ジェネリック医薬品は、大きく分けて複数の種類に分類されます。最も一般的なのは、先発医薬品の特許期間が終了した後に製造される通常のジェネリック医薬品です。これらは先発医薬品と同一の有効成分を同一量含み、同一経路から投与する製剤として定義されています。
通常のジェネリック医薬品の特徴。
これらの基本的なジェネリック医薬品は、日本国内での普及率が約80%に達しており、医療費削減に大きく貢献しています。医療機関や薬局では、患者の経済的負担軽減と医療保険財政の改善を目的として積極的に推奨されています。
また、製剤技術の向上により、先発医薬品よりも服用しやすい工夫が施されたジェネリック医薬品も多数存在します。水なしでも飲めるOD錠(口腔内崩壊錠)や、苦味をコーティングして飲みやすくした製剤、粒子を小さくしてザラつき感を抑えた製剤などがその例です。
オーソライズドジェネリック(AG)は、先発医薬品メーカーから許諾(Authorize)を得て製造されるジェネリック医薬品の特別な種類です。AGは先発医薬品により近い特性を持つため、医療現場で注目されています。
AGの分類システムは以下の3つに区分されます。
AG1(最も先発医薬品に近いタイプ)
AG2(製造場所が異なるタイプ)
AG3(原薬製造が異なるタイプ)
これらの分類により、医療従事者は患者の状況に応じて最適なAGを選択することが可能になります。
一般的なジェネリック医薬品と先発医薬品には、効果や安全性は同等でありながら、製剤上の違いが存在します。この違いを理解することは、適切な薬剤選択において重要です。
同じでなければならない要素:
異なっても良い要素:
添加剤の違いについては特に注意が必要です。患者の服用しやすさや苦味の軽減を目的として、各製薬会社が独自の工夫を施すため、必ずしも先発医薬品と同じ添加剤が使用されるわけではありません。
この違いにより、以下のような改良が実現されています。
ただし、これらの変更は必ず有効性や安全性に影響しない範囲で行われ、厚生労働省による厳格な審査を経て承認されています。
ジェネリック医薬品は製造方法の違いによっても分類することができます。この分類は、医薬品の品質特性や供給安定性に影響を与える重要な要素です。
原薬製造方法による分類:
化学合成医薬品のジェネリック
バイオシミラー(バイオ後続品)
製剤技術による分類:
改良型ジェネリック医薬品
標準型ジェネリック医薬品
これらの製造方法の違いは、薬剤の特性だけでなく、供給体制や価格設定にも大きな影響を与えます。医療機関では、これらの特徴を考慮した上で適切なジェネリック医薬品を選択することが求められます。
医療現場において適切なジェネリック医薬品を選択するためには、単に価格の安さだけでなく、複数の実践的判断基準を総合的に考慮する必要があります。
患者要因による選択基準:
アレルギー歴と添加剤の検討
服薬コンプライアンスの向上
薬局・医療機関の運用面での選択基準:
供給安定性と在庫管理
品質保証体制の評価
経済性と医療政策の考慮:
現在の診療報酬制度では、ジェネリック医薬品の使用促進が図られており、後発医薬品調剤体制加算や後発医薬品減算などの仕組みが導入されています。医療機関は以下の観点から選択を行うことが重要です。
これらの基準を総合的に判断することで、患者にとって最適なジェネリック医薬品の選択が可能となり、安全で効果的な薬物療法の提供につながります。
厚生労働省のジェネリック医薬品に関する詳細な情報と最新の政策動向については、以下を参照してください。