デント病は小児期において多くの場合無症状であり、学校検尿でのたんぱく尿の指摘が診断のきっかけとなることが一般的です。この疾患は出生時から近位尿細管性蛋白尿が出現するX染色体性の遺伝性疾患として知られています。
患者のほとんどは男性で、推定患者数は日本で400~500人程度とされています。初期症状として最も重要なのは低分子蛋白尿で、尿中β2ミクログロブリンが1万μg/L以上、α1ミクログロブリンが100μg/L以上に増加します。
デント病の中核となる症候は、低分子蛋白尿、高カルシウム尿症、腎石灰化・結石の3つです。これらの症状は疾患の進行とともに段階的に現れ、患者の生活の質に大きく影響します。
低分子蛋白尿については、分子量が4.5万Da未満の低分子蛋白が全体の45~60%以上を占めるのが特徴的です。成人では1.5g/day以上の蛋白尿が認められます。
高カルシウム尿症は腎性高カルシウム・高リン尿症として現れ、これが腎石灰化や腎結石の形成につながります。腹部CTでは腎髄質を中心とした石灰化像が確認されます。
デント病患者では、年長児になると近位尿細管機能異常としてファンコニ症候群の部分症状を呈することがあります。これには糖尿、アミノ酸尿、低リン血症、くる病などが含まれます。
特にOCRL遺伝子異常を有する症例(2型デント病)では、軽度の行動異常や血清CK値の上昇を呈する症例が多く見られます。これらの症例では、将来的にLowe症候群の症状である白内障や精神運動発達遅延が現れる可能性があります。
糖尿やアミノ酸尿は近位尿細管での再吸収機能障害により発生し、低リン血症は骨軟化症の原因となることもあります。日本人では骨軟化症を呈することは稀ですが、重篤な症例も報告されています。
デント病は原因遺伝子により1型と2型に分類され、それぞれ異なる症状の特徴を示します。1型デント病は約60%の症例でCLCN5遺伝子異常が原因で、典型的なデント病の症状のみを呈します。
2型デント病は約15%の症例でOCRL遺伝子異常が原因で、Lowe症候群の責任遺伝子と同じ遺伝子の異常により発症します。2型では腎症状に加えて、軽度の眼症状や神経症状が現れることがあります。
OCRL遺伝子異常を伴う症例では、GOT、LDH、CPKなどの逸脱酵素の上昇が共通して見られます。また、これらの患者では将来的に白内障、緑内障などの眼症状や、筋緊張低下、行動異常などの中枢神経障害が出現する可能性があります。
デント病患者は症状の進行に伴い、日常生活に様々な制約を受けることになります。多尿症状により夜間の頻尿が問題となり、睡眠の質が低下することがあります。また、むくみや倦怠感といった症状と長期間付き合っていく必要があります。
プロ野球選手の大和選手のように、この疾患を抱えながらもスポーツ活動を続ける例もありますが、多くの患者では加齢とともに腎機能低下が進行し、50歳前後で末期腎不全に至る可能性があります。
現時点では確立した治療法がなく、サイアザイド系利尿薬やクエン酸製剤による対症療法が行われることがありますが、腎機能低下の抑制効果は明確ではありません。そのため、症状の管理と定期的な経過観察が重要となります。