薬剤師略語と処方箋用語一覧

薬剤師略語を、処方箋・投与経路・投与頻度・業務で迷いやすい場面ごとに整理し、読み間違いを防ぐ実践ポイントまでまとめます。あなたの現場で「略語の解釈がズレる瞬間」はどこですか?

薬剤師略語と処方箋用語

薬剤師略語を「解釈ミス防止」で覚える
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処方箋の略語は「分野」で分ける

投与経路・投与回数・日数・剤形など、登場場所を分けて覚えると検索より速く安全です。

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頻度略語は「qd/bid/tid」だけではない

q3w、q8h、hs、qodのように“間隔”で書くタイプがあり、レジメンや注射オーダーで頻出します。

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独自視点:略語は「人が読む」前提で最適化する

医師・看護師・薬剤師・事務で解釈が割れる略語を、施設内ルールとセットで運用すると事故が減ります。

薬剤師略語の処方箋用語とRpとDo処方の読み方


処方箋でまず押さえたいのは、「薬名の暗号」より先に「処方の指示ブロック(処方箋用語)」です。ここが読めないと、用法・日数・回数・数量が全部つながって見えてしまい、確認すべきポイントがぼやけます。


代表的なのが「Rp」です。薬剤師側の実務では「処方(処方せよ)」として扱われ、以後に薬剤名・規格・用法の指示が続く合図になります(英語圏の処方記載でも“処方の開始”として扱われます)。医療現場では「処方箋の見出し」くらいの感覚で読めると、理解が一段速くなります。


参考:各種略語を体系的に集約している団体ページ(用語の出典確認に便利)
THPAの略語一覧(薬剤師向け、医療・薬学で使う略語をアルファベット順に整理)
https://www.thpa.or.jp/chemist/abbreviations/
次に「Do処方」です。これは「前回と同じ(同内容で繰り返す)」として運用されることが多く、忙しい外来・継続処方の現場で出会います。問題は、Doがあると“変更点がない”と脳が決めつけやすい点です。薬剤名・用量が同じでも、実は「日数だけ変更」「用法だけ変更」「患者の腎機能や併用薬が変化」などが起きるので、Doを見たら逆に「差分がないか」をチェック項目として固定化するのが安全です。THPAの略語一覧にもDo処方の説明が掲載されています。


また、処方箋用語は日本語だけでなく、英語・ドイツ語・ラテン語が混ざる文化があります。現場では「読み方の流派」が部署や施設で違うことがあり、これが“解釈のズレ”の温床になります。したがって、個人暗記だけでなく「院内での正規表現(どの略語を許容し、どれを禁止し、どれは書き換えるか)」を共有することが、結果的に薬剤師の負担を下げます。


薬剤師略語の投与経路とi.v.とp.o.の実務ポイント

投与経路の略語は、処方監査で最初に効く安全装置です。なぜなら、同じ有効成分でも、経路が違うと「作用発現の速さ」「副作用の出方」「配合変化」「投与量設計」が一気に変わるからです。


論文・治験文書・症例報告などでよく見るのが「i.v.」です。これは静脈内投与(intravenous)を指し、例として「100 mg/kg, i.v., d1, q3w」のように、用量・経路・日・間隔が並列で書かれることがあります。MTSブログでは、この“暗号のような並び”を分解し、i.v.=静脈内、d1=Day 1、q3w=3週間ごと、という読み方を具体例で説明しています。


MTSブログ(投与方法の略語の分解例:i.v.、d1、q3wなど)
https://blog.m-t-s.jp/abbreviations/
一方、「p.o.」は経口投与(per os)で、最も頻出の投与経路です。経口は簡便ですが、食事・併用薬・消化管状態で吸収が揺れやすいという特徴があります。つまり「p.o.」は簡単に見えて、相互作用・服薬タイミング・剤形選択(崩壊性、徐放性など)まで絡みます。略語を見た瞬間に、薬剤師として「何が変動要因か」を思い出せると、疑義照会の質が上がります。


現場の意外な落とし穴として、経路略語の読み違いは“英語力”というより“文脈”で起こります。例えば、注射オーダーの流れでp.o.が混ざると見落とす、レジメン表の短縮記載で経路が1列に押し込まれると取り違える、といった具合です。だから、経路略語は暗記よりも「見る場所(処方欄、レジメン欄、看護指示欄)」を意識して目が勝手に拾う状態を作るのが有効です。


薬剤師略語の投与回数とqdとbidとtidとq8hとqod

投与回数・投与間隔の略語は、薬効・副作用・アドヒアランスのどれにも直結します。ここは新人教育でも頻出ですが、実は「qd/bid/tid」だけ覚えると、かえって危ない場面があります。


MTSブログでは、q.d.(1日1回)、b.i.d(1日2回)、t.i.d(1日3回)といった頻度略語が、ラテン語由来である点も含めて整理されています。さらにq3wのように「q=~ごと(quaque)」+「3w=3週間」のような“混成型(ラテン語+英語)”があることを示しており、レジメンや治験文書の読解で効きます。これは日常処方よりも、がん領域・感染症領域・救急領域などで遭遇しやすいタイプです。


また、医学書院の解説記事では、投与回数の略語としてQD/BID/TID/QIDに加え、時間間隔指定のq8h、就寝前のhs、毎朝のqAM、1日おきのqodなども「よく使われる」として挙げられています。つまり、頻度は「回/日」だけではなく「何時間ごと」「どのタイミング」「何日おき」という複数の表現が並走しています。


医学書院(投与回数略語:QD/BID/TID/QID、q8h、hs、qAM、qodなどの記載例)
https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/old/old_article/n2002dir/n2470dir/n2470_12.htm
実務でのポイントは、「回数」と「間隔」が一致しないことがある点です。たとえば“1日3回”は患者の生活に合わせて「朝昼夕」に寄せがちですが、q8hは「8時間ごと」なので、厳密には夜間も含む可能性があります。ここが一致していないと、薬歴上の服用実態と処方意図がズレます。疑義照会まで行かなくても、服薬指導の言い回しや薬袋文言で補正する余地があるため、略語を“翻訳”するだけで終わらせず「患者の行動に落とす」と誤解が減ります。


さらに意外な盲点として、略語は略すほど「似た形が増える」ため、読み手の慣れに依存します。QDとQID、qodとqdなど、視認性が近いものは特に危険です。そこで、施設によっては“手書き・自由記載では使わない略語”を決め、電子カルテの定型文に寄せる運用が取られます。薬剤師としては、略語の正誤以前に「その場で安全に読める表記か」を評価する視点が重要です。


薬剤師略語の業務とTDMとASTとICTとNSTの使い分け

薬剤師略語は処方箋だけでなく、チーム医療の文脈でも大量に出てきます。ここでの略語は、薬学的判断のトリガーになるので、意味を知っているだけでなく「何の業務が発生する略語か」を結びつけて覚えるのがコツです。


例としてTHPAの略語一覧には、TDM(Therapeutic Drug Monitoring:血中薬物濃度モニタリング)、AST(Antimicrobial Stewardship Team:抗菌薬適正使用支援チーム)、ICT(infection control team:感染対策チーム)、NST(nutrition support team:栄養管理チーム)などが掲載されています。これらは“略語の意味”より、“連携が始まる合図”として重要です。TDMなら採血タイミング・投与設計、ASTなら抗菌薬の適正化、ICTなら感染対策の実務、NSTなら栄養・経腸/静脈の設計や処方提案が絡みます。


実務でありがちな失敗は、「略語は分かるのに、自分のタスクに変換できない」ことです。たとえばASTカンファに参加しても、DOT(抗菌薬使用日数)の見方や、腎機能指標(eGFRなど)との関係をすぐ提示できないと、薬剤師の価値が伝わりにくい。逆に、略語を“自分の行動チェックリスト”に変換して持っておくと、会議の発言が具体になります。


覚え方の工夫としては、略語を「領域」で色分けするのが現実的です。たとえば、感染症(AST/ICT/DOT)、栄養(NST/TPN)、腎(AKI/CKD/eGFR)、安全性(AE/SAE/CTCAE)など、略語の集合を“業務の箱”に入れると、現場で検索しなくても思考が進みます。THPAの一覧はアルファベット順ですが、個人用メモでは業務順に並べ替えると即戦力になります。


薬剤師略語の独自視点:略語一覧より危険略語と院内ルール

検索上位の記事は「略語一覧」を提供してくれますが、現場で本当に困るのは「略語そのもの」より「略語が引き起こす解釈の分岐」です。ここを扱うのが、一覧記事との差別化ポイントになります。


独自視点として強調したいのは、略語を“知識”ではなく“安全設計”として扱う姿勢です。たとえば、QDとQIDのように形が似ているもの、qodとqdのように一文字で意味が反転するものは、読める人ほど油断して流し読みしやすい。さらに、部署によっては「bid=朝夕」と固定で解釈してしまい、夜勤帯の服薬や食事時間がずれる患者ではズレが生じます。


この問題に対する実務的な解は、「院内ルール化」と「見える化」です。具体策を箇条書きにします(入れ子なし)。


  • 施設内で使ってよい略語・禁止する略語を決め、電子カルテの定型文に寄せる。
  • 薬袋・服薬指導では略語を日本語に展開し、患者行動(朝食後、就寝前など)に変換する。
  • レジメン表は“頻度(bid等)”と“間隔(q8h等)”を同列に扱わず、別欄にする。
  • Do処方は「差分チェック」を標準化し、用法・日数・併用薬・腎機能の変化を確認する。

意外と効く小技は、「略語を覚える」のではなく「略語の出現場所ごとに、疑うポイントを固定化する」ことです。たとえば、オーダー内でq表記が出たら“間隔指定か?”、d1が出たら“サイクル表記か?”、i.v.が出たら“配合変化・投与速度・投与ラインは?”という具合です。MTSブログのように、用量→経路→日→間隔の順で分解する癖をつけると、略語の羅列が文章として読めるようになります。


最後に、略語は「人が読む」限りゼロにはできません。だからこそ、薬剤師が“翻訳者”として機能し、チーム内の共通言語を作る役割を担うと、事故予防にも業務効率にも効きます。THPAの一覧のような権威あるソースを土台にしつつ、各施設の運用に合わせて「院内版:薬剤師略語」を育てるのが、最も現実的で強い解決策です。




薬剤師・看護師・医薬系学生のための臨床医薬略語集