下剤の種類 一覧と便秘薬と作用機序

下剤の種類を一覧で整理し、作用機序・効果発現・副作用・使い分けを医療従事者向けにまとめます。酸化マグネシウムや刺激性下剤、新規薬剤まで、現場で迷う場面の判断軸は何でしょうか?

下剤の種類 一覧

下剤の種類 一覧:現場で迷わない要点
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まず「作用機序」で分類

浸透圧性(便を軟らかく)・刺激性(蠕動を起こす)・上皮機能変容薬/胆汁酸系(分泌と運動を調整)・坐剤/浣腸(直腸へ直接)で整理すると選びやすい。

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効果発現時間で期待値を調整

「すぐ出す」か「便性状を整える」かで薬が変わる。浣腸は数分、刺激性は夜→朝、浸透圧性は数日かかることがある。

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安全性は腎機能と連用で差が出る

酸化マグネシウムは腎障害・高齢・長期で高マグネシウム血症に注意。刺激性下剤は連用で耐性・依存、オンデマンド運用が基本。

下剤の種類 一覧:浸透圧性下剤と塩類下剤


浸透圧性下剤は「腸管内に水分を引き込み、便を軟らかくして出しやすくする」設計で、慢性便秘の土台として扱いやすいカテゴリです。浸透圧性には、塩類(マグネシウム塩)、糖類(ラクツロース)、高分子(PEG)、浸潤性(便への水のしみ込みを助ける)などが含まれます。浸透圧性は効き方が比較的マイルドな一方、効果発現まで1~3日かかることもあり、患者説明の不足が「効かないから増量・追加」の連鎖を招きやすい点が落とし穴です。
代表例として、酸化マグネシウム(塩類下剤)は腸内で吸収されにくく、浸透圧で腸管内へ水分を引き込み便を軟化させます。


参考)便秘薬の種類について | 失敗しない便秘薬選びのための便秘解…

一方で酸化マグネシウムは、腎障害がある患者、長期服用患者、高齢者などで高マグネシウム血症の発症・重篤化が起こり得るため、必要最小限の使用や血清Mg測定などが注意点として明確に示されています。


参考)https://www.maruishi-pharm.co.jp/media/1ddfb69b40b1c0fc273f5ca556c7460a.pdf


PEG製剤(例:マクロゴール/モビコール)は浸透圧効果で腸管内の水分量を増やし、便中水分増加→便の軟化→便容積増大を通じて生理的に蠕動を促す、という説明がされています。


参考)「モビコール®配合内用剤」を新発売

酸化Mgが使いにくい(腎機能低下など)場面でPEGへ切り替える、という臨床上の考え方も紹介されています。


参考)高齢者や小児に使いやすい新しい浸透圧性下剤|慢性便秘症の新薬…

浸潤性下剤としてDSS(ジオクチルソジウムスルホサクシネート)が挙げられ、多めの水で内服すると十分な効果が期待できる、と一般向け解説でも触れられています(医療者が患者へ説明する際の言い回しの参考になります)。


参考)酸化マグネシウム?それとも漢方? 便秘薬の種類と選び方

浸透圧性を使うときは「便を柔らかくする薬」なのか「便を出させる薬」なのかを分けて説明し、前者は便性状の改善を確認指標にする(排便回数だけを追わない)と、過量投与を減らしやすくなります。


参考)下剤の種類と選び方 – ふくろう訪問クリニック

(参考:浸透圧性下剤の分類と例がまとまっています)
酸化Mg、ラクツロース、PEGなどの分類と位置づけ:富山県立中央病院 健康コラム「便秘薬はどんどん新しくなっています」
参考)便秘薬はどんどん新しくなっています

下剤の種類 一覧:刺激性下剤とセンノシド

刺激性下剤は大腸粘膜や神経を刺激して腸管運動を促し、比較的短時間で強力な排便を起こすタイプです。
代表的なセンノシドやピコスルファートNaは、就寝前に服用すると翌朝に排便が得られる即効性が利点とされますが、腹痛や下痢などの副作用が問題になりやすいことも知られています。
時間感覚としては、刺激性下剤は大腸に到達してから代謝活性されるため通常6~8時間かかる、という説明が臨床サイトでも提示されています。


参考)便が出ない・少ない便秘|世田谷区の用賀きくち内科 肝臓・内視…

また、長期連用により大腸メラノーシス(大腸粘膜が黒ずむ変化)が半年以上の連用で起きると言われる、という臨床現場の解説もあり、患者の自己増量を防ぐ教育ポイントになります。

学術的にも、刺激性下剤の長期連用では依存性や耐性が出現し、蠕動運動が低下して難治性便秘となる危険性が指摘されています。


参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/108/1/108_40/_pdf

実務上は、刺激性下剤を「連日ベース」に組み込むと、効き目の揺れ(効き過ぎ→下痢→中止→反跳)で生活の質が崩れやすくなります。ここで重要なのは、刺激性下剤を“毎日出す薬”として固定化しないことです。慢性便秘の長期戦では、浸透圧性で便性状を整え、刺激性はレスキュー(オンデマンド)に寄せる、という方向性がガイドライン解説でも示されています。


参考)https://www.aichi.med.or.jp/webcms/wp-content/uploads/2023/06/71_1_p063_Special2-Ogasawara.pdf

患者説明では、刺激性のメリット(速い)だけでなく、腹痛・下痢の起こりやすさ、連用リスク(耐性・依存)を短い言葉でセットにして渡すと、自己判断での増量を減らせます。


たとえば「出す力を出す薬なので、毎日だと腸が慣れることがある」「便を柔らかくする薬と役割が違う」と、役割分担をはっきりさせるのがコツです。

下剤の種類 一覧:坐剤と浣腸と効果発現

坐剤・浣腸は「直腸に直接作用」するため、効果発現が速いことが最大の特徴です。挿肛後5~20分(坐剤)、注入後10分ほど(浣腸)という目安が示されています。
さらに、緩和ケア領域の教材では、グリセリン浣腸が2~5分程度、炭酸ガス発生坐剤(例:新レシカルボン)が10~30分程度と、より短い時間感覚も提示されています。
このカテゴリの強みは「出口に近い場所の便」を動かせる点で、たとえば直腸内の便塊が強く疑われるときに、経口薬を追加しても効果が遅れやすい状況で活躍します。


一方で、坐剤・浣腸を常用化すると「出したいときは毎回それ」という行動パターンに固定され、排便反射の再学習(トイレ習慣や便意の回復)が進みにくいことがあります。実際、刺激性下剤や外用薬(坐剤・浣腸)は常用せずオンデマンドとする、という注意喚起が示されています。

臨床では「いつまでに出す必要があるか」を最初に決めると、このカテゴリの使いどころが明確になります。


  • 今日中に出す必要がある(強い苦痛、検査前、直腸便が濃厚):坐剤・浣腸を検討。効果発現が分単位。

    参考)便秘薬について


  • 明日朝までに出せればよい:刺激性(夜→朝)を検討。時間は6~12時間程度のイメージ。
  • 数日単位で整える:浸透圧性を軸に便性状を調整。

(参考:直腸刺激性薬剤の例と効果発現がまとまっています)
坐剤・浣腸の薬剤名と効果発現時間:つゆはし内科「便秘薬について」

下剤の種類 一覧:上皮機能変容薬とリナクロチド

近年の便秘治療では、従来の「浸透圧性」「刺激性」だけではなく、腸管分泌や運動を調整する新規機序の薬剤も実臨床で重要になっています。
解説記事では、ルビプロストンとリナクロチドは小腸粘膜上皮に作用して小腸内への水分分泌を増やし、小腸から大腸への水分流入増加により内容物を柔らかくして蠕動運動を間接的に亢進させる、と整理されています。
リナクロチドには「腸管に起因する疼痛を軽減させる作用がある」という説明もあり、腹痛を伴う便秘型過敏性腸症候群にも適応がある、という位置づけが示されています。


参考)[保険診療のてびき]<br/> 便秘の原因と薬物療法<br/…

副作用プロファイルとしては、ルビプロストンは嘔気、リナクロチドは下痢、エロビキシバットは腹痛が多い、というまとめも同資料にあります。

現場の意思決定では「どれが最強か」ではなく、「困っている症状が何か」を薬理の言葉に翻訳すると外しにくいです。


  • 便が硬い・出しづらい:浸透圧性(酸化Mg、PEG、ラクツロース)を基本にする。
  • 腹痛や腹部症状が目立つ:リナクロチドの“疼痛軽減”という説明を踏まえ検討する(適応・禁忌・患者背景は別途確認)。​
  • 嘔気が出やすい層:ルビプロストンの嘔気が多い点を念頭に置く。​

なお、ガイドライン改訂の報道では、ルビプロストン・リナクロチド・エロビキシバットの「用いるべき臨床的特徴は明らかでない」とされ、使い分けは今後の検討課題とも述べられています。


参考)慢性便秘症ガイドライン改訂、非専門医向けに診療フローチャート…

だからこそ、医療従事者側は「患者の困りごと(硬さ、回数、腹痛、便意の消失など)×副作用の許容性×併用薬・腎機能」といった多軸で、個別に最適化する視点が重要になります。


下剤の種類 一覧:独自視点の酸化マグネシウム

酸化マグネシウムは「よく使うから安全」という先入観が事故につながりやすい薬で、独自視点としては“誰に処方しているか”を棚卸しする運用が有効です。厚労省の安全性情報では、酸化マグネシウム投与により高マグネシウム血症があらわれることがあり、長期投与時には血清マグネシウム濃度を定期的に測定するなど特に注意することが明記されています。
製薬企業の適正使用資料でも、長期服用患者、腎障害を有する患者などが高マグネシウム血症を発症しやすいとされ、症状が出た場合は可能性を考慮して適切な処置を行うよう注意喚起されています。
意外と見落とされるのは「通常用量以下でも起こり得る」という感覚で、適正使用資料では“必要最小限の使用”や“定期的な血清Mg測定”が推奨されています。


参考)https://med.mochida.co.jp/tekisei/mag2710.pdf

つまり、酸化Mgは単に用量を守るだけでなく、「長期化した処方」を放置しない仕組み(例:○か月ごとに便性状・腎機能・Mg評価をトリガーにする)をチームで持つと安全性が上がります。


参考)https://www.mhlw.go.jp/www1/kinkyu/iyaku_j/iyaku_j/anzenseijyouhou/252-1.pdf


また、酸化Mgが使いにくい患者(腎機能低下など)ではPEGへ切り替えを検討する、という臨床上の実装例が紹介されており、代替選択肢を最初からセットで考えることが重要です。

「便が硬いから酸化Mgで良い」ではなく、「この人に酸化Mgを続けて良いか」を毎回問い直す姿勢が、医療安全の観点では“攻めの便秘治療”になります。


(参考:高マグネシウム血症の注意点が一次情報として読めます)
高マグネシウム血症の注意(長期投与時の血清Mg測定など):厚生労働省 安全性情報「酸化マグネシウムによる高マグネシウム血症について」




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