して摂り続けることが難しいのが現実です。
- 女性のほうがリスクが高い:同研究では、女性であることがビタミンD欠乏リスクの独立した関連因子(aOR 2.41)として特定されています。
つまり、食品から摂れる量に加えて、日光による産生がなければ充足は困難です。重要なポイントです。
参考:国立国際医療研究センター 伊東葵氏ら(Clinical Nutrition ESPEN掲載)
医療従事者の9割超がビタミンD不足/欠乏(Clinical Nutrition ESPEN、2024年)
ビタミンDは「脂溶性ビタミン」に分類されます。水には溶けず、油脂に溶けやすい性質を持っているということです。
この性質を活用すると、同じ量の食品でも体内への取り込み効率が変わります。脂質を含む食事と同時に摂ることで、腸管からの吸収が促進されます。逆に、空腹時や脂質ゼロの食事と組み合わせると、吸収率が大幅に下がる可能性があります。これは使えそうです。
具体的な食べ合わせの工夫を見てみましょう。
- きのこ類は油で調理する:生のしいたけや乾燥きくらげをサラダ油やオリーブオイルで炒めることで、ビタミンD2の吸収が高まります。炒め物や天ぷらは理にかなった調理法です。
- 鮭・イワシは脂の多い部位ごと食べる:皮や腹身に脂が集中しているため、皮を残さず食べることが吸収率の維持につながります。
- 卵黄と魚を組み合わせる:卵黄自体にも6µg/100gのビタミンDが含まれ、さらに脂質が豊富なため、魚料理のソースやトッピングとして活用するのが効率的です。
- サプリを使う場合は食後に:ビタミンDサプリも脂質を含む食事の後に服用することで、空腹時に比べて吸収率が高まるとされています。
腸内に脂肪が同時に存在するとビタミンDの吸収が促進される仕組みは、複数の研究でも一致して報告されています。一方で、脂質制限食を続けている場合はビタミンD吸収障害につながる可能性があることも、研究で示唆されています。
参考:日清オイリオ「油とビタミン類の深い関係」
脂溶性ビタミンと油の関係について(日清オイリオ)
ここは多くの人が見落としている点です。
きのこ類のビタミンDは、「調理前の処理」によって含有量が劇的に変わります。生しいたけには100gあたりわずか0.4µgしかビタミンDが含まれていません。しかし、傘の表(ひだを上にして)を天日に向けてわずか1〜2時間干すだけで、含有量が30倍以上に跳ね上がります。これは意外ですね。
この現象の仕組みは、きのこが持つ「エルゴステロール」という前駆体が、紫外線(UVB)に当たることでビタミンD2へ変換されることによります。きのこは植物と異なり、このUVBへの反応性が非常に高い食材です。
🍄 天日干しによるしいたけのビタミンD変化
| 状態 | ビタミンD含有量(100gあたり) |
|------|---------------------------|
| 生しいたけ | 0.4 µg |
| 干ししいたけ(機械乾燥) | 約2〜3 µg |
| 干ししいたけ(天日干し) | 12.7 µg以上 |
| UV照射干ししいたけ(商業製品) | 最大242 µg |
また、乾燥きくらげは生の状態でほぼゼロだったビタミンDが、乾燥(特に天日)工程を経ることで128.5µg/100gという驚異的な値になります。スーパーで売られている「乾燥きくらげ」を選ぶだけで、機械乾燥品とは異なるビタミンD量を得られる可能性があります。
ただし注意点が1つあります。乾燥きくらげを1日に100g食べることはまず不可能で、実際に使う量は5〜10g程度です。それでも6〜13µg相当となり、1日の目安量9.0µgに近づけることができます。乾燥きくらげを汁物や炒め物に加える習慣は、手軽で継続しやすい方法といえます。
参考:天日干しと機械乾燥の違いについて
干ししいたけ「天日干し」と「機械乾燥」の違い(野菜time)
前述のとおり、食事から毎日9.0µgを確保し続けることは、多忙な医療職にとって現実的に難しいケースがあります。そこでサプリメントの活用が選択肢に入りますが、上限量の理解が不可欠です。
日本人の食事摂取基準(2025年版)では、18歳以上の男女の目安量が9.0µg/日、耐容上限量が100µg/日と設定されています(妊婦・授乳婦の目安量も同様に9.0µg/日)。
この100µgという上限は「食事+サプリの合計」で考える必要があります。
⚠️ ビタミンD過剰摂取の主な症状(サプリの過量服用時)
| 段階 | 症状 |
|------|------|
| 初期症状 | 食欲不振・吐き気・嘔吐 |
| 中期症状 | 筋力低下・神経過敏・高血圧 |
| 重篤な状態 | 高カルシウム血症・腎機能障害・腎不全・不整脈 |
重要なのは、食事由来や日光による皮膚産生では過剰症はほぼ起きないという点です。紫外線を浴びすぎても皮膚でのビタミンD産生は自動的に調節されるため、日光浴だけで過剰症になることは原則ありません。過剰症はサプリメントの長期的・過量服用時に起こります。
サプリを選ぶ際の実用的なポイントをまとめます。
- ビタミンD3(コレカルシフェロール)を選ぶ:D2(エルゴカルシフェロール)よりも血中濃度を効率よく高める効果が報告されています。D2は植物・酵母由来でヴィーガン向けですが、D3のほうが体への吸収効率が高い傾向があります。
- 1日の摂取量が25〜50µg程度の製品を選ぶ:食事からの摂取量(平均6〜8µg)と合算しても上限の100µgに届かない範囲です。
- 腎疾患や高カルシウム血症がある場合は必ず主治医に相談:活性型ビタミンD製剤と市販サプリは全く別物であることも、医療従事者として患者指導時に注意が必要な点です。
血中ビタミンD濃度(25-ヒドロキシビタミンD)は採血で測定でき、日本内分泌学会・日本骨代謝学会の基準では充足の目安は30 ng/mL以上とされています。自身の状態を確認したい場合は、健康診断や人間ドックの際に測定を加えることが最も確実な手段です。
参考:厚生労働省eJIM(統合医療情報発信サイト)
ビタミンD(サプリメント・ビタミン・ミネラル)医療従事者向け情報(厚生労働省eJIM)
参考:健康長寿ネット「ビタミンDの働きと1日の摂取量」
ビタミンDの働きと1日の摂取量・過剰摂取について(健康長寿ネット)