経皮的椎体形成術の点数と算定で損しない完全ガイド

経皮的椎体形成術(K142-4)の診療報酬点数・算定ルールを徹底解説。複数椎体の逓減計算から材料セットの上限変更、画像診断の算定不可まで、知らないと請求漏れや査定につながるポイントを網羅しています。あなたの施設の算定は本当に正しいですか?

経皮的椎体形成術の点数と算定で知っておくべきこと

骨粗鬆症性椎体骨折で2椎体施術しても、材料セットは1セットしか請求できないと思っていませんか?


📋 この記事の3つのポイント
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K142-4の基本点数と複数椎体の加算計算

基本点数は19,960点(1点=10円)。2椎体目以降は50%加算となるが、加算は4椎体までの上限があり、5椎体以上を施術しても加算はされない。

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令和6年末改正で材料セットの上限が変わった

令和7年1月1日から骨粗鬆症の椎体形成用材料セット上限が「1セット→3セット」に拡大。ただし2セット以上使用時はレセプト摘要欄に理由記載が必須。

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手術に伴う画像診断・検査費用は別に算定できない

注2規定により、術中使用のX線透視・CT等は別途算定不可。脊椎固定術との同一手術野での併算定も原則として主たる手術のみ算定となる場合があり注意が必要。


経皮的椎体形成術の点数・基本構造と保険収載の経緯


K142-4「経皮的椎体形成術」の所定点数は 19,960点(1点=10円換算で約199,600円相当)です。この手技は骨折した椎体に骨セメントを注入し、圧迫骨折による疼痛を軽減することを目的としています。


もともとPVP(Percutaneous Vertebroplasty)は1984年にフランスで軸椎血管腫への治療として始まり、その後BKP(Balloon Kyphoplasty)が1998年にアメリカで開発されました。本邦ではBKPが2011年1月から保険診療として認められ、翌平成24年(2012年)4月の診療報酬改定で現行の「経皮的椎体形成術」として正式に保険適用が確立しました。つまり、2012年以前は自由診療または先進医療として実施されていた手技です。


保険適用の対象疾患は主に以下の2つです。


- 骨粗鬆症性椎体骨折(原発性骨粗鬆症、続発性骨粗鬆症を含む)
- 溶骨性脊椎腫瘍(転移性骨腫瘍、多発性骨髄腫など)


保険収載から10年以上が経過した現在、施術件数は大きく増加しています。それだけに算定ルールの細部を正確に押さえることが、請求漏れや査定リスクを防ぐうえで重要になります。


適応は「第5胸椎(T5)〜第5腰椎(L5)」の骨折椎体が対象範囲です。それ以外の椎体への適用については保険外となる点も覚えておきましょう。


鳥取市立病院「BKP(経皮的椎体形成術)」の解説ページ:BKPの保険収載経緯と適応について分かりやすく記載されています。


経皮的椎体形成術の点数計算:複数椎体の逓減ルールを正しく理解する

医事課担当者がもっとも誤りやすい部分のひとつが、複数椎体に施術した場合の点数計算です。ルールは次のとおりです。

































椎体数 計算式 合計点数
1椎体 19,960点
2椎体 19,960 + 19,960×50% 29,940点
3椎体 19,960 + 19,960×50%×2 39,920点
4椎体 19,960 + 19,960×50%×3 49,900点
5椎体以上 加算は4椎体超えないため同上 49,900点(上限)


注1の規定では「1椎体を増すごとに所定点数の100分の50を加算する。ただし加算は4椎体を超えないものとする」とされています。上限があります。


重要なのは「加算は4椎体を超えない」という意味です。「4椎体まで加算できる」と読み取ってしまいがちですが、正確には「4椎体目分の加算まで認める(5椎体以上は5椎体目以降の加算なし)」という解釈です。つまり5椎体に施術しても4椎体と同じ49,900点が上限になります。これは施術量が多い症例でも上限を超えた部分は算定できないため、事前に担当医師と共有しておく必要があります。


逓減が原則です。2椎体目からは50%減算となるため、2椎体施術では「19,960 × 1.5 = 29,940点」と計算します。椎体数が増えるごとに1椎体あたりの収益は半分になるため、施設の採算性という観点では見落とせないポイントです。


レセプト算定ナビ「K142-4 経皮的椎体形成術」:告示全文と複数椎体加算の算定規定を確認できます。


経皮的椎体形成術の点数算定で見落としやすい「注2」:画像診断・検査費用の取り扱い

点数表の「注2」には「手術に伴う画像診断及び検査の費用は算定しない」と明記されています。これが実務上で大きな落とし穴になることがあります。


経皮的椎体形成術はX線透視下(場合によってはCTガイド下)で行う手技であり、術中に多くの画像を使用します。しかし、これらの透視・撮影にかかるコストは手術点数に含まれているとみなされ、別途算定することはできません。


よく誤って算定されるケースとして、術中の透視確認(C-アーム使用)を「手術時画像診断」として別途請求してしまうことがあります。査定リスクが高い請求です。一方、術前に行うMRI検査(STIR像など)や、術後の確認目的で行う検査については、手術に「伴う」ものでなければ算定の余地があります。実務上の判断が難しい境界線ではありますが、術前・術後の検査は手術の実施日と別日であれば算定可能という整理が一般的です。


検査日と手術日の区別が条件です。同日施行の画像診断はすべて不可と考えておくのが安全な運用です。支払基金への事前確認または地方厚生局への照会も有効な手段です。


しろぼんねっと「K142-4 経皮的椎体形成術」:令和6年度版の告示全文(注1・注2)を確認できます。


令和6年末改正で変わった!椎体形成用材料セットの算定上限と摘要記載ルール

令和6年12月27日付(保医発1227第2号)の通知改正により、令和7年1月1日から椎体形成用材料セットの算定ルールが大きく変わりました。この変更を見落としていると、請求漏れが発生します。


改正前と改正後の比較:























疾患 改正前(〜令和6年12月31日) 改正後(令和7年1月1日〜)
原発性骨粗鬆症 1セットを限度 3セットを限度(※続発性は学会指針に従った場合のみ)
続発性骨粗鬆症 算定要件が不明確
多発性骨髄腫・転移性骨腫瘍 3セットを限度 3セットを限度(変更なし)


改正のポイントは2点あります。第1に、骨粗鬆症に対して1回の手術で「3セットまで」算定できるようになりました。以前は原発性骨粗鬆症の場合に1セット限りだったため、複数椎体を施術する際でも材料費は1椎体分しか認められませんでした。第2に、骨粗鬆症に対して2セット以上使用した場合は、診療報酬明細書(レセプト)の摘要欄に「医療上の必要性」を記載することが新たに義務付けられました。


摘要欄の記載は必須です。2セット以上で記載なしのまま請求すると査定の対象となりますので注意してください。


また「続発性骨粗鬆症」(ステロイド性骨粗鬆症糖尿病性、透析患者など)については、「関連学会の定める適正使用指針に従って使用した場合に限り算定できる」という条件が加わりました。日本脊椎脊髄病学会・日本脊髄外科学会の「BKP・VBS適正使用指針(2024年6月版)」に対応した運用が求められます。


厚生労働省「保医発1227第2号(令和6年12月27日)」:令和7年1月1日施行の材料セット改正通知の原文です。



脊椎固定術との同一手術野における経皮的椎体形成術の併算定:実務で迷いやすいケース

医師から「固定術と椎体形成術の両方を算定してほしい」と依頼されることがあります。しかし診療報酬の原則として「同一手術野または同一病巣における複数手術は、主たる手術の所定点数のみ算定する」とされています(手術通則14)。


実際に現場でよく問題になるのが「L3〜L5に脊椎固定術(後方固定)、L4に経皮的椎体形成術を施行した」というケースです。この場合、固定術の手術野と椎体形成術の施術部位が重なるため、主たる手術である脊椎固定術(32,890点)のみを算定し、椎体形成術は算定不可となる可能性があります。


一方で「Th11に椎体形成術、Th12〜L2に固定術」のように椎体が離れており、かつ別の皮切で施術している場合は別手術野として判断される可能性があります。ただしこの判断は支払基金の審査担当者や地方厚生局の裁量に依存する部分もあり、事前照会が推奨されます。


同一手術野の判断が条件です。皮切部位・手術範囲・椎体の位置関係を整理して記録に残すことが査定対策として有効です。施術前に診療録に術野の範囲を明確に記載しておくことで、後日の審査照会にも対応しやすくなります。


なお、DPC対象病院では経皮的椎体形成術が包括算定対象となるかどうかは、DPCコーディングルールによって異なります。出来高算定への切り替えが適切かどうかも、DPCコーディング担当者と連携して確認しましょう。


医療事務ブログ「レセプトで椎弓・椎間手術が査定になる理由と算定方法まとめ」:複数手術の逓減・同一手術野の考え方が実務視点で解説されています。




骨粗鬆症性脊椎骨折のための経皮的椎体形成術(PVP)マニュアル