測定法が違うだけでHbA1cが0.8ポイントも誤差を生むことがあります。
HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)は、赤血球のヘモグロビンに糖が結合した糖化ヘモグロビンの割合を示す検査値です。赤血球の寿命が約120日であるため、過去1~2ヵ月間の平均血糖値を反映します。 yotsuya-naishikyo(https://www.yotsuya-naishikyo.com/diabetes-lab/hba1c-guideline/)
日本糖尿病学会では、基準値を以下のように定めています。 musashikoyama-dm(https://musashikoyama-dm.com/medical/diabetes6.html)
特定健診では5.6%以上で特定保健指導の対象となります。これは40~74歳を対象とした生活習慣病予防のための基準です。 yotsuya-naishikyo(https://www.yotsuya-naishikyo.com/diabetes-lab/hba1c-guideline/)
糖尿病型と診断されるのは6.5%以上ですが、6.0%前後の境界型でも糖尿病予備群の可能性があるため注意が必要です。この段階から食事療法や運動療法を開始することで、糖尿病への進行を防ぐことができます。 musashikoyama-dm(https://musashikoyama-dm.com/medical/diabetes6.html)
HbA1cには主に3つの測定法があり、それぞれ原理が異なります。HPLC法(高速液体クロマトグラフィー法)はイオン交換による分画で測定し、多くの検査室で標準的に使用されています。免疫法は抗原抗体反応を利用し、大量検体処理に適しています。酵素法は特異的な酵素反応を利用し、コストが安く今後の普及が期待されています。 196189(https://www.196189.com/column/4_1)
これが基本です。
ところが、異常ヘモグロビン症では測定法によって値が大きく変動します。日本人の異常ヘモグロビン症の頻度は2,000~3,000人に1人とされ、決して稀ではありません。HPLC法では通常、異常ヘモグロビン症のHbA1cは偽低値となりますが、変異のタイプによっては偽高値を示すこともあります。 dm-net.co(https://dm-net.co.jp/calendar/2017/026643_2.php)
最も多いC1βタイプではHPLC法のみ偽低値となり、C2タイプではHbA1cとピークが重なるためHPLC法で偽高値となります。不安定ヘモグロビンではHPLC法以外の測定法でも偽低値を示し、HPLC法では著明低値となります。 dm-rg(https://dm-rg.net/news/2017/03/018044.html)
偽低値の場合、糖尿病の発症や血糖管理状態の悪化を見逃し、合併症の進行を許してしまうリスクがあります。血糖値とHbA1cに乖離がある場合は、異なる2方法で測定するか、グリコアルブミン(GA)を測定することが推奨されます。 crc-group.co(https://www.crc-group.co.jp/crc/q_and_a/171.html)
CRCグループの解説ページでは、HbA1c低値の原因と対応について詳しく説明されています
HbA1cは赤血球の寿命に依存するため、赤血球の代謝が異常な状態では正確な値を示しません。偽低値を示す主な病態として、出血・鉄欠乏性貧血の回復期・溶血性疾患・肝硬変(脾臓機能亢進)・エリスロポエチン投与中などがあります。 asklepios-clinic(https://asklepios-clinic.jp/blog/2019/12/10/low-hba1c-levels/)
これらの状態では古い赤血球が新しい赤血球に入れ替わるため、赤血球の寿命が短くなります。輸血後や貧血からの回復時も、新しい赤血球が増えることで血液が希釈され、HbA1cは低値を示します。 crc-group.co(https://www.crc-group.co.jp/crc/q_and_a/171.html)
つまり偽低値です。
慢性低血糖を起こすインスリノーマなどでもHbA1cは異常低値となります。また、急激に発症・増悪した糖尿病では血糖値と乖離し、低値を示す場合があります。この場合、過去約2週間の平均血糖値を反映するグリコアルブミン(GA)と併せて測定する必要があります。 crc-group.co(https://www.crc-group.co.jp/crc/q_and_a/171.html)
逆に、乳び血症やアルコール多飲ではHbA1cは偽高値となります。加齢や腎機能低下によるヘモグロビン低下ではHbA1cが低めに出ることが多いため、高齢者や腎疾患患者では注意が必要です。 crc-group.co(https://www.crc-group.co.jp/crc/q_and_a/108.html)
グリコアルブミン(GA)は血清アルブミンと結合した糖蛋白で、アルブミンの半減期が17日であるため、過去3週間程度の平均血糖値を反映します。HbA1cが3ヵ月間の長期指標であるのに対し、GAはより短期の指標として有用です。 shimoyama-naika(https://shimoyama-naika.com/dm/test/ga/)
GAの正常範囲は11~16%、糖尿病診断の目安は17%以上です。3ヵ月以上にわたり血糖値が安定している場合、GAはHbA1cの約3倍値を示しますが、血糖値が改善あるいは悪化するにつれてGAの方が迅速に変動します。 crc-group.co(https://www.crc-group.co.jp/crc/q_and_a/108.html)
結論はGA併用です。
HbA1cとGAの併用が推奨される状況として、血糖変動が激しい糖尿病例・糖尿病の治療開始後・妊娠時などより厳密な血糖コントロールを必要とする場合があります。特に1型糖尿病や食後高血糖が強い方では、GAがHbA1cより短期間の変動を鋭敏に捉えます。 shimoyama-naika(https://shimoyama-naika.com/diabetes/hba1c_ga/)
肝硬変や腎不全、貧血などを有する場合は赤血球の寿命の短縮や幼若赤血球の増加によりHbA1cは低値を示すため、血糖コントロールの指標としてGAを用いることが必要です。逆に、甲状腺機能異常やネフローゼ症候群ではアルブミンの代謝半減期の変化によりGAが正しい値を示さない可能性があります。 crc-group.co(https://www.crc-group.co.jp/crc/q_and_a/108.html)
ステロイド糖尿病ではアルブミン代謝が促進されるためGAは極めて低値となり、食後のみ一過性に血糖値が異常上昇する場合GAは高値となります。患者の病態に応じて、HbA1cとGAを適切に使い分けることが重要です。 crc-group.co(https://www.crc-group.co.jp/crc/q_and_a/108.html)
CRCグループのQ&Aでは、HbA1cとGAの違いと使い分けについて詳しく解説されています
糖尿病患者の血糖コントロール目標は、合併症予防のためHbA1c 7.0%未満が基本です。適切な食事療法や運動療法だけで達成可能な場合、または薬物療法の副作用なく達成可能な場合は6.0%未満を目指すこともあります。 jds.or(https://www.jds.or.jp/modules/important/index.php?content_id=66)
7.0%未満が原則です。
ただし、高齢者では低血糖リスクを考慮した個別設定が必要です。日本糖尿病学会と日本老年医学会の合同ガイドラインでは、患者の状態に応じて目標値を設定しています。 kobe-kishida-clinic(https://kobe-kishida-clinic.com/about-diabetes-internal-medicine/diabetes-fundamentals/elderly-care/elderly-diabetes-hba1c-target-guidelines/)
75歳以上の高齢者、あるいは認知機能や身体機能が低下している方には、より緩やかな目標値が適用されます。低血糖が心配される薬(インスリンやSU薬など)を使用していなければ、HbA1cの目標値は7.0~8.0%未満です。低血糖を起こす可能性のある薬を使用している場合は、8.0~8.5%未満が目標値となります。 dm-net.co(https://dm-net.co.jp/calendar/2016/025506.php)
高齢者を対象とした調査では、HbA1cが6.0%未満になると転倒リスクや死亡リスクが上昇するという報告があります。また、経口血糖降下薬による重症低血糖の頻度はHbA1c 7.0%未満で急激に増えるとされています。 kobe-kishida-clinic(https://kobe-kishida-clinic.com/about-diabetes-internal-medicine/diabetes-fundamentals/elderly-care/elderly-diabetes-hba1c-target-guidelines/)
厳しいところですね。
認知機能やADL(日常生活動作)の程度によって、目標値は7.0%未満、7.5%未満、8.0%未満、8.5%未満のいずれかに設定されます。患者の健康状態や使用している薬の種類に応じて、個別に判断することが重要です。 dm-net.co(https://dm-net.co.jp/calendar/2016/025506.php)
HbA1cは過去1~2ヵ月の平均血糖値を反映するため、検査当日の食事制限は必要ありません。検査前に食べ過ぎても逆に絶食していても、HbA1cの値には影響しません。 midori-hp.or(https://midori-hp.or.jp/examination-blog/blood-sugar/)
食事制限は不要です。
これは血糖値検査との大きな違いです。血糖値は検査前の食事や飲酒、または食後にどのくらいの時間が経過したかで値が違ってきます。そのため、空腹時血糖検査では10時間以上の絶食が必要です。 miyake-iin(https://miyake-iin.com/testing/)
HbA1cが高くなくても食後に高血糖がみられることもあるため、食後高血糖検査は重要な検査の1つです。血糖値が良いのにHbA1cが下がらない場合は、食後1~2時間の血糖値を測ってみると良いでしょう。食後の尿検査で尿糖が出ていると食後血糖値が高くなっていることが疑われます。 yamamotonaika(https://yamamotonaika.net/blog/pga1c/)
随時血糖検査は食事の時間など関係なく測定する検査で、正常の場合には140mg/dLを超えることはないとされています。HbA1cと血糖値検査を組み合わせることで、より正確な血糖コントロール状態の評価が可能になります。 miyake-iin(https://miyake-iin.com/testing/)