クエン酸は、人間が生きていく上で必要不可欠な栄養成分であり、摂取した食べ物から必要な栄養素を体内に吸収、分解させてエネルギーを産生する「クエン酸回路(TCAサイクル)」において重要な役割を担っています 。体内でのエネルギー産生、ダイエット、疲労回復、筋肉痛の緩和、ミネラル吸収の促進、食欲増進、肝臓機能の改善、中性脂肪・コレステロール値の低下、糖尿病の予防など、人間の健康維持において多くの効果を発揮します 。
参考)https://www.stroke-rehabfacility.com/eating-habit/citric-aci.html
疲労回復はクエン酸に期待される最も代表的な効果であり、クエン酸が代謝やエネルギーの産生を促進することで疲労感を軽減します 。体内で乳酸を分解して新陳代謝を助ける働きがあり、疲れた時に酸っぱいものを摂取することが効果的とされています 。また、クエン酸にはミネラルを包み込んで溶けやすくする「キレート作用」と呼ばれる性質があり、マグネシウムやカルシウムなどのミネラル吸収を助けることからも疲労回復効果が期待されています 。
参考)https://www.kyoritsu-foods.co.jp/feature/kuensan/
クエン酸には血液をサラサラにする重要な働きがあり、この効果は脳梗塞再発の予防にも期待できます 。ストレスや疲れが蓄積すると血液中には「乳酸」が多く蓄積されますが、クエン酸にはその乳酸の発生を抑制したり打ち消したりする働きがあり、その結果血液をサラサラにします 。血液のサラサラ化を助け、血中の乳酸を「クエン酸回路」に再度加えることにより、血液の酸化を抑え、血流をサラサラにしてくれます 。
クエン酸の摂取により血液のpHが弱アルカリ性を保つことで血液の流れが良くなり、血栓の予防に効果を発揮します 。代謝促進効果として、エネルギー代謝を促進する効果があり、脂肪燃焼をサポートします 。また、血糖値上昇抑制効果として、糖質の吸収を緩やかにし、血糖値の上昇を抑える働きも報告されています 。
参考)https://komorebi-shinryojo.com/diary-blog/supplement/12344
シークワーサーには、レモンの約2倍のクエン酸が含まれており、カロリー消費の促進だけではなく、体内の疲労物質を分解したり疲れにくい身体を作る効果があります 。シークワーサー(約100g)には約11mgのビタミンCが含まれており、ビタミンCには免疫機能を向上させる役割があり、風邪や感染症から身体を守る効果が期待できます 。
参考)https://www.bedroom.co.jp/contents/42073
レモンに含まれるクエン酸の量は、果実の種類や品種によって異なりますが、一般的にはレモン100gあたり0.4~0.7g程度含まれています 。レモンには、クエン酸以外にも、ビタミンCやポリフェノールなどの成分が含まれており、ビタミンCは抗酸化作用があり、肌の老化を防止する効果が期待されます 。クエン酸には尿路結石の予防効果もあり、尿中でカルシウムとシュウ酸やリン酸が結合するのを抑えてくれます 。
参考)https://ogawa-dm.com/2023/05/265.html
クエン酸には、ミネラルやビタミン類を吸収しやすくする効果があり(キレート作用)、体内に取り込まれたミネラル類を酵素が触れる前にクエン酸が包み込み、酸化から守ります 。キレート作用により、鉄分・カルシウム・マグネシウムといったミネラルの吸収効率を高める効果があります 。この作用は単にミネラル吸収を促進するだけでなく、老化予防(活性酸素の抑止)にも寄与します 。
参考)https://kawashima-ya.jp/contents/?p=112965
クエン酸には抗菌作用があり、ミュータンス菌の活動抑制効果や、口臭・歯周病・口内炎の原因となる雑菌への殺菌作用があります 。この殺菌作用は、クエン酸のキレート作用によるもので、細菌の細胞膜を不安定にすることで生存率を低下させます 。体内の活性酸素を抑制し、細胞をダメージから守る抗酸化作用により、美肌効果や新陳代謝の促進も期待できます 。
クエン酸回路は好気的代謝に関する最も重要な生化学反応回路であり、酸素呼吸を行う生物全般に見られます 。1937年にドイツの化学者ハンス・クレブスが発見し、この功績により1953年にノーベル生理学・医学賞を受賞しています 。解糖や脂肪酸のβ酸化によって生成するアセチルCoAがこの回路に組み込まれ、酸化されることによって、電子伝達系で用いられるNADHなどが生じ、効率の良いエネルギー生産を可能にしています 。
参考)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%82%A8%E3%83%B3%E9%85%B8%E5%9B%9E%E8%B7%AF
クエン酸回路では、サイクルの1回転ごとにすべての中間体(クエン酸、イソクエン酸、α-ケトグルタル酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸およびオキサロ酢酸)が再生されます 。この回転量がミトコンドリアによるATP製造量と細胞へのATPの提供量の増減を左右することとなり、体内のエネルギー生産効率に直接影響します 。体内でのエネルギー代謝の活性化により、疲労回復、筋肉痛の緩和、代謝促進などの効果が発現します 。
近年の研究によって、クエン酸には従来から知られていた疲労回復や代謝促進効果に加え、多様な健康効果が解明されています 。特に注目されているのが、クエン酸の抗炎症作用で、炎症性サイトカインの産生を抑制する効果があることが明らかになっています 。細胞実験では、クエン酸がNF-κBと呼ばれる炎症反応の中心的な転写因子の活性を抑制することが示されており、これが様々な炎症性疾患の予防や症状緩和に寄与する可能性が示唆されています 。
参考)https://hapiveri.com/blogs/news/citric-acid-and-modern-medicine-emerging-preventive-health-benefits-from-recent-research
クエン酸の神経保護作用も新たに注目されている側面で、脳科学研究において、クエン酸が神経細胞のミトコンドリア機能を最適化し、酸化ストレスから神経細胞を保護する効果が報告されています 。クエン酸が脳内のBDNF(脳由来神経栄養因子)の産生を促進する可能性が示されており、BDNFは神経細胞の生存と成長を支援し、学習や記憶に重要な役割を果たしています 。高齢者を対象とした研究では、定期的なクエン酸摂取と認知機能の維持に正の相関関係が見られたという報告もあります 。