3号液ブドウ糖の維持輸液療法と電解質管理の注意点

3号液にブドウ糖を組み合わせた維持輸液の適切な投与法と電解質バランスについて、医療従事者が知るべき基本から応用まで解説します。病態別の選択基準や副作用対策もわかりますが、あなたは正しく使い分けできていますか?

3号液ブドウ糖の維持輸液療法と電解質管理

3号液ブドウ糖輸液の基本構成
💧
組成の特徴

生理食塩水:5%ブドウ糖液=1:3の比率で構成される維持輸液

⚖️
電解質バランス

Na35mEq/L、K20mEq/Lで1日2000mL投与により必要電解質を補給

🔋
エネルギー供給

ブドウ糖による基礎代謝維持と糖質代謝による水分分布調節

3号液ブドウ糖の基本組成と体液分布

3号液は生理食塩液と5%ブドウ糖液を1:3の比率で混合した維持輸液の代表的な製剤です。この組成により、ナトリウム濃度は30~45mEq/L、カリウム濃度は20mEq/L程度に調整されています。

 

体液分布の特徴 🔄

  • 1,000mL投与時:生食250mL、5%ブドウ糖液750mLの分布
  • 細胞外液(ECF):約333mL(血管内83mL、間質250mL)
  • 細胞内液(ICF):約666mL

ブドウ糖の役割 🍯
5%ブドウ糖液は浸透圧278mOsm/Lで血漿と等張ですが、GLUT輸送体により速やかに細胞内に取り込まれ、最終的にH₂O + CO₂に分解されます。この代謝過程により、実質的に電解質を含まない自由水(Free water)として機能します。

 

代謝式:C₆H₁₂O₆ + 6O₂ = 6H₂O + 6CO₂

3号液ブドウ糖の投与量と電解質補給の計算

1日維持量の基本原則 📊
健康成人(体重50~65kg)における1日維持量は以下の通りです。

  • 水分:30mL/kg/日(約2,000mL)
  • ナトリウム:1~2mEq/kg/日(70~100mEq)
  • カリウム:1mEq/kg/日(40~65mEq)
  • クロール:1mEq/kg/日(70mEq)
  • ブドウ糖:50~100g/日

実際の投与例 💉
ソリタT3を2,000mL投与した場合の電解質量。

 

  • ナトリウム:70mEq
  • カリウム:40mEq
  • クロール:70mEq
  • ブドウ糖:約40g(160kcal)

この組成は日本人の平均的な電解質必要量とほぼ一致しており、3号液が「維持液」と呼ばれる理由です。

 

3号液ブドウ糖投与時の注意点と副作用対策

低ナトリウム血症のリスク ⚠️
3号液のナトリウム濃度(35mEq/L)は血漿ナトリウム濃度(140mEq/L)の約1/4であり、長期投与により希釈性低ナトリウム血症を引き起こす可能性があります。

 

高カリウム血症への対応 🚫

  • 腎不全患者:GFR<30mL/min/1.73m²では投与禁忌
  • 尿量<400mL/日:カリウム蓄積のリスク高
  • 高齢者:腎機能低下により注意深いモニタリングが必要

病態別投与量調整 📉
以下の場合は投与量の減量を検討します。

  • 高齢者:2~3本/日(通常4本から減量)
  • 心不全合併:1本/日(体液貯留予防)
  • 抗菌薬併用:1本/日減量(薬剤による水分負荷軽減)

3号液ブドウ糖の病態別選択基準

適応となる病態

  • 経口摂取不良で体液量が安定している患者
  • 術後維持輸液(消化管手術後の維持期)
  • 感冒等による一時的な摂食不良
  • 軽度脱水の改善後維持期

選択を避けるべき病態

  • 急性期脱水(初期治療では生理食塩液を優先)
  • 重篤な電解質異常
  • 糖尿病性ケトアシドーシス
  • 重度腎不全(K制限必要)

他の輸液との使い分け 🔄

  • 1号液:細胞外液補充が主目的の場合
  • 2号液:中等度の電解質補充が必要な場合
  • 4号液:術後早期で電解質負荷を最小限にしたい場合
  • 5%ブドウ糖液:純粋な水分補給と軽度高ナトリウム血症の改善

3号液ブドウ糖における代謝的考慮事項と栄養管理

エネルギー代謝の観点
3号液に含まれるブドウ糖は1本あたり約10~20g程度で、1日4本投与でも80g(320kcal)程度です。これは肝グリコーゲン分解を抑制する最低限のエネルギー量であり、長期使用では以下の問題が生じます。

  • 筋肉量減少:タンパク質異化の促進
  • 免疫機能低下:栄養不足による感染リスク増大
  • 創傷治癒遅延:アミノ酸不足による組織修復障害

栄養強化製剤への移行 🍱
1週間以上の維持輸液が予想される場合。

 

  • ビーフリード®:アミノ酸含有で1本210kcal
  • フィジオ35®:ブドウ糖濃度7.5%で栄養価向上
  • アミノフリード®:アミノ酸配合による代謝改善

血糖管理上の注意点 📈
糖尿病患者では3号液投与により以下のモニタリングが必要です。

 

  • 投与速度:通常80mL/時間を超えない
  • 血糖測定:4~6時間毎
  • インスリン調整:血糖200mg/dL以上で追加投与検討

意外な臨床知見 💡
最近の研究では、3号液の投与タイミングが概日リズムに影響することが報告されています。夜間の過度な輸液は抗利尿ホルモン分泌を抑制し、夜間頻尿や睡眠障害の原因となる可能性があります。

 

日本静脈経腸栄養学会による3号液の適正使用に関する詳細なガイドライン
糖尿病患者における輸液療法の国際ガイドライン(英語)