心房細動の原因と症状から治療まで

心房細動は動悸や息切れなどの症状を引き起こし、脳梗塞のリスクを高める不整脈です。高血圧や糖尿病などの原因から抗凝固薬治療、カテーテルアブレーションまで、どのような対策が効果的でしょうか?

心房細動の基礎知識

心房細動の基本情報
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不整脈の代表的疾患

心拍リズムが不規則になる最も多い不整脈

電気信号の異常

心房内の電気信号が乱れることで発症

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脳梗塞のリスク

血栓形成により重篤な合併症を引き起こす可能性

心房細動の病態と分類

心房細動は、心房内で異常な電気信号が発生し、心拍リズムが完全に不規則になる不整脈です 。正常な心臓では洞結節から規則正しい電気信号が送られますが、心房細動では肺静脈などから異常な電気興奮が発生し、心房全体に無秩序に伝わります 。
参考)https://med2.daiichisankyo-ep.co.jp/cardiology/knowledge/arrhythmia06.php?certification=1

 

心房細動は発作の持続時間により、以下の3つに分類されます :
参考)https://www.shinbousaidou-navi.com/treat/

 

  • 発作性心房細動: 7日以内に自然停止するもの
  • 持続性心房細動: 7日以上継続し、薬物や電気ショックで停止可能なもの
  • 永続性心房細動: 洞調律復帰が不可能または適応とならないもの

発作性心房細動は治療せずに放置すると、次第に持続性、永続性へと進行していく特徴があります 。

心房細動の主要症状と特徴

心房細動の代表的な症状は「動悸」「息切れ」「めまい」の3つです 。心房細動により心拍が不規則かつ速くなることで、患者は胸の違和感や動悸を強く自覚します 。
参考)https://www.tokyo-heart-rhythm.clinic/medical-content/contents/shinbosaido/

 

心拍数の増加により心臓が疲弊し、ポンプ機能が低下すると息切れが生じます 。また、洞不全症候群を合併している場合、心房細動停止後に洞結節の働きが遅れ、5-10秒間の心停止によりめまいや失神を起こすことがあります 。
その他の症状として以下が見られることがあります :
参考)https://www.oshiete-shinbousaidou.com/diagnosis/sign.html

 

  • 胸の痛みや不快感
  • 全身倦怠感
  • ふらつき

ただし重要なことは、心房細動があっても必ずしも症状が現れるわけではないということです 。特に高齢者では症状が乏しい傾向があり、健康診断で偶然発見されるケースも多くあります 。

心房細動の原因疾患と危険因子

心房細動の発症には多くの原因疾患と危険因子が関与しています。主要な原因として以下があげられます :
循環器疾患

代謝性疾患

  • 糖尿病: 心房細動患者の約30%が合併
  • 甲状腺機能亢進症
  • 肥満

その他の要因

糖尿病は特に注目すべき危険因子で、慢性的な高血糖状態が心臓の電気的活動に影響を与え、自律神経障害や心筋の線維化を通じて心房細動のリスクを高めます 。また、貧血、脱水、発熱などの身体的ストレスも発作を誘発する要因となります 。
参考)https://itaya-naika.co.jp/blog/detail/%E7%B3%96%E5%B0%BF%E7%97%85%E6%82%A3%E8%80%85%E3%81%8C%E5%BF%83%E6%88%BF%E7%B4%B0%E5%8B%95%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%82%84%E3%81%99%E3%81%84%E7%90%86%E7%94%B1%E3%81%A8%E6%B3%A8%E6%84%8F%E7%82%B9/169

 

心房細動の検査と診断方法

心房細動の診断には段階的な検査アプローチが重要です。まず家庭でも可能な脈診から始まり、より精密な検査へと進みます 。
参考)https://www.shinbousaidou-navi.com/exam/

 

脈診による初期スクリーニング
手首での脈診は心房細動の早期発見に有効です 。正常では規則正しいリズム(1分間50-100回)ですが、心房細動では不規則で速い脈拍パターンを示します 。
心電図検査
確定診断には心電図検査が必須です :
参考)https://www.oshiete-shinbousaidou.com/diagnosis/exam.html

 

  • 12誘導心電図: 病院での標準的検査で、検査時に心房細動が起きていれば波形の不規則性を確認できます
  • 24時間ホルター心電図: 発作性心房細動の診断に有効で、日常生活での心電図を連続記録します
  • 長期間心電図ホルター: 7日以上記録可能で、頻度の少ない発作の診断に役立ちます
  • イベント心電図: 症状出現時に患者が装着して記録する検査です

心機能評価検査
治療方針決定のため以下の検査を実施します :

  • 心エコー検査: 心臓の形・機能・血流を評価
  • 経食道心エコー: 心房内血栓の有無をより詳細に確認
  • 心臓CT検査: アブレーション治療前の肺静脈形態評価に使用

心房細動の薬物治療選択肢

心房細動の薬物治療は「レートコントロール」「リズムコントロール」「抗凝固療法」の3つの柱から構成されます 。
レートコントロール療法
心室への電気信号伝達を減らし、心拍数をコントロールする治療法です 。使用される薬剤には以下があります:

この治療は心房細動自体を停止させるものではありませんが、心拍数が正常に近づくことで動悸や息切れなどの症状が軽減します 。
抗凝固療法の選択
血栓予防のための抗凝固薬には、従来のワルファリンと新しいDOAC(直接経口抗凝固薬)があります 。
参考)https://www.doctor-vision.com/dv-plus/column/knowledge/antithrombotic-02.php

 

ワルファリンは1950年代からの長い使用実績がありますが、定期的な血液検査が必要で、納豆などの食事制限があります 。
参考)https://kasuga-clinic.jp/posts/about-disease/60

 

一方、DOACには以下の4種類があります :

DOACは定期的な血液検査が不要で、食事制限もなく、内服後短時間で効果を発揮する利点があります 。現在、非弁膜症性心房細動に対してはDOACが第一選択となっています 。