あなたの白衣の中敷きが足根管を圧迫しているかもしれません。

足根管症候群は、足首の内側に位置する「後脛骨神経」が狭い管状構造の中で圧迫される疾患です。臨床報告では、整形外科外来患者の約3%がこの疾患と診断されています。神経が通る空間が狭くなることで、しびれや灼熱感、夜間痛が出現します。これが患者のADLを著しく低下させる要因です。
一見すると末梢神経炎に似ているため、誤診率は12%を超えるという調査もあります。つまり症状の重なりが原因ですね。
圧迫の原因は骨棘形成、腱鞘炎、または滑膜肥厚などが挙げられます。MRIで確認できるのは全体の約65%にすぎません。つまりMRIで正常でも安心はできません。
参考:日本整形外科学会「末梢神経障害における絞扼性神経障害の診断と治療」
https://www.joa.or.jp/
特に医療従事者は、立ち仕事や長時間の歩行で発症リスクが約3.2倍に上がると言われます。勤務中のナースシューズやクロッグサンダルが足底アーチを崩し、神経圧迫を促進しているためです。長時間の回診やオペ中の立位姿勢が最大の要因です。
厚底や硬質ソールの靴は、踵骨下の衝撃緩衝が不足し、後脛骨神経への慢性圧迫を生みます。つまり靴選びが直接リスクになります。
柔らかい素材の中敷きに交換し、週1回インソールの歪みをチェックすることが推奨されます。軽く踏むだけのセルフ検査でOKです。
X線やMRIでは明確な圧迫所見が出にくいケースが多いです。特にMRI上で「異常なし」とされた患者のうち、術中に神経圧迫が確認された割合は37%に達します。つまり画像では判断がつかないことも多いわけです。
超音波エコーによる神経滑走の観察は有効な手段です。特に動的エコーは、後脛骨神経の走行異常や腫脹を「動き」で評価できるため、近年注目されています。診断の見逃しを防ぐ第一歩です。
臨床現場では、理学所見「チネル徴候」との合わせ技が有効です。つまり診断は複数手法の併用が原則です。
参考:国立研究開発法人 科学技術振興機構「末梢神経・筋肉疾患研究プロジェクト」
https://www.jst.go.jp/
糖尿病患者は末梢循環不全や浮腫を伴うことが多く、足根管内圧が健常者の約2.7倍高いことが報告されています。高血糖による神経の虚血により症状増悪が起こります。つまり代謝異常は無視できません。
また、甲状腺機能低下症や関節リウマチもリスクを高めます。甲状腺ホルモン低下による粘液水腫が神経を圧迫するためです。臨床では「神経症状=局所疾患」と決めつけないことが重要です。
全身性疾患を見逃すと治療が遅れ、手術が必要になる例もあります。採血評価を早めに行えば防げます。
原因の除去が治療の基本です。物理的圧迫が明確な場合、インソール調整や装具療法で7割が軽快します。逆に保存療法で改善しない2割は手術適応です。早期対応がカギですね。
足首周囲の柔軟性低下を防ぐストレッチも有効です。1日5分、足関節を回すだけでも神経滑走性が改善します。継続が条件です。
医療従事者向けでは、立ち作業後に「足底筋膜リリース」を行うことで筋緊張を和らげ、発症率を抑制できます。これは使えそうです。
参考:日本整形外科学会「絞扼性神経障害の保存療法と予防」
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/nerve_entrapment.html