リン酸コデインの副作用は、軽度から重篤まで多岐にわたります。副作用の発現頻度は明確な調査が実施されていないため「頻度不明」とされているものが多いですが、臨床での使用実績から以下のように分類されます。
軽度から中等度の副作用:
これらの副作用の中で最も頻繁に報告されるのは眠気、めまい、便秘です。特に便秘は麻薬性鎮痛薬共通の副作用として知られており、消化管運動の抑制により発生します。
呼吸抑制の発生機序
リン酸コデインによる呼吸抑制は、延髄の呼吸中枢に直接作用することで発生します。呼吸抑制は以下の症状として現れます:
高リスク患者群
特に注意が必要な患者は以下の通りです。
コデインの約5~15%が肝薬物代謝酵素CYP2D6によりモルヒネに代謝変換されるため、個人差により予想以上に強い効果が現れる場合があります。
依存性の発生メカニズム
リン酸コデインは麻薬性鎮咳薬に分類され、連用により薬物依存を生じるリスクがあります。依存性は以下の特徴を持ちます:
退薬症候群の症状
連用中の投与量急激な減少や投与中止により、以下の退薬症候が現れることがあります:
🔹 自律神経症状
🔹 消化器症状
🔹 精神神経症状
🔹 その他の症状
投与を中止する場合は、1日用量を徐々に減量し、患者の状態を観察しながら行うことが重要です。
錯乱・せん妄の臨床症状
リン酸コデインの副作用として、錯乱やせん妄が報告されています。これらの精神症状は特に以下の患者で発生しやすいとされます:
錯乱とせん妄の違い
症状 | 錯乱 | せん妄 |
---|---|---|
意識レベル | 清明~軽度低下 | 変動性意識障害 |
思考 | まとまりがない | 支離滅裂 |
見当識 | 部分的障害 | 全般的障害 |
幻覚 | まれ | しばしば出現 |
経過 | 比較的安定 | 日内変動あり |
これらの症状が出現した場合は、すぐに投与を中止し、適切な対症療法を行う必要があります。
小児への使用制限
厚生労働省の通知により、12歳未満の小児に対するリン酸コデインの使用は禁止されています。これは以下の理由によります:
妊娠・授乳期の制限
🤰 妊婦への影響
🤱 授乳婦への影響
高齢者での注意点
高齢者では以下の理由で特に注意が必要です:
低用量から投与を開始し、患者の状態を注意深く観察する必要があります。
併用禁忌・注意薬剤
以下の薬剤との併用時は特に注意が必要です。
併用により副作用が増強される可能性があるため、慎重な経過観察が必要です。