小児のMMP-3が6.5ng/mLでも、大人の基準値で見ると「正常」と見逃してしまいます。
MMP-3(マトリックスメタロプロテイナーゼ-3)は、関節滑膜で産生されるタンパク分解酵素です。 軟骨を融解する働きを持ち、関節滑膜の増殖程度を反映するマーカーとして、関節リウマチ(RA)をはじめとする膠原病・関節炎の診療で広く使用されています。 kchnet.or(https://www.kchnet.or.jp/for_medicalstaff/LI/item/LI_DETAIL_018700.html)
小児科領域では主に若年性特発性関節炎(JIA)の診断補助・経過観察に用いられます。 JIAは16歳までに発症し、6週間以上続く原因不明の慢性関節炎と定義される疾患で、小児リウマチ性疾患のなかで最も頻度が高いとされています。 jpeds.or(https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20240130_GL005.pdf)
つまり、MMP-3はJIA診療において欠かせないマーカーです。
重要なのは、MMP-3単独でRA・JIAを確定診断することはできないという点です。 滑膜炎を伴う他の膠原病、腎疾患、血管炎症候群でも高値を示すため、CRPや臨床症状と組み合わせて解釈することが原則です。 kchnet.or(https://www.kchnet.or.jp/for_medicalstaff/LI/item/LI_DETAIL_018700.html)
成人のMMP-3基準値は、男性36.9〜121 ng/mL・女性17.3〜59.7 ng/mLとされています。 これは成人を対象とした健常者分布から算出されたもので、年齢による差は認められていないと報告されています。 primary-care.sysmex.co(https://primary-care.sysmex.co.jp/sp/speed-search/index.cgi?c=speed_search-2&pk=375)
一方、小児には公式に確立された基準値がありません。これは大きなポイントです。
臨床上の目安として広く引用されているのは、「健常小児200例中197例(98.5%)が6.5 ng/mL以下であった」という報告です。 この数値を参考にすると、成人の基準値上限(男性121 ng/mL)とは大幅に異なることがわかります。 jspid(https://www.jspid.jp/wp-content/uploads/pdf/03203/032030208.pdf)
| 対象 | 基準値(目安) | 備考 |
|---|---|---|
| 成人男性 | 36.9〜121 ng/mL | 健常者分布から算出 |
| 成人女性 | 17.3〜59.7 ng/mL | 健常者分布から算出 |
| 小児(参考値) | 6.5 ng/mL以下が目安 | 公式基準値なし・報告値を使用 |
小児のMMP-3は成人より低いことが指摘されており、成人基準値をそのまま小児に適用することは適切ではないとされています。 日本リウマチ学会のJIA解説資料でも、この点が明記されています。 ryumachi-jp(https://www.ryumachi-jp.com/jcr_wp/media/2023/11/jia_part2_2-1_W.pdf)
JIA(若年性特発性関節炎)では、MMP-3は正常〜軽度上昇が多いとされています。 これは、JIAの全身型・関節型によって炎症の程度が異なるためです。 shouman(https://www.shouman.jp/disease/details/06_01_001/)
注意が必要なのは、ステロイドによる影響です。副腎皮質ステロイドを投与中の患者では、炎症の有無に関わらずMMP-3値が上昇することがあります。 治療中の小児でMMP-3高値を認めた場合、疾患活動性の上昇なのか、ステロイドの影響なのかを慎重に区別する必要があります。 shouman(https://www.shouman.jp/disease/instructions/06_01_001/)
判定には必ずCRPとの組み合わせが条件です。
CRPが正常化しているにもかかわらずMMP-3が高値を持続している場合、滑膜炎が残存している可能性があり、その一部では骨破壊が進展することが示されています。 小児においても同様の解釈が求められますが、小児では基準値の目安が低いため、「MMP-3 28.1 ng/mL」という値でさえ、成人基準では正常範囲でも小児では上昇と判断されるケースがあります。 jspid(https://www.jspid.jp/wp-content/uploads/pdf/03203/032030208.pdf)
小児でMMP-3が上昇する代表疾患はJIAですが、それだけではありません。
滑膜炎を伴う疾患であれば、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身性強皮症、乾癬性関節炎、血管炎症候群でも高値を示します。 また、滑膜炎が明らかでない腎疾患やリウマチ性多発筋痛症でも上昇例が報告されています。 kchnet.or(https://www.kchnet.or.jp/for_medicalstaff/LI/item/LI_DETAIL_018700.html)
鑑別の手順は「症状・画像・血液検査の3点セット」が基本です。
日本小児科学会のJIAガイドラインでは、経過観察時に血液検査(炎症反応・MMP-3)と、単純X線・超音波・MRIなどの関節画像検査を組み合わせることが推奨されています。 MMP-3は疾患活動性が高くなれば上昇し、治療により改善すれば低下するという特性があるため、継続的なモニタリングに有用です。 jpeds.or(https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20240130_GL005.pdf)
難病情報センターのJIA概要では、疾患活動性の評価指標として国際基準(JADAS)も示されており、1.1〜2.0が低疾患活動性、2.1〜4.2が中疾患活動性、4.2以上が高疾患活動性とされています。 MMP-3はこのスコアと併用することで、より精度の高い活動性評価が可能になります。 nanbyou.or(https://www.nanbyou.or.jp/entry/3947)
参考:難病情報センター「若年性特発性関節炎(指定難病107)」疾患活動性評価基準についての詳細はこちら
難病情報センター|若年性特発性関節炎(指定難病107)
MMP-3の「絶対値」だけを見ることに注目しすぎると、重要なトレンドを見逃すリスクがあります。これは意外に見落とされがちな視点です。
たとえば、初診時のMMP-3が5 ng/mLだった患者が、治療経過中に18 ng/mLへ上昇したとします。どちらの値も成人基準値(男性121 ng/mL)では正常範囲内ですが、小児の参考基準(6.5 ng/mL以下)から見れば後者は明らかな上昇です。 成人基準値だけで判断していると、この変化が見逃される可能性があります。 jspid(https://www.jspid.jp/wp-content/uploads/pdf/03203/032030208.pdf)
変化率の追跡が原則です。
JIAの経過観察では、絶対値だけでなく「前回比でどれだけ変動したか」を記録・比較することが重要です。 同一患者で継続的に測定し、ベースライン値からの変動幅をモニタリングする運用が、見落とし防止に効果的です。電子カルテやリウマチ専門のモニタリングシートを活用することで、測定のたびにグラフで推移を確認できる体制を整えておくことが推奨されます。 jpeds.or(https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20240130_GL005.pdf)
また、MMP-3の測定には茶栓分離剤入り採血管(血清または血漿)を使用し、検体の種類が結果に影響することも現場での注意点として覚えておきたい情報です。 検体管理が不適切だと参考値扱いとなるため、採取〜測定の手順を院内で統一しておくことが必要です。 kchnet.or(https://www.kchnet.or.jp/for_medicalstaff/LI/item/LI_DETAIL_018700.html)
参考:日本リウマチ学会「若年性特発性関節炎(JIA)とは」MMP-3の小児基準に関する解説
日本リウマチ学会|若年性特発性関節炎(JIA)患者向け解説資料(PDF)
参考:小児慢性特定疾病情報センター「若年性特発性関節炎 診断の手引き」ステロイドとMMP-3の関係
小児慢性特定疾病情報センター|若年性特発性関節炎 診断の手引き
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