粉砕してはいけない薬 一覧 と徐放

粉砕してはいけない薬 一覧を、徐放性製剤・腸溶性製剤・OD錠の落とし穴まで整理し、現場で迷いがちな「つぶして良い?」を判断しやすくまとめました。あなたの施設の運用に落とし込めていますか?

粉砕してはいけない薬 一覧 と徐放

粉砕してはいけない薬 一覧の要点
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徐放は粉砕・分割で危険

徐放性製剤は設計が壊れると急激な血中濃度上昇や重篤な副作用、薬効不足につながるため、原則「粉砕不可」を前提に確認します。

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腸溶は胃で失活・障害

腸溶性製剤は胃酸から守る設計なので、粉砕すると成分失活や胃粘膜障害リスクが上がり、狙った効果が得られないことがあります。

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販売名だけでは読めない

CR/SR/LAなどが付かない徐放もあり、添付文書・院内一覧・薬剤師確認をルール化しないと事故が起きやすくなります。

粉砕してはいけない薬 一覧:徐放の見分け方と事故

粉砕してはいけない薬の代表が「徐放性製剤」です。徐放性製剤は、有効成分の放出速度を調整して投与回数を減らしたり、薬効を持続させたり、副作用を低減したりする目的で設計されています。ところが、粉砕・分割・かみ砕きでその設計が壊れると、急激な血中濃度上昇→重篤な副作用、あるいは「長く効くはずが早く切れる」といった薬効不足につながる恐れがあります。


現場で特に難しいのは「販売名から徐放だと読み取れない」ケースです。医療安全情報では、徐放性製剤であることが販売名から読み取れないために誤って粉砕される事例が繰り返し報告されている、と明記されています。つまり、経験や雰囲気で判断すると、必ず穴が出ます。


徐放の“ありがちな誤解”を、事故パターンとして整理します。


  • 「OD錠だから潰して良い」:ODでも徐放性顆粒を含むものがあります(OD=粉砕OKではありません)。
  • 「半錠にしたい」:分割で徐放構造が壊れるタイプがあります(分割も粉砕と同じくNGになり得ます)。
  • 「経管だから粉砕が必要」:経管投与でも、徐放は粉砕以外の代替(剤形変更等)を検討すべきです。
  • 「同成分なら同じ用法」:同成分でも徐放タイプで用法が異なる製剤があり、誤った回数設定の事例も示されています。

医療安全情報に掲載された「粉砕投与等の報告が特に多い徐放性製剤の一覧(五十音順)」には、たとえば次のような薬剤が挙がっています(施設採用薬は必ず自施設の一覧で最終確認してください)。


ここで重要なのは、「一覧にあるから危ない」ではなく、一覧は“事故が多い代表例”に過ぎない点です。徐放かどうか、粉砕・分割の可否は、添付文書や企業資材で確認し、疑義があれば薬剤師に確認する——これを業務手順として固定する必要があります。


参考:徐放性製剤を粉砕・分割すると何が起きるか、事故例と「粉砕投与等の報告が特に多い徐放性製剤の一覧」
https://www.pmda.go.jp/files/000251752.pdf

粉砕してはいけない薬 一覧:腸溶の理由と例外の考え方

腸溶性製剤も「粉砕してはいけない薬」の代表格です。腸溶は、胃で溶けないように加工され、腸に到達してから溶け出す設計です。狙いは大きく2つで、(1)胃酸で分解されやすい成分を守る、(2)胃で溶けると胃粘膜障害を起こしやすい薬を胃から遠ざける、という考え方です。


粉砕してしまうと、腸溶コーティングが破壊されてしまいます。その結果、

  • 胃酸で薬が失活して「効かない」
  • 胃で溶けてしまい消化器系副作用(胃部不快感、出血リスク増加など)が増える
  • 本来の溶出部位・溶出速度が変わって効果の予測が崩れる

    といった問題が起こり得ます。


よくある実務上のポイントは「腸溶=絶対に経管NG」と短絡しないことです。腸溶“錠”を粉砕するのはNGでも、腸溶顆粒や腸溶性の微粒子を含むODなど、剤形ごとの事情が異なります。たとえば、OD錠の中に腸溶性の小粒が入っているタイプでは、粉砕でその粒自体が壊れて失活する、という落とし穴があります。つまり「剤形名(腸溶錠/腸溶顆粒/OD)だけ」ではなく、“中身の設計”まで意識するのが安全です。


参考:徐放・腸溶・ODの「粉砕すると危険」な理由を短く整理(ODでも粉砕できない例に触れています)
錠剤の粉砕について|薬剤部

粉砕してはいけない薬 一覧:簡易懸濁と粉砕の違い

経管投与では、従来「粉砕して水に溶かす」が実務の中心でしたが、現在は簡易懸濁法が標準的な選択肢の1つです。簡易懸濁法は、錠剤を粉砕したりカプセルを開けたりせず、投与時に錠剤・カプセルを55℃程度の温湯にそのまま入れて崩壊・懸濁させ、経管投与する方法と説明されています。粉砕に比べて、調剤設備や高度な加工技術が不要になり、薬の識別性が保たれるなど、医療安全上の利点もあります。


ただし「簡易懸濁=何でもOK」ではありません。ポイントは次の通りです。


  • 温度と時間:55℃程度、温湯20〜30mL、10分放置が基本(短すぎると崩壊不十分、長すぎると配合変化リスクが増え得ます)。
  • 準備の“砕き”の扱い:コーティング錠など懸濁しにくい場合に「軽く砕く」提案がありますが、これは“粉砕してはいけない薬”に適用してはいけません。徐放性顆粒や腸溶顆粒は「つぶさずそのまま注入」という注意が示されています。
  • 水の選択:水道水の使用が推奨され、ミネラルウォーターは硬度によって薬の吸収・効果に影響する恐れがある、とされています。
  • 併用の注意:一緒に懸濁すると配合変化を起こす組み合わせがあり、別々に懸濁する必要がある例としてレボドパ製剤鉄剤、レボドパ製剤と酸化マグネシウム製剤が挙げられています。

あまり知られていない“現場で効く”視点として、「簡易懸濁の手順が正しくても、銘柄変更で可否が変わる」問題があります。同じ有効成分でもメーカーによって懸濁可否が異なることがある、と明記されています。つまり、院内採用や流通都合で銘柄が変わっただけで、これまでの手順が突然リスクになる可能性があるため、NST・薬剤部・看護部で“銘柄変更時の再確認”を運用に組み込むのが安全です。


参考:簡易懸濁法の定義、55℃・10分の根拠、懸濁できない薬や配合変化、メーカー差の注意点
https://yakuyomi.jp/career_skillup/skillup/02_092/

粉砕してはいけない薬 一覧:一覧の作り方とチェック手順

「粉砕してはいけない薬 一覧」を施設で機能させるには、単なるリストではなく“判断手順(フロー)”として現場に置くのが効果的です。医療安全情報でも、粉砕・分割の可否は添付文書や企業資材等で確認し、薬剤師に確認するように、という姿勢が示されています。さらに、処方オーダリングシステムを活用し、徐放性製剤などで粉砕指示が入った場合に警告を出すなどの対策案も提示されています。


実務に落とし込むなら、次のような順番が事故を減らします(病院・施設での責任分界点をはっきりさせるのがコツです)。


  • ①薬剤名を見たら「徐放」「腸溶」「特殊構造」を疑う(CR/SR/LA/Sなどの記号がない場合もある前提)
  • ②自施設の「粉砕可否一覧」「簡易懸濁可否一覧」を確認(最新版か、改訂日も見る)
  • ③不明なら添付文書・企業資材で確認し、薬剤師へ確認(“確認できるまで加工しない”を徹底)
  • ④代替案を検討:同成分の即放製剤、散剤、液剤、貼付剤、坐剤、注射、あるいは投与設計の見直し
  • ⑤患者・家族への指導:噛み砕き・自己判断の中止、経管時の手順、作り置き禁止など

意外と見落とされるのが、「半錠処方」へのシステム対策です。医療安全情報では、徐放性製剤について存在しない規格や小数点(0.5錠等)での処方を入力不可とする、といった設定案も示されており、“人の注意”に依存しすぎない設計が推奨されています。チェックの文化が強い施設でも、夜勤帯・多職種・応援配置が重なると抜けるため、アラートは最後の安全弁になります。


参考:オーダリングでの警告表示例、入力制限など「粉砕投与の防止対策」まで踏み込んだ提案
https://www.pmda.go.jp/files/000251752.pdf

粉砕してはいけない薬 一覧:独自視点の「名称の罠」

検索上位では「徐放・腸溶・ODの注意」が中心になりがちですが、現場でじわじわ効くのは“名称の罠”の整理です。医療安全情報では、販売名から徐放性製剤であることが読み取れない場合に誤って粉砕される事例が多い、と明確に述べています。これは「知識がない」よりも、「知識がある人でも、名称から気づけない」問題です。


そこで、一覧に“薬名の読み取り補助”を付けると運用が変わります。たとえば、次のような運用メモを一覧の右端に付けておくと、看護・介護・当直医が一瞬で判断しやすくなります。


  • 🧩「CR/SR/LA/L/R/S」などの記号がある:徐放の可能性が高い(例:Controlled Release、Sustained Release、Long Acting、Slowなど)
  • 🧩記号がないが、1日1回製剤・長時間作用を売りにしている:徐放の可能性を疑う
  • 🧩「同成分の別剤形が複数ある」:用法が異なる可能性がある(例としてバルプロ酸ナトリウムの用法差が示されています)
  • 🧩「経管になったから粉砕」は禁止ワード:まず簡易懸濁・剤形変更・代替を検討する

さらに、一覧の“更新トリガー”を決めておくのも独自視点として有用です。たとえば「採用薬追加」「後発品へ切替」「出荷調整で銘柄変更」「NSTで経管患者増加」など、現場の変化が起きたタイミングで必ず一覧を見直すルールにすると、資料が形骸化しにくくなります。メーカーによって懸濁可否が異なる可能性があるという指摘も踏まえると、銘柄変更は特に強いトリガーです。


最後に、粉砕事故は「1回の判断ミス」だけでなく、「誰も悪意なく、いつもの手順でやった」時に起きます。だからこそ、粉砕してはいけない薬 一覧は、教育資料ではなく“運用の部品”として、アラート・疑義照会・一覧改訂の仕組みまで含めて組み立てるのが、再発防止に直結します。