診断時に何度でもFGF23検査を算定できると思っていると、査定を受けて損をします。
FGF23(線維芽細胞増殖因子23)検査の実施料は788点です。 これは診療報酬区分「D007 血液化学検査 第65番」に位置づけられており、2019年10月1日に初めて保険収載されました。 data.medience.co(https://data.medience.co.jp/guide/guide-03090012.html)
判断料は生化学的検査(Ⅰ)の144点が別途加算されます。 判断料は同区分の検査を同月内に何件実施しても月1回のみ算定できるルールのため、他の生化学的検査(Ⅰ)項目と同月に実施した場合は重複して加算する必要はありません。つまり実施料788点が主軸です。 primary-care.sysmex.co(https://primary-care.sysmex.co.jp/speed-search/detail.php?pk=1324)
患者の自己負担額を計算すると、3割負担で実施料788点+判断料144点=932点=9,320円分、自己負担は約2,796円が目安となります。これは他の一般的な生化学検査と比べると高額な部類に入ります。意外ですね。
📌 参考:LSIメディエンス 総合検査案内(FGF23の実施料・判断料・区分を確認できます)
https://data.medience.co.jp/guide/guide-03090012.html
ここが最も査定リスクの高いポイントです。FGF23検査はすべての患者に何度でも算定できるわけではありません。
算定できるのは以下の条件を満たす場合に限られます。 falco.co(https://www.falco.co.jp/rinsyo/detail/067433.html)
「治療経過を定期的にモニタリングしたい」という臨床的ニーズは理解できますが、現行の保険算定ルールでは認められません。これが基本です。たとえばX染色体連鎖性低リン血症(XLH)の治療薬であるブロスマブ(クリースビータ®)投与中の効果確認目的でFGF23を繰り返し測定しても、その費用は全額自費または施設持ち出しになります。痛いですね。
診断基準のカットオフ値は血清FGF23 30 pg/mL以上(低リン血症が存在する状態で)です。 この数値を下回る場合はFGF23非関連の低リン血症として、別の原因検索が必要になります。 medicalnote(https://medicalnote.jp/diseases/FGF23%E9%96%A2%E9%80%A3%E4%BD%8E%E3%83%AA%E3%83%B3%E8%A1%80%E7%97%87%E6%80%A7%E3%81%8F%E3%82%8B%E7%97%85%E3%83%BB%E9%AA%A8%E8%BB%9F%E5%8C%96%E7%97%87)
📌 参考:SRL総合検査案内 FGF23〔CLEIA〕(算定条件の詳細と備考を確認できます)
https://test-directory.srl.info/akiruno/test/detail/0R2550200
保険算定が認められている測定方法はCLEIA法(化学発光酵素免疫測定法)のみです。 EIA法など他の測定法で実施した場合は保険算定の対象外となるため、外注検査会社への依頼時は必ず「CLEIA法」であることを確認してください。これは必須です。 mhlw.go(https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000550467.pdf)
採血に関して現場でよく見落とされるのが採血管の選択です。SRL検査案内によれば、トロンビン入り採血管は測定値に影響を与える恐れがあるため使用を避ける必要があります。 血清採取量はおよそ0.4〜0.5 mLが必要で、保存は必凍(凍結保存)が条件です。 test-directory.srl(https://test-directory.srl.info/akiruno/test/detail/0R2550200)
検査の所要日数は6〜10日程度かかります。 急性期の管理が必要な場面では、結果が出るまでのタイムラグを考慮した臨床判断が求められます。基準値は30.0 pg/mL未満です。 falco.co(https://www.falco.co.jp/rinsyo/detail/067433.html)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 測定方法 | CLEIA法(保険算定可) |
| 検体 | 血清 0.4〜0.5 mL |
| 保存条件 | 必凍(凍結) |
| 所要日数 | 6〜10日 |
| 基準値 | 30.0 pg/mL未満 |
| カットオフ(診断) | 30 pg/mL以上(低リン血症が存在する前提) |
FGF23は単純に「高い=FGF23関連疾患」とは判断できません。これが臨床の難しさです。
FGF23が高値を示す主な疾患は以下のとおりです。 kawamuranaika(https://kawamuranaika.jp/blog/jyunkanki/8770)
一方、FGF23が低値または正常値を示す低リン血症には、ビタミンD欠乏・ビタミンD代謝障害・腎尿細管異常・リン欠乏などがあります。 この場合は別経路による鑑別検査が必要になるため、FGF23だけ覚えておけばOKではありません。 test-directory.srl(https://test-directory.srl.info/akiruno/test/detail/0R2550200)
また慢性腎臓病(CKD)ではFGF23が高値になることが知られており、これはリン過剰蓄積に対する代償的な上昇です。ただし、CKDにおけるFGF23測定は現状の保険適用範囲外であることに注意してください。算定条件が条件です。
📌 参考:メディカルノート「FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症」(疾患概要と診断基準の解説)
https://medicalnote.jp/diseases/FGF23%E9%96%A2%E4%BD%8E%E3%83%AA%E3%83%B3%E8%A1%80%E7%97%87%E6%80%A7%E3%81%8F%E3%82%8B%E7%97%85%E3%83%BB%E9%AA%A8%E8%BB%9F%E5%8C%96%E7%97%87
保険算定回数の上限を超えた場合のFGF23測定費用はどう扱うべきか。これは診療現場で議論になりやすいテーマです。
保険算定できない繰り返し測定を行う場合、選択肢は大きく2つあります。
外注検査会社へFGF23(CLEIA法)を自費で依頼した場合、参考価格として数千円〜1万円台が目安とされています。保険点数換算の788点(7,880円)と比較しても、自費では割高になるケースがあります。これは使えそうです。
「治療効果のモニタリングをしたい」というニーズに対し、現行の保険算定ルール上では代替指標として血清リン濃度・尿細管最大リン再吸収率(TmP/GFR)・1,25(OH)₂ビタミンDなどを定期的にフォローする方法が現実的です。 これらは比較的安価な生化学検査で算定でき、FGF23の代替として有用です。TmP/GFRは血清リン、尿リン、血清・尿クレアチニンから計算できるため、追加コストを最小限にできます。結論はこの組み合わせが現実解です。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.32118/ayu294080590)
FGF23関連疾患の専門的な治療に関わる場合、最新の「くる病・骨軟化症の診断マニュアル」や「日本内分泌学会」の診療ガイドラインを手元に置いておくことが、算定ミスの防止に直結します。算定誤りは後日の返還請求につながるリスクがあります。
📌 参考:日本小児内分泌学会 くる病・骨軟化症の診断に関する資料(診断フローチャートや鑑別に役立ちます)
https://plaza.umin.ac.jp/j-jabs/43/43.236.pdf