抗血栓性核酸医薬品は、従来の低分子抗凝固薬とは根本的に異なる作用メカニズムを持つ次世代治療薬です。主要な種類として、DNAアプタマー、siRNA、アンチセンス核酸の3つに大別されます。
DNAアプタマーの作用機序 🎯
siRNA医薬品の特徴 🔬
東京大学の研究では、DNAアプタマー史上最高の抗血液凝固活性を持つ「M08s-1」の開発に成功しており、既存の血栓症治療薬を大幅に上回る薬効が確認されています。
DNAアプタマーとsiRNAは、それぞれ異なる抗凝固作用のメカニズムを持ち、臨床応用における利点も異なります。
DNAアプタマーの特徴 🧬
現在開発中のDNAアプタマーには、トロンビン結合性アプタマー(TBA)やフィブリノーゲン結合性アプタマーがあり、特にHIT(ヘパリン誘発性血小板減少症)治療薬として期待されています。
siRNA医薬品の臨床応用 💊
代表的なsiRNA医薬品であるfitusiranは、アンチトロンビンの発現を抑制することで血友病A・B両方に効果があり、従来の血液凝固因子製剤に比べて投与頻度を大幅に削減できます。
二重特異性(バイスペシフィック)アプタマーは、2つの異なるアプタマーを連結することで、単独のアプタマーでは達成できない飛躍的な薬効向上を実現した革新的な核酸医薬品です。
薬効の劇的向上 ⚡
東京大学が開発したバイスペシフィックアプタマー「Pse08-29」は、HIT治療薬であるアルガトロバンや臨床候補アプタマーNU172の抗凝固活性を大幅に上回っています。
安全性の画期的向上 🛡️
従来のアルガトロバンやビバリルジンには中和剤が存在せず、治療時の出血リスクが課題でしたが、核酸アプタマーは相補鎖の添加により薬効を即座に停止できるため、安全性が飛躍的に向上しています。
現在、抗血栓性核酸医薬品として承認されている薬剤は限定的ですが、血液関連疾患の治療薬として複数の核酸医薬品が臨床応用されています。
承認済み血液関連核酸医薬品 📋
抗血栓性アプタマーの開発状況 🔬
日本では、従来のDOACs(edoxaban、rivaroxaban、apixaban)が静脈血栓塞栓症の治療に使用されていますが、これらは低分子化合物であり、核酸医薬品とは異なる分類です。
抗血栓性核酸医薬品の開発は急速に進展していますが、臨床応用に向けていくつかの重要な課題が残されています。
技術的課題 🔧
臨床開発における課題 ⚕️
将来の発展方向 🚀
研究グループは、化学修飾や人工核酸を導入しない天然型核酸アプタマーの分子設計指針を確立し、安全性の高いHIT治療薬の開発に向けた基盤技術を構築しています。
東京大学による二重特異性核酸アプタマー開発の詳細研究成果
今後10年間で、抗血栓性核酸医薬品は従来の抗凝固薬に代わる主要な治療選択肢となる可能性が高く、特に出血リスクの高い患者や妊婦における安全な抗凝固療法の実現が期待されています。