上室性頻拍心電図の特徴と診断ポイント

上室性頻拍の心電図所見を正確に読み取れていますか?QRS波、P波、RR間隔などの特徴的な波形パターンから、鑑別診断のポイント、見逃しやすい注意点まで、臨床で役立つ実践的な知識を解説します。あなたの診断精度は十分ですか?

上室性頻拍心電図の特徴

QRS幅が狭いから上室性頻拍と安心していると診断を見逃します。


この記事のポイント
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規則的なリズムが診断の鍵

上室性頻拍ではRR間隔が規則的で150~250回/分の頻拍を示し、突然始まり突然終わる発作性の経過が特徴的です

QRS波とP波の関係性

QRS波は通常狭く正常波形を保ちますが、P波はQRS波やT波に重なり判別困難なケースが多く見られます

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変行伝導の見極めが重要

脚ブロックや変行伝導を伴うとQRS幅が広くなり心室頻拍との鑑別が困難になるため、12誘導心電図での確認が必須です


上室性頻拍の心電図における基本的な波形パターン


上室性頻拍の心電図で最も重要な所見は、規則的なリズムと狭いQRS波の組み合わせです。 knowledge.nurse-senka(https://knowledge.nurse-senka.jp/501440)


心電図モニター上では、異常波形が突然始まり突然終わる特徴が観察されます。RR間隔は規則的で、連続するRR間隔の変動が0.04秒以下に保たれることが典型的です。心拍数は通常150~250回/分の範囲で、特に150~200回/分程度の頻拍になることが多いとされています。 fukitaclinic(https://fukitaclinic.com/jyousituseihinpaku/1830/)


QRS波の幅は正常範囲内を維持します。これは心房や房室接合部から発生した異常な電気信号が、ヒス束以下では正常な経路を通って心室に伝導するためです。基線は平坦に見えることが多く、P波はQRS波やT波と重なるため判別できないケースが大半を占めます。 kango-roo(https://www.kango-roo.com/learning/2215/)


P波が確認できる場合、QRS波に重なったりQRS波の少し後ろに逆行性P波として隠れていることがあります。つまり逆行性P波が特徴です。 knowledge.nurse-senka(https://knowledge.nurse-senka.jp/215966/)


心房と心室がほぼ同時に興奮するため、このような波形パターンを示します。発作時の心電図記録が診断に極めて重要な役割を果たすため、12誘導心電図の記録が必須となります。 kango-roo(https://www.kango-roo.com/learning/7165/)


上室性頻拍におけるQRS幅の例外パターン

上室性頻拍であってもQRS幅が広くなるケースが存在し、これが診断を困難にする要因となります。 miyake-naika(https://miyake-naika.com/01sindan/wide-qrs.html)


もともと脚ブロックやWPW症候群を有する患者が上室性頻拍を発症した場合、QRS幅が広くなります。変行伝導を伴う上室性頻拍でも同様の所見を示し、右脚ブロックまたは左脚ブロックに類似した波形となることがあります。この場合でもQRSの立ち上がりは急峻であることが鑑別点となります。 miyake-naika(https://miyake-naika.com/01sindan/wide-qrs.html)


Wide QRS頻拍を認めた場合、「否定されるまで心室頻拍VTを疑え」が原則です。 miyake-naika(https://miyake-naika.com/01sindan/wide-qrs.html)


変行伝導を伴った上室性頻拍と心室頻拍の鑑別には、房室解離やP波の確認が有用となります。房室解離や洞調律による心室捕捉があれば心室頻拍と診断できますが、P波が確認できれば房室解離の判断が可能です。血行動態が保たれたwide QRS頻拍ではATP投与を試み、洞調律に回復すれば上室性と判断できます。 miyake-naika(https://miyake-naika.com/01sindan/wide-qrs.html)


心室内伝導障害の場合、房室結節からヒス束を伝導しているにもかかわらず心室内で伝導に時間がかかります。厳密には2.5コマ(0.10秒)までが正常QRS幅で、それを超えれば心室内伝導障害となります。QRS波の幅が3コマ以上あれば完全右脚ブロックか左脚ブロックと判断されます。 kango-roo(https://www.kango-roo.com/learning/1826/)


上室性頻拍のリエントリー機序と分類

上室性頻拍の大半はリエントリー回路の形成が原因で発生します。 knowledge.nurse-senka(https://knowledge.nurse-senka.jp/215966/)


ヒス束分岐部よりも上流の心筋組織が頻拍の維持に必須である頻拍が上室性頻拍と定義されます。房室結節回帰性頻拍(AVNRT)と副伝導路を介する房室回帰性頻拍(AVRT)で全体の90%を占めることが知られています。その他に心房頻拍(AT)などが含まれます。 osaka-heart(https://osaka-heart.jp/patient/cardiovascular-disease/arrhythmia/psvt/)


発作性上室性頻拍症における各病態の割合は、房室結節リエントリー性頻拍が50%、副伝導路症候群が40%、心房頻拍が10%です。 tokyo-heart-rhythm(https://www.tokyo-heart-rhythm.clinic/medical-content/contents/part-3/)


刺激伝導系以外に心臓内で異常な興奮伝導回路が形成され、その回路内を興奮が回り続けることで頻拍が発生します。興奮旋回は突然始まり突然終わる特性を持ちます。主に先天的に2つの刺激伝導路がある場合(WPW症候群など)に発症することが多いです。 kango-roo(https://www.kango-roo.com/learning/7165/)


上室性頻拍と心房細動・心房粗動の鑑別診断

発作性上室性頻拍は発作性心房細動心房粗動との鑑別が必要になりますが、自覚症状からの特定は困難です。 kango-roo(https://www.kango-roo.com/learning/7165/)


リズムの規則性が最も重要な鑑別ポイントとなります。発作性上室性頻拍ではRR間隔が規則的であるのに対し、発作性心房細動ではリズムが不規則になります。P波と基線の状態も鑑別に有用な所見です。 knowledge.nurse-senka(https://knowledge.nurse-senka.jp/501440)


発作性上室性頻拍では基線が平坦に見えますが、心房細動では基線が揺れるf波が観察されます。


心房粗動では基線に鋸歯状のF波が認められることが特徴的です。220/分を超える頻拍では1:1伝導の心房粗動の存在を疑う必要があります。発作時の心電図記録がその後の治療方針決定に重要な役割を果たすため、モニター心電図だけでなく12誘導心電図の記録が必須となります。 kango-roo(https://www.kango-roo.com/learning/7165/)


接合部調律との鑑別も重要です。接合部調律は頻拍になることがほとんどなく、突然心拍数が変化することもありません。一方、発作性上室性頻拍は150~200回/分程度の頻拍になることが多く、洞調律が基本で突然頻拍発作が起こります。 kango-roo(https://www.kango-roo.com/learning/2215/)


上室性頻拍の臨床症状と血行動態への影響

上室性頻拍の症状は発作時の心拍の速さや持続時間によって大きく異なります。 fukitaclinic(https://fukitaclinic.com/jyousituseihinpaku/1830/)


ほとんどの患者が動悸症状を自覚し、これが最も代表的な訴えとなります。突然の動悸として急に心拍が速くなる感覚を認めます。胸の圧迫感や不快感を伴うケースも多く見られます。めまいやふらつきも頻繁に報告される症状です。 tokyo-heart-rhythm(https://www.tokyo-heart-rhythm.clinic/medical-content/contents/part-3/)


脈拍が速いと血圧が低下します。 tokyo-heart-rhythm(https://www.tokyo-heart-rhythm.clinic/medical-content/contents/part-3/)


具体的には血圧が60~80mmHgまで低下することがあり、これがめまいやふらつきの原因となります。息切れを訴える患者もおり、まれに失神することもあります。発作的に起こるため持続時間は比較的短いですが、症状は明確に自覚されます。 fukitaclinic(https://fukitaclinic.com/jyousituseihinpaku/1830/)


健康な人でも発症することがあり、必ずしも基礎心疾患を持つ患者だけに限られません。突然発作が始まり突然終わる特徴があるため、心電図検査では現れないこともあります。発作時間が短いと心電図を記録できず、確定診断に至らない症例も存在します。 knowledge.nurse-senka(https://knowledge.nurse-senka.jp/215966/)


上室性頻拍に対するカテーテルアブレーション治療の成績

薬物療法でコントロールが難しい場合や患者が希望する場合にカテーテルアブレーションが選択されます。 cardiovasc-med-kagoshima(https://cardiovasc-med-kagoshima.com/clinic/special_g13.html)


高周波カテーテル焼灼術(アブレーション)は、電極カテーテルと呼ばれる太さ2mmほどの管を使って頻拍の原因となる箇所を探し出し治療する方法です。治療成功率は95~98%と極めて高い水準を示します。根治を目指した治療として位置づけられています。 yokohamah.johas.go(https://yokohamah.johas.go.jp/department/news/20180820_02.html)


カテーテルの先端から高周波による熱エネルギーを不整脈の発生起源やリエントリー回路に加えることで、薬剤抵抗性の頻脈性不整脈を根治させます。 plaza.umin.ac(https://plaza.umin.ac.jp/~arrhythm/treatment/catheter/index.html)


房室結節リエントリー頻拍の場合、焼灼部位は房室結節の約1cm下方にある遅伝導路です。主な合併症は完全房室ブロックで、約1%の頻度で起きると報告されています。治療が成功すると頻拍発作は起きなくなり、いつ発作が起こるかもしれないという不安感からも解放されます。 yokohamah.johas.go(https://yokohamah.johas.go.jp/department/news/20180820_02.html)


治療したい部位には、WPW症候群なら副伝導路、房室結節リエントリー頻拍なら遅伝導路、心房頻拍なら異常電気発生部位などが含まれます。治療後は検査室で30~60分間様子を観察し、頻拍を起こすことが不能であり、発作を起こしやすくする点滴を行った後も頻拍が一切起こらないことを確認して治療を終了します。 yokohamah.johas.go(https://yokohamah.johas.go.jp/department/news/20180820_02.html)


参考リンク(発作性上室性頻拍の診断と心電図所見について詳細な解説があります)。
発作性上室頻拍(PSVT) どんな不整脈? | ナース専科


参考リンク(Wide QRS頻拍の鑑別診断に関する実践的なアプローチが説明されています)。
Wide QRS tachycardia - みやけ内科・循環器科


参考リンク(カテーテルアブレーション治療の詳細と成績について患者向けに解説されています)。
発作性上室性頻拍・心室頻拍 | KOMPAS – 慶應義塾大学病院






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