心房細動は、心房内で異常な電気信号が発生し、心拍リズムが完全に不規則になる不整脈です 。正常な心臓では洞結節から規則正しい電気信号が送られますが、心房細動では肺静脈などから異常な電気興奮が発生し、心房全体に無秩序に伝わります 。
参考)https://med2.daiichisankyo-ep.co.jp/cardiology/knowledge/arrhythmia06.php?certification=1
心房細動は発作の持続時間により、以下の3つに分類されます :
参考)https://www.shinbousaidou-navi.com/treat/
発作性心房細動は治療せずに放置すると、次第に持続性、永続性へと進行していく特徴があります 。
心房細動の代表的な症状は「動悸」「息切れ」「めまい」の3つです 。心房細動により心拍が不規則かつ速くなることで、患者は胸の違和感や動悸を強く自覚します 。
参考)https://www.tokyo-heart-rhythm.clinic/medical-content/contents/shinbosaido/
心拍数の増加により心臓が疲弊し、ポンプ機能が低下すると息切れが生じます 。また、洞不全症候群を合併している場合、心房細動停止後に洞結節の働きが遅れ、5-10秒間の心停止によりめまいや失神を起こすことがあります 。
その他の症状として以下が見られることがあります :
参考)https://www.oshiete-shinbousaidou.com/diagnosis/sign.html
ただし重要なことは、心房細動があっても必ずしも症状が現れるわけではないということです 。特に高齢者では症状が乏しい傾向があり、健康診断で偶然発見されるケースも多くあります 。
心房細動の発症には多くの原因疾患と危険因子が関与しています。主要な原因として以下があげられます :
循環器疾患
参考)https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1402229322
代謝性疾患
その他の要因
参考)https://www.tokyo-heart-rhythm.clinic/medical-content/contents/causes_of_af/
糖尿病は特に注目すべき危険因子で、慢性的な高血糖状態が心臓の電気的活動に影響を与え、自律神経障害や心筋の線維化を通じて心房細動のリスクを高めます 。また、貧血、脱水、発熱などの身体的ストレスも発作を誘発する要因となります 。
参考)https://itaya-naika.co.jp/blog/detail/%E7%B3%96%E5%B0%BF%E7%97%85%E6%82%A3%E8%80%85%E3%81%8C%E5%BF%83%E6%88%BF%E7%B4%B0%E5%8B%95%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%82%84%E3%81%99%E3%81%84%E7%90%86%E7%94%B1%E3%81%A8%E6%B3%A8%E6%84%8F%E7%82%B9/169
心房細動の診断には段階的な検査アプローチが重要です。まず家庭でも可能な脈診から始まり、より精密な検査へと進みます 。
参考)https://www.shinbousaidou-navi.com/exam/
脈診による初期スクリーニング
手首での脈診は心房細動の早期発見に有効です 。正常では規則正しいリズム(1分間50-100回)ですが、心房細動では不規則で速い脈拍パターンを示します 。
心電図検査
確定診断には心電図検査が必須です :
参考)https://www.oshiete-shinbousaidou.com/diagnosis/exam.html
心機能評価検査
治療方針決定のため以下の検査を実施します :
心房細動の薬物治療は「レートコントロール」「リズムコントロール」「抗凝固療法」の3つの柱から構成されます 。
レートコントロール療法
心室への電気信号伝達を減らし、心拍数をコントロールする治療法です 。使用される薬剤には以下があります:
この治療は心房細動自体を停止させるものではありませんが、心拍数が正常に近づくことで動悸や息切れなどの症状が軽減します 。
抗凝固療法の選択
血栓予防のための抗凝固薬には、従来のワルファリンと新しいDOAC(直接経口抗凝固薬)があります 。
参考)https://www.doctor-vision.com/dv-plus/column/knowledge/antithrombotic-02.php
ワルファリンは1950年代からの長い使用実績がありますが、定期的な血液検査が必要で、納豆などの食事制限があります 。
参考)https://kasuga-clinic.jp/posts/about-disease/60
一方、DOACには以下の4種類があります :
DOACは定期的な血液検査が不要で、食事制限もなく、内服後短時間で効果を発揮する利点があります 。現在、非弁膜症性心房細動に対してはDOACが第一選択となっています 。