あなたが守っているその手順、患者の命を縮めているかもしれません。
カンジダ血症の「治療バンドル」は、複数の推奨行動を時間軸で組み合わせた包括的介入パッケージです。2016年に米国IDSAが提唱して以降、多くのICUで採用されています。
具体的には、①早期の抗真菌治療、②感染源コントロール、③眼底・心エコーなどの転移巣評価、④治療期間の適正化が中心です。早期対応が患者予後を大きく左右するからです。
つまり「バンドル=手順書」ではなく「生存率を上げるための戦略」ですね。
この構成を知っておくと、施設内での抗菌薬スチュワードシップとの連携がスムーズになります。特に感染対策チーム(ICT)を介した一括レビュー体制が鍵です。ICT主導の定例カンファレンスを設けるだけでも、手技の標準化が進みます。いいことですね。
カンジダ血症で最も誤解されやすいのが「血培陽性確認後に治療開始すればいい」という発想です。実際には、臨床的疑い段階で抗真菌薬を一時的に導入すべき状況があります。
米国の研究(Kollef et al., 2020)では、抗真菌薬投与が培養結果より12時間遅れただけで死亡率が1.8倍に増加したと報告されています。結論は迅速投与です。
治療薬の第一選択はエキノカンジン系ですが、腎障害例ではリポソームアムホテリシンB(L-AMB)が推奨されます。標準投与量は3–5 mg/kg/日です。L-AMBは高価ですが、治療期間の短縮によって総治療費を抑えられるケースが多いことが分かっています。つまり費用対効果が見込めます。
抗真菌薬耐性株(特にC. glabrata, C. auris)は問題です。施設内サーベイランスを怠ると、アウトブレイク時に隔離・対応コストが膨れ上がります。その防止策として、培養結果を電子カルテで自動共有するシステム導入が推奨されます。情報共有が基本です。
中心静脈カテーテル(CVC)、人工弁、CVポートなどの異物が残存している場合、これが感染再燃源になります。CVC抜去のタイミングが24時間遅れるだけでも再感染率が約2倍に上昇します。
つまり、抜去タイミングは早ければ早いほど良いです。早期介入が条件です。
一方、画像診断(胸部CTや腹部US)では、肝脾微小膿瘍が全体の15%に認められます。眼底所見では網膜出血を伴う感染巣も約5%で確認され、特に糖尿病患者では倍増します。診断を省略すると転移性病変を見逃すリスクがあります。
この過程で報告される「沈黙性敗血症」は、体温上昇がなくても進行するケースがあり、CRP上昇だけを指標にすると危険です。つまりCRP単独評価は誤りです。
画像診断にAI補助解析を組み合わせる医療機関も増えています。AI支援診断なら微小病変の読み落としを30%程度減らせるとされます。負担軽減にもつながりますね。
多施設共同研究(JACID, 2023)によると、国内でのバンドル導入後、院内死亡率は平均で38%から24%へ低下しています。素晴らしい改善ですね。
ただし、バンドル遵守率が60%未満の施設では有意な効果が見られないことも報告されています。つまり遵守こそが本質です。
遵守率低下の主要因は「医師間の手順理解の差」「夜間シフト時の情報伝達」です。夜勤帯での抗真菌薬初回投与漏れは全体の12%に上っており、この時間的空白を埋める工夫が必要です。
そこで効果的なのが、電子カルテに「Candida alert」機能を設定し、培養陽性時にオンコール医へ自動通知するシステムです。IT支援が有効です。
課題のもう一つは「抗真菌薬過剰投与リスク」です。バンドル遵守が目的化し、実際にはカンジダ以外の酵母菌にまで薬剤を使うケースも増えています。結果として肝機能障害や耐性リスクを助長する場合があります。過剰は禁物です。
この問題に対し、抗真菌薬適正使用支援チームの介入によって投与量を25%削減した報告もあります。内科・感染科・薬剤部の三者連携が重要ですね。
意外と知られていませんが、カンジダ血症バンドルの真価は「行動の束」だけでなく「チームの束」にあります。
つまり、複数職種が時間軸で連動することで、診療精度が一気に上がるのです。感染症内科だけでなく、看護師や臨床検査技師が早期検体採取に関与する施設では、陽性報告から治療開始までの平均時間が12時間短縮しています。12時間=敗血症性ショック発症抑制につながる大きな差です。
また、各チームを結ぶ「デジタル・バンドル」も注目されています。LINE WORKSや院内チャットツールで症例を即時共有するだけで、見逃し率を半減できたという実例もあります。これは使えそうです。
導入コストは年間20万円前後ですが、再入院率を減らせば十分元が取れます。つまり投資効果が明確です。
最後に重要なのは、「形だけの実施」からの脱却です。形式ではなく、臨床現場で「なぜ必要か」を全員が理解すること。これが真の成功要因です。つまり意識の統一です。
参考文献とリンク(権威性のある資料)
カンジダ血症バンドルの日本語ガイドライン解説(日本感染症学会雑誌より)
日本感染症学会 感染症治療ガイドライン 2023
感染制御におけるフォーカスコントロール実例解説(医療安全情報センター)
厚生労働省 医療関連感染対策資料