大腿骨頚部骨折の手術種類と選択基準を徹底解説

大腿骨頚部骨折の手術種類(骨接合術・人工骨頭置換術・THA)の違いや選択基準をGarden分類とともに解説。早期手術の重要性や術後リハビリのポイントも紹介。医療従事者として正確な判断ができていますか?

大腿骨頚部骨折の手術種類と適応・選択基準

待機群(48時間超)では術後合併症が27.1%と、早期手術群(2.3%)の約12倍に跳ね上がります。


大腿骨頚部骨折 手術種類まとめ
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骨接合術(CCS・DHS)

非転位型骨折(Garden I・II)に適応。スクリューやピンで骨折部を固定し、骨頭を温存する。侵襲が比較的少なく、術後早期離床が可能。

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人工骨頭置換術(HA)

転位型骨折(Garden III・IV)の高齢者に標準適応。骨頭を除去しステムを挿入。骨接合術より再手術率が低く、早期荷重が見込める。

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人工股関節全置換術(THA)

活動性が高い比較的若年の転位型骨折患者に選択肢となる。寛骨臼側も同時置換するため機能回復に優れるが、脱臼リスク管理が重要。

このページの目次
  1. 大腿骨頚部骨折の手術種類と適応・選択基準
    1. 大腿骨頚部骨折の Garden 分類と手術選択の基本
    2. 大腿骨頚部骨折の手術種類①骨接合術の適応と特徴
    3. 大腿骨頚部骨折の手術種類②人工骨頭置換術の適応と実際人工骨頭置換術(Hemiarthroplasty:HA)は、転位型骨折(Garden III・IV)における高齢者への標準術式です。 骨折した骨頭部を摘出し、大腿骨髄腔にステム(金属製の棒)を挿入して人工骨頭を設置します。 jsfr(https://www.jsfr.jp/ippan/condition/ip25.html)骨接合術と比較すると、手術時間・出血量・輸血量はやや増える傾向があります。 しかし再手術率は骨接合術より低く、術後の荷重開始も早期に行えるケースが多いです。これは使えそうな知識ですね。 nsmc.hosp.go(https://nsmc.hosp.go.jp/Journal/2016-6/SMCJ2016-6_review02.pdf)ステムの固定法には「セメント固定」と「セメントレス固定」の2種類があります。2021年ガイドラインでは、高齢者に対してセメント使用が推奨されています。 セメントレスでは術後に骨とステムが癒合するまで時間がかかるため、骨粗鬆症が進んだ高齢者には不向きとされています。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.18885/JJS.0000001614) >適応:Garden Stage III・IV(高齢の転位型骨折) >ステム固定:セメント固定が高齢者には推奨(ガイドライン2021) webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.18885/JJS.0000001614)>手術アプローチ:後方(posterior)・前外側(anterolateral)など複数存在 >脱臼予防:術後のポジショニング指導が不可欠 >合併症:深部静脈血栓症(DVT)・肺塞栓への注意が必要 術後の脱臼リスク管理は、アプローチによって禁忌肢位が異なります。理学療法士や看護師を含む多職種チームで情報共有することが、術後合併症予防の鍵です。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.18885/JJS.0000001614)日本骨折治療学会|大腿骨頚部骨折・転子部骨折の治療方法と人工骨頭置換術の詳細な解説が掲載されています。 大腿骨頚部骨折の手術種類③THAの選択基準と注意点
    4. 大腿骨頚部骨折の手術タイミングと合併症リスクの実際


大腿骨頚部骨折の Garden 分類と手術選択の基本


大腿骨頚部骨折(内側骨折)の手術方針を決める上で、Garden分類は最も重要な評価ツールです。 Garden分類はI〜IVのStageに分かれており、骨折端のずれ(転位)の程度を示します。 1post(https://1post.jp/7096)


Stage I・IIは非転位型で、骨折部の血流が比較的保たれているため骨接合術が選択されます。 一方、Stage III・IVは転位型骨折で、骨頭への血流が断たれるリスクが高く、人工物置換術が推奨されます。 つまり、Garden分類が治療の分岐点です。 ousar.lib.okayama-u.ac(https://ousar.lib.okayama-u.ac.jp/files/public/4/40561/20160528033749798894/122_253.pdf)


以下に各Stageの特徴と手術選択をまとめます。


Garden Stage 骨折の状態 推奨手術
Stage I 不完全骨折・転位なし 保存療法または骨接合術
Stage II 完全骨折・転位なし 骨接合術(CCS固定など)
Stage III 完全骨折・部分転位 骨接合術または人工骨頭置換術
Stage IV 完全骨折・完全転位 人工骨頭置換術(HA)


Garden III は判断が分かれる境界域です。 患者の年齢・活動性・骨質を総合的に評価して術式を選ぶ必要があります。骨折部位への血流評価には術前MRIが有用で、骨頭壊死のリスク予測にも活用されます。 minds.jcqhc.or(https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00625/)


大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン2021(Minds掲載版)|Garden分類に基づく治療選択と早期手術推奨の根拠が詳しく記載されています。


大腿骨頚部骨折の手術種類①骨接合術の適応と特徴

骨接合術は、骨折した骨頭を温存しながら金属器具で固定する手術です。 主にCannulated Cancellous Screw(CCS)やDynamic Hip Screw(DHS)が使用されます。 premedi.co(https://www.premedi.co.jp/%E3%81%8A%E5%8C%BB%E8%80%85%E3%81%95%E3%82%93%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3/h00461/)


侵襲が少ない分、患者への身体的負担は比較的小さいです。 ただし非転位型でも偽関節(骨がうまくくっつかない状態)が生じる可能性がある点は見落としがちです。 これが骨接合術の最大のリスクです。 co-medical.mynavi(https://co-medical.mynavi.jp/contents/therapistplus/career/useful/1203/)


偽関節が起きた場合は再手術が必要になり、患者のADLや生命予後に大きく影響します。骨接合術を選択した際は、術後の荷重開始タイミングと定期的な画像フォローが特に重要になります。早期に異常を察知できれば、再手術への移行もスムーズに行えます。


    >使用器具:CCS(キャンセラスクリュー)、DHS(ダイナミックヒップスクリュー)
    >適応:Garden Stage I・II(非転位型)
    >メリット:骨頭温存、侵襲小、手術時間短い
    >デメリット:偽関節リスク、骨頭壊死リスクが残る
    >術後管理:定期的X線評価、荷重開始時期の慎重な判断


大腿骨頚部骨折の手術種類②人工骨頭置換術の適応と実際
人工骨頭置換術(Hemiarthroplasty:HA)は、転位型骨折(Garden III・IV)における高齢者への標準術式です。 骨折した骨頭部を摘出し、大腿骨髄腔にステム(金属製の棒)を挿入して人工骨頭を設置します。 jsfr(https://www.jsfr.jp/ippan/condition/ip25.html)

骨接合術と比較すると、手術時間・出血量・輸血量はやや増える傾向があります。 しかし再手術率は骨接合術より低く、術後の荷重開始も早期に行えるケースが多いです。これは使えそうな知識ですね。 nsmc.hosp.go(https://nsmc.hosp.go.jp/Journal/2016-6/SMCJ2016-6_review02.pdf)

ステムの固定法には「セメント固定」と「セメントレス固定」の2種類があります。2021年ガイドラインでは、高齢者に対してセメント使用が推奨されています。 セメントレスでは術後に骨とステムが癒合するまで時間がかかるため、骨粗鬆症が進んだ高齢者には不向きとされています。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.18885/JJS.0000001614)


    >適応:Garden Stage III・IV(高齢の転位型骨折)
    >ステム固定:セメント固定が高齢者には推奨(ガイドライン2021)

    webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.18885/JJS.0000001614)
    >手術アプローチ:後方(posterior)・前外側(anterolateral)など複数存在


    >脱臼予防:術後のポジショニング指導が不可欠
    >合併症:深部静脈血栓症(DVT)・肺塞栓への注意が必要


術後の脱臼リスク管理は、アプローチによって禁忌肢位が異なります。理学療法士や看護師を含む多職種チームで情報共有することが、術後合併症予防のです。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.18885/JJS.0000001614)

日本骨折治療学会|大腿骨頚部骨折・転子部骨折の治療方法と人工骨頭置換術の詳細な解説が掲載されています。


大腿骨頚部骨折の手術種類③THAの選択基準と注意点

人工股関節全置換術(Total Hip Arthroplasty:THA)は、骨盤側の寛骨臼(ソケット)と大腿骨側の両方を人工物で置換する手術です。 HAとの違いは「寛骨臼も置換するかどうか」です。 jsfr(https://www.jsfr.jp/ippan/condition/ip25.html)


ガイドライン2021では、転位型頚部骨折に対するTHAとHAの選択について、活動性が高い比較的若年の患者(目安として65〜75歳未満)にはTHAがより良好な機能回復をもたらす可能性があると示されています。 一方、高齢・低活動性の患者にはHAで十分な機能回復が見込めます。 minds.jcqhc.or(https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00625/)


THA はHAより術後の日常生活動作の幅が広がります。 ただし脱臼リスクはHAよりやや高く、術後指導が重要です。また既存の変形性股関節症がある症例にTHAを選択することで、股関節痛も同時解決できるという利点があります。意外ですね。 premedi.co(https://www.premedi.co.jp/%E3%81%8A%E5%8C%BB%E8%80%85%E3%81%95%E3%82%93%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3/h00461/)


比較項目 人工骨頭置換術(HA) 全置換術(THA)
置換範囲 大腿骨側のみ 大腿骨+寛骨臼側
手術時間 比較的短い やや長い
適応患者 高齢・低活動性 比較的若年・高活動性
機能回復 良好 より良好
脱臼リスク 低〜中 やや高い
再置換の可能性 寛骨臼側の摩耗で必要になることあり 比較的少ない


大腿骨頚部骨折の手術タイミングと合併症リスクの実際

「内科的評価が整ってから手術する」という判断は、時に重大なリスクを生みます。受傷後48時間以内に手術を行った群では術後合併症が2.3%であったのに対し、48時間を超えた待機群では27.1%と約12倍に跳ね上がることが報告されています。 早期手術が原則です。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1408202308)


さらに2024年のRCT(HIP ATTACK試験)では、心筋障害を合併した高齢股関節骨折患者において、入院後6時間以内の迅速手術群の死亡率が10%であったのに対し、24時間以内の早期手術群では23%と、2倍以上の差が生じていました。 厳しいところですね。 medicalonline(https://www.medicalonline.jp/review/detail?id=12277)


手術が遅れる主な原因としては、抗凝固薬抗血小板薬の服用中断待ち、内科合併症(心疾患・腎疾患)の評価、または施設の手術枠の問題などが挙げられます。 こうした阻害因子を事前に把握し、多職種で迅速に対応できる体制を整えることが、患者予後の改善に直結します。早期手術に向けた院内フローの整備が条件です。 minds.jcqhc.or(https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00625/)


    >🕐 受傷後48時間以内の手術:術後合併症リスクを大幅に低減
    webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1408202308)
    >💊 抗凝固薬中断の管理:手術遅延の主要因、事前プロトコルが有効
    minds.jcqhc.or(https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00625/)
    >🩺 術前MRI:骨頭壊死リスクの事前予測に有用
    minds.jcqhc.or(https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00625/)
    >👥 多職種連携:周術期管理・リハビリ・二次骨折予防が一体で推奨
    webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.18885/JJS.0000001614)
    >💉 抗骨粗鬆症薬:二次骨折予防として入院中からの開始が強く推奨
    webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.18885/JJS.0000001614)


大腿骨頚部骨折の入院中死亡を防ぐためには、せん妄深部静脈血栓症(DVT)・誤嚥性肺炎の三大合併症への予防的介入も欠かせません。 早期離床を実現するために、術式選択の段階から理学療法士や看護師を含む多職種が連携することが、ガイドラインでも明確に推奨されています。 naruoseikei(https://naruoseikei.com/blog/2025/04/hipfx-48.html)



Hokuto(臨床支援アプリ)|大腿骨近位部骨折のガイドライン要約|診断・手術タイミング・術式選択のポイントを臨床現場向けにまとめたリファレンスです。






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