プロスタール(一般名:クロルマジノン酢酸エステル)は抗アンドロゲン薬に分類される前立腺肥大症治療薬です。本剤の作用機序は、テストステロンの前立腺への選択的取込みを阻害するとともに、5α-ジヒドロテストステロン(5α-DHT)とアンドロゲン受容体との結合を阻害することによって抗アンドロゲン作用を発揮します。
参考)前立腺肥大症の治療薬一覧|泌尿器科専門医の解説付き - 医療…
プロスタールは前立腺内に選択的に取り込まれ、前立腺細胞レベルで抗前立腺作用を示すのが特徴です。内因性アンドロゲンに拮抗して前立腺を萎縮させる作用があり、臨床現場では長年の使用実績があります。1981年に上市されて以来、前立腺縮小作用の強さについては臨床医から高い評価を得ています。
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00010849.pdf
投与用法は1日2回で、服用を継続することで肥大した前立腺を縮小させ、排尿困難や残尿感などの症状を改善します。ただし、血液中のテストステロン値を低下させるため、勃起障害や性欲減退といった性機能障害の副作用が比較的高頻度で発現する可能性があります。
参考)前立腺肥大症の治療薬について
アボルブ(一般名:デュタステリド)は5α還元酵素阻害薬として、プロスタールとは異なる作用機序を持つ前立腺肥大症治療薬です。デュタステリドは、テストステロンをより強力な男性ホルモンであるジヒドロテストステロン(DHT)に変換する1型および2型の5α還元酵素を阻害します。
参考)アボルブhref="https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1414101895" target="_blank">https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1414101895lt;suphref="https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1414101895" target="_blank">https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1414101895gt;Ⓡhref="https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1414101895" target="_blank">https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1414101895lt;/suphref="https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1414101895" target="_blank">https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1414101895gt;(デュタステリド)—5α還元…
この酵素阻害により、前立腺組織中のDHT濃度が低下し、肥大した前立腺容積が減少します。国内臨床試験では、デュタステリド0.5mgを反復経口投与した際、投与6ヶ月後の血清中DHT濃度は約90%減少、投与3ヶ月後の前立腺組織中のDHT濃度はプラセボと比較して93%減少したという報告があります。
参考)アボルブは効かない?
アボルブの大きな特徴は、血液中のテストステロン値を低下させないことです。そのため、性機能障害などの副作用の発生頻度は比較的少ないとされています。投与用法は1日1回で、およそ投与5ヶ月で定常状態に達し、効果判定には通常6ヶ月間の治療継続が必要です。
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00068512.pdf
医療用医薬品情報:アボルブの詳細な薬理作用についての参考情報
両薬剤の効果発現時期には明確な違いがあります。プロスタールは比較的早期に前立腺縮小効果が現れる傾向があり、臨床現場では「プロスタールの方が効果が高い」という評価も見られます。実際に、数ヶ月で前立腺を縮小させる作用が報告されており、実臨床での前立腺縮小作用はアボルブよりも強い印象を持つ専門家もいます。
参考)https://www.jmedj.co.jp/blogs/product/product_5174
一方、アボルブは即効性がなく、効果発現までに1~2ヶ月を要します。国内外の臨床試験では投与開始6ヶ月後から治療効果が認められており、治療効果を評価するには通常6ヶ月間の治療継続が必要です。ただし、いったん効果が現れれば長期にわたり持続することが確認されています。
参考)http://www.palaceclinic.com/hair4-avolve.html
このような効果発現時期の違いから、臨床では即効性のあるα1遮断薬が第一選択薬として用いられることが多く、アボルブについては治療開始後早期の自覚症状改善を目的としてα1遮断薬との併用が推奨されています。大きな前立腺(30mL以上)に対しては、まずα1遮断薬による単剤治療を行い、症状改善不良であればアボルブを併用することが原則とされています。
参考)https://chugaiigaku.jp/upfile/browse/browse3305.pdf
両薬剤の副作用プロファイルには重要な違いがあります。プロスタールは血液中のテストステロン値を低下させるため、勃起不全、性欲低下、射精障害などの性機能障害の発現頻度が比較的高くなります。副作用発現頻度は21.8%と報告されており、主な副作用はインポテンスおよび性欲低下です。その他、女性型乳房、浮腫、体重増加、肝機能異常、胃部不快感などの副作用も報告されています。
参考)くすりのしおり : 患者向け情報
アボルブの副作用は、テストステロン値の低下が比較的少ないため、性機能系に与える影響は少ないとされています。しかし、脳の性中枢への作用もあるため、性欲の低下や男性機能の低下を起こす可能性はあります。発生頻度1%以上の副作用として勃起不全や射精障害、性欲減退などの性機能不全があり、1%未満では発疹、頭痛、抑うつ、乳房の女性化や痛みなどが報告されています。
参考)前立腺肥大症の治療 | 天王寺で泌尿器科をお探しなら駅直結の…
両薬剤ともPSA値を低下させる作用があり、前立腺癌の検出が遅れる可能性があるため注意が必要です。特にアボルブは、前立腺癌の存在下であっても投与6ヶ月後にPSA値を約50%減少させます。そのため、アボルブを6ヶ月以上投与している患者のPSA値を評価する際には、測定値を2倍に補正する必要があります。アボルブ投与6ヶ月以降から続くPSA値の上昇は、Gleason score 7以上の臨床的に意義のある前立腺癌検出の指標となることが示されています。
参考)前立腺肥大治療薬、6つの種類の特徴(作用・副作用) href="https://www.kusurinomadoguchi.com/column/prostatic-hypertrophy-medicine-13045/" target="_blank">https://www.kusurinomadoguchi.com/column/prostatic-hypertrophy-medicine-13045/amp;#82…
前立腺肥大症に対してデュタステリド投与後のPSA値変動と前立腺癌検出に関する研究論文
プロスタールとアボルブは作用機序が異なるため、併用することが可能です。前立腺肥大症の診療ガイドラインでは、30mL以上の大きな前立腺に対してはアボルブの使用が強く推奨されています。ただし、プロスタールについては有効性を支持する根拠が十分でないとされ、アボルブより低い推奨グレードとなっています。これは、プロスタールが近年の排尿障害の評価基準による十分なエビデンスを構築してこなかったことが理由です。
参考)https://www.osaka-uro-ikai.jp/common/data/hoken_past/h26_0522.pdf
しかし、臨床現場では状況が異なります。実際の診療では、プロスタールの前立腺縮小作用はアボルブよりはるかに強い印象があると報告する専門家もいます。非常に大きな前立腺(例えば60mL以上)や症状が重症、あるいは残尿が高度な症例では、当初からα1遮断薬と5α還元酵素阻害薬の併用療法を行うことが有用とされています。
参考)前立腺肥大症の新しい治療薬: 前立腺肥大症と前立腺ガンBen…
α1遮断薬(ハルナール、フリバス、ユリーフなど)との併用については、慎重投与として添付文書に記載されていますが、作用機序が異なるため医師の判断のもとで併用可能です。アボルブをα遮断薬と併用すると前立腺肥大症状が単剤よりも有意に改善するとのデータがあり、泌尿器科医は初期治療から併用することが多いとされています。
| 比較項目 | プロスタール | アボルブ |
|---|---|---|
| 薬剤分類 | 抗アンドロゲン薬 | 5α還元酵素阻害薬 |
| 作用機序 | テストステロンの前立腺取込み阻害と5α-DHTの受容体結合阻害 |
1型・2型5α還元酵素の阻害によるDHT産生抑制 |
| 投与回数 | 1日2回 | 1日1回 |
| 効果発現 | 比較的早期(数ヶ月) | 1~2ヶ月、効果判定は6ヶ月 |
| テストステロン値 | 低下させる | 低下させない |
| 性機能障害 | 頻度が比較的高い | 頻度が比較的少ない |
| PSA値への影響 | 低下させる |
約50%低下 |
| エビデンスレベル | 低い(十分なエビデンスなし) | 高い(大規模臨床試験で評価) |
治療薬の選択にあたっては、患者の前立腺サイズ、症状の重症度、年齢、性機能の重要性、治療期間の見通しなどを総合的に評価する必要があります。また、両薬剤とも服用を中止すると前立腺が再び肥大する可能性があるため、継続的な服用が重要です。前立腺肥大症は根治が難しい疾患であるため、長期的な視点での治療計画が求められます。