クロルプロマジン換算(CP換算)は、数多くある抗精神病薬を「クロルプロマジン(CP)」を基準にして、同程度の抗精神病作用に相当する用量へ置き換えて見積もる考え方です。
現場でこの「換算」が役立つ典型は、①抗精神病薬が2剤以上で総力価が直感しづらいとき、②薬剤切替(スイッチ)で次薬の開始量の目安を置きたいとき、の2つです。
一方で、CP換算は万能な“点数化”ではありません。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/d23b32301e866e26092bfccedbf15dbb06275782
等価換算値は「主たる治療効果である抗精神病作用」を評価したもので、鎮静作用などは評価対象に入っていない、という重要な前提があります。
つまり、CP換算で“同じmg相当”に揃えても、眠気・起立性低血圧・抗コリン作用・代謝系副作用などの体感やリスクは同じにならない可能性が高い、ということです(ここが誤解されやすいポイントです)。
臨床では「表がある=答えが一意に決まる」と感じがちですが、CP換算は“処方の会話を始めるための共通言語”と捉えると扱いやすくなります。
たとえば、同じ患者でも急性期(興奮・不眠・不安が強い)と維持期では、必要な鎮静・安全性・服薬継続性が変わり、CP換算の“数字の意味”も変わって見えます。
参考:換算の考え方(定義・留意点・入力式の説明)がまとまっている(現場向け)
抗精神病薬の等価換算(CP換算)(留意点:鎮静は評価対象外、使い方:入力でCP mg算出)
「クロルプロマジン換算 表」として医療者が参照する代表の一つに、稲垣&稲田(2017)版の等価換算値があります。
この表は、薬剤名と“等価換算値”が並ぶ形式で、一般的には「処方量(mg/日)÷等価換算値×100=CP換算(mg/日)」のように、基準をクロルプロマジン100として換算していきます(※運用は施設の慣行に従ってください)。
稲垣&稲田(2017)版の経口抗精神病薬の等価換算値(抜粋)として、たとえば以下が掲載されています(この値自体が“表の中身”です)。
この“等価換算値”は、同じmgでも薬ごとに抗精神病作用の力価が大きく異なることを、数字として見える化します。
たとえば、risperidoneが1、olanzapineが2.5、quetiapineが66という並びを見るだけでも、「同じ10mg」という言葉が薬剤間でほぼ意味を持たないことが直感できます。
また、表には「発売中止」と注記された薬剤が含まれることもあります(例:carpipramine、clotiapine、perazineなど)。
ここは意外と重要で、古い紹介状や長期通院歴のある患者の“過去薬歴”を読み解く際に、現行薬との力価の差を推定する助けになります。
参考:等価換算値の一覧(経口抗精神病薬の表がそのまま見られる)
抗精神病薬(経口製剤)の等価換算 −稲垣&稲田(2017)版(一覧表)
実務では「1剤ずつCP換算→合算」が基本の流れになります。
複数の抗精神病薬を併用していると、個々の用量が少なく見えても、換算すると総量が想定以上に大きいことがあり、概算服用量の把握にCP換算が使われます。
さらに薬剤切替時には、切替先の投与量設定の“目安”としても使われます。
計算・確認の具体的な進め方(処方監査や病棟カンファでの説明用)を、手順として整理します。
計算そのものを支援するツールとして、入力欄にmg数を入れるとCP換算mgが表示され、合計も出せる形式のページもあります。
こうしたツールは、忙しい外来や病棟で「今この場でざっくり総量を共有する」用途に強い一方で、使う側が“どの等価換算値に基づくか”を意識しないと、施設内で数値が食い違い、説明が二重化しがちです。
意外と見落とされるのが、頓用の扱いです。
頓用は「実際に使った日」「使っていない日」があり、CP換算を“1日量”として固定値で語ると、患者の体感(眠気、ふらつき)や転倒リスクとの整合が取れないことがあります(CP換算が鎮静を見ない点ともつながります)。
そのため、頓用を含めるときは「最大使用時の想定総CP換算」と「通常日の総CP換算」を分けて提示すると、処方調整の議論がスムーズになります。
CP換算の留意点として、等価換算値は抗精神病作用の評価であり、鎮静作用などは評価対象になっていないことが明記されています。
ここが実務上の最大の落とし穴で、CP換算だけで「副作用も同程度」と判断してしまうと、現場の観察(眠気・せん妄・転倒・嚥下など)とズレが起きます。
誤解を減らすために、CP換算を提示する際に一緒に言語化しておくと便利な観点をまとめます。
あまり知られていない実務的な工夫として、“CP換算の数字を会話に翻訳する”方法があります。
たとえば薬剤師・看護師・医師の間で、「総CP換算の増減」と「鎮静の増減(夜間転倒、日中傾眠)」を別軸としてSBARで分けて報告すると、CP換算の限界(鎮静は評価しない)を自然に補えます。
CP換算を“単独の結論”にせず、観察所見や生活機能とセットで扱うことが、結果的に処方の安全性と納得感を上げます。
「クロルプロマジン換算 表」を導入しても、チームの運用が揃っていないと、むしろ混乱の火種になります。
ここでは検索上位が扱いがちな“換算の定義・計算”から一歩進めて、現場で揉めやすい点を減らす運用ルール(独自視点)を提案します。
まず、院内で“参照する表”を固定し、資料名(例:稲垣&稲田2017)まで申し送りに書くのが効果的です。
同じ患者の経過を追うとき、表のバージョンが変わると「増量したのか、表が変わっただけなのか」が判別できなくなるため、時系列評価が崩れます。
次に、CP換算の提示形式をテンプレ化します。
さらに、患者・家族への説明では「CP換算=強さの絶対値」ではなく、「薬の種類が増えたときに総量を見失わないための物差し」と表現すると誤解が減ります。
この説明は、CP換算が“あくまで一つの目安”であること、鎮静は評価対象外であること、と整合します。
最後に、チームの合意形成として“CP換算を使う場面”を決めるのがコツです。
CP換算は、単に表を貼るだけではなく、誰が見ても同じ意味に読める運用設計まで含めて初めて“使える表”になります。

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