骨粗鬆症マネージャーの資格を持っていても、それ単独では診療報酬の点数に直接反映されません。
骨粗鬆症リエゾンサービス(OLS:Osteoporosis Liaison Service)と骨折リエゾンサービス(FLS:Fracture Liaison Service)は、しばしば混同されがちな用語です。日本骨粗鬆症学会が定義するOLSは、骨折後の二次骨折予防だけでなく、一次骨折予防も対象とする幅広い概念です。一方、FLSは脆弱性骨折患者に対して骨折直後から再骨折を防ぐ取り組みを指します。つまりOLSのほうが対象範囲が広いということですね。
診療報酬上では、2022年度の改定により「二次性骨折予防継続管理料」(以下、二骨継管理料)が新設されました。この管理料はFLSの実践を軸に評価されるもので、「骨折リエゾンサービス(FLS)クリニカルスタンダード」と「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」の両方に沿った診療が算定要件となっています。
この区分を正確に理解することが、算定要件を正しく満たすうえでの第一歩です。OLSとFLSは似た言葉ですが、診療報酬への紐づき方が異なります。OLS全体が直接加算の対象になるわけではない点に注意が必要です。
医療従事者として算定を目指すなら、まずFLSクリニカルスタンダードを手元に置き、自施設の体制がどのステージまで対応できているかを確認することから始めましょう。
参考:日本骨粗鬆症学会による二次性骨折予防継続管理料の算定要件・施設基準の解説(FLSクリニカルスタンダードとの対応関係が詳しく整理されています)
二次性骨折予防継続管理料|日本骨粗鬆症学会 医療従事者の方へ
二次性骨折予防継続管理料は3つの区分に分かれており、どの施設でどの区分を算定できるかが明確に規定されています。管理料1が「起点」となる仕組みです。
まず管理料1は、大腿骨近位部骨折の手術を行う急性期病院が対象です。1,000点が入院中1回のみ算定できます。1,000点は診察1点=10円換算で10,000円相当になります。算定するためには、骨粗鬆症の評価(骨密度測定・椎体X線・血液検査など)と骨粗鬆症治療の開始を行うことが必要です。これが基本です。
管理料2は750点で、回復期リハビリテーション病棟や地域包括ケア病棟において算定します。他院で管理料1を算定した患者が転院してきた場合に、入院中1回のみ算定できます。ただし、管理料1を算定した病院と「特別の関係」にある施設への転院では算定できない点に注意が必要です。
管理料3は500点で、外来診療において算定します。管理料1の算定歴がある患者を対象に、初回算定月から1年間を上限として月1回算定可能です。1年を超えた継続管理は算定外となります。
| 区分 | 点数 | 算定場面 | 算定上限 |
|---|---|---|---|
| 管理料1 | 1,000点 | 急性期一般病棟(手術担当) | 入院中1回のみ |
| 管理料2 | 750点 | 回復期・地域包括ケア病棟 | 入院中1回のみ |
| 管理料3 | 500点 | 外来診療 | 月1回・最長1年間 |
管理料3の「1年を限度」という規定は、しばしば見落とされます。外来で長期管理している患者であっても、管理料3は最初に算定した月から数えて12ヵ月で終了となります。1年が条件です。骨粗鬆症治療が2年・3年と続く場合でも、2年目以降は算定できません。その点は厳しいところですね。
また、管理料2を算定するには「他院で管理料1を算定したこと」が前提です。自院で管理料1と管理料2を同一患者に算定する場合、院内転棟(同一病院内のリハビリ病棟への転棟)では管理料2は算定できないことも覚えておく必要があります。
参考:令和4年度・令和6年度診療報酬改定後の点数・算定要件の詳細(厚労省告示に準拠した解説)
B001_34 二次性骨折予防継続管理料|令和6年 診療報酬改定情報(PT-OT-ST.NET)
二骨継管理料を算定するには、施設基準を満たしたうえで地方厚生局への届出が必要です。届出なしでの算定は不正請求になります。これは必須です。
施設基準の核心は「多職種の連携体制」の整備です。具体的には、骨粗鬆症の診療を担当する専任の常勤医師・専任の常勤看護師・専任の常勤薬剤師の3職種が院内に配置されていることが求められます。ただし、診療所など薬剤師が在籍していない施設については、地域の保険薬局の薬剤師との連携体制が整備されていれば要件を満たすことができます。
もう一つ重要なのが「年1回以上の院内研修会」の実施です。「骨粗鬆症に対する知識の共有とFLSの意義について」をテーマに、院内スタッフを対象とした研修会を開催することが義務づけられています。新規届出の場合は、届出日から1年以内に研修会の開催が決まっていれば届出時点でも受理されますが、開催予定日がわかる書類の添付が必要です。
ここで見落とされがちなのが「管理料1または2の届出施設が、管理料3も算定する場合は新たに届出が必要」という規定です。管理料1の届出を行っているからといって、自動的に管理料3を算定できるわけではありません。つまり別々の届出が条件です。外来で骨粗鬆症管理を始めた際に届出を失念すると、後から算定分を取り消す羽目になることもあります。
さらに、管理料2に関しては「専任の常勤医師」と、回復期リハビリテーション病棟の体制強化加算1に規定される「専従の常勤医師」は兼任不可とされています。「専任」と「専従」の違いは実務上重要で、専従は業務の8割以上をその業務に充てることが求められるため、実質的に他業務との兼任ができません。専任と専従の混同は算定ミスの原因になります。
参考:厚労省の疑義解釈資料(届出上の注意点・薬剤師の取り扱いなど)
疑義解釈資料の送付について(その1)|厚生労働省
令和6年(2024年)度の診療報酬改定では、二骨継管理料1の算定ができる施設の対象が拡充されました。これは現場にとってかなり大きな変化です。
具体的には、管理料1を算定できる病棟として新たに「有床診療所入院基本料」と「地域包括医療病棟入院料」の2区分が追加されました。令和4年(2022年)の新設時点では、急性期一般入院基本料・地域一般入院基本料・7対1または10対1入院基本料に限られていたため、比較的大きな急性期病院のみが対象でした。今回の改定で、整形外科を標榜する有床診療所や地域包括医療病棟でも管理料1が算定できるようになったことは、地域医療の末端まで二次骨折予防が届きやすくなったという点で意義深い変更です。
また、管理料2の対象として「回復期リハビリテーション入院医療管理料」が追加されています。これまでは地域包括ケア病棟入院料・回復期リハビリテーション病棟入院料が対象でしたが、医療管理料の区分も加わったことで、より多様な回復期施設で二次骨折予防の継続が評価されるようになりました。
2024年10月末時点での届出施設数は、管理料1が全国2,030施設・管理料2が1,775施設・管理料3が6,031施設に達しています(厚生局データより)。これは使えそうです。国際骨粗鬆症財団(IOF)のCapture the Fracture®認定施設も日本国内で100施設を達成しており、政策介入によるFLS普及が国際的にも注目されています。
一方で、急性期病院からの退院後を担う回復期病院や診療所への連携が課題として残っています。2024年に行われた地域調査では、86施設のうち半数以上(47施設)が二骨継管理料を算定していないという結果も報告されており、届出が全国に広がっているとは言い切れない現状があります。
参考:令和6年度診療報酬改定における二骨継管理料の拡充内容(有床診療所・地域包括医療病棟への対応)
二次性骨折予防継続管理料1(2024年度改定対応版)|アステラス製薬
診療報酬を正しく算定するためには、施設基準を満たすだけでなく、実際の多職種連携の質も問われます。FLSクリニカルスタンダードは5つのステージで構成されており、ステージ1(対象患者の特定)からステージ5(患者と医療従事者への教育)まで、各ステージで求められる実践内容が規定されています。
急性期病院でFLSを導入したある施設では、導入前の骨粗鬆症治療開始率が21.7%だったのに対し、導入後は97.8%まで上昇したという報告があります。一方で、大腿骨近位部骨折患者の薬物治療率は入院中でも23.3%、退院1年後には16.6%にとどまるという全国データもあり(レセプトデータベースを用いた研究)、急性期での取り組みの成果が退院後に維持されにくいことが課題として指摘されています。退院後の継続が原則です。
実務上、地域連携のフォローアップモデルは大きく3種類に整理できます。
骨粗鬆症マネージャーの資格を持つメディカルスタッフがFLSコーディネーターとして中心的な役割を担うことが、体制構築の加速につながります。チーム内でのタスクシェアと、回復期・診療所への啓発活動が「算定できる体制」から「継続できる体制」への鍵です。
また、栄養指導(管理栄養士の介入)は診療報酬加算の対象になっていないため、実際には無報酬で行われているケースも多いです。これは厳しいところですね。OLSの活動全体を診療報酬で評価する仕組みへの拡充は、現場からの要望として今後の改定議論でも注目されるポイントです。
参考:急性期病院を起点とするFLS地域医療連携体制の構築と実践例(地域連携モデルの比較を含む詳細解説)