レクチャーコースを受講済みでも、学術集会に1回も参加していないと審査料5,000円を払った後に申請が却下されます。
骨粗鬆症マネージャーの認定試験を受けるには、日本骨粗鬆症学会が定める4つの要件をすべて同時に満たした状態で申請しなければなりません。1つでも欠けていると、審査料を振り込んだ後でも申請が受理されない場合があります。
要件は次の4点です。①日本骨粗鬆症学会の会員であること、②保健師・看護師・理学療法士・薬剤師・管理栄養士など16種の国家資格のいずれかを有すること(または学会評議員で医師・歯科医師以外の者)、③受験年度の3年前の年度から前年度に開催された骨粗鬆症マネージャーレクチャーコースを1回以上受講していること、④過去3年以内(受験年度も含む)に日本骨粗鬆症学会学術集会に1回以上参加していること。
これが原則です。
特に見落とされやすいのが③と④の「期間の条件」です。レクチャーコースは毎年2回開催されていますが、受験年度から見て「3年度前〜前年度」の開催回に限って申請に使えます。たとえば2026年度の試験を受けるなら、対象となるレクチャーコースは公式サイトで第20回〜第26回と案内されており、これより古い回の修了証は対象外となります。
| 要件 | 内容 | よくある落とし穴 |
|---|---|---|
| ①学会会員 | 日本骨粗鬆症学会の会員であること+年会費完納 | 入会手続きのタイミングが遅れると申請期間に間に合わない |
| ②国家資格 | 16種の医療系国家資格のいずれかを保有 | 歯科医師・医師は対象外(別途認定医制度あり) |
| ③レクチャーコース | 受験年度の3年度前〜前年度開催分を1回以上受講 | 古い回の修了証しか持っていない場合は対象外 |
| ④学術集会参加 | 受験年度を含む過去3年以内に1回以上参加 | 参加証を紛失していると証明できない |
審査料(5,000円)は一旦納付したら理由を問わず返金されません。要件確認が最初の必須ステップです。
申請期間は例年8月〜9月上旬に設定されています。2025年度実績では、2025年8月6日(水)〜9月5日(金)が申請受付期間でした。この期間を1日でも過ぎると当年度の申請はできないため、スケジュール管理が重要です。
参考:受験要件の詳細は日本骨粗鬆症学会公式サイトで最新版を確認してください。
日本骨粗鬆症学会 骨粗鬆症マネージャー認定申請・試験ページ(申請要項・書類ダウンロード)
受験にかかる費用は3段階に分かれています。申請時に支払う「審査料:5,000円」、合格後に支払う「認定登録料:15,000円」、5年後の更新時に支払う「認定更新料:15,000円」です。取得から初回更新まで総額35,000円の費用が発生することを、最初から把握しておくと院内相談もスムーズになります。
費用の内訳はシンプルです。
| 区分 | 金額 | 支払いタイミング |
|---|---|---|
| 審査料 | 5,000円 | 申請時(返金不可) |
| 認定登録料 | 15,000円 | 合格通知後 |
| 認定更新料 | 15,000円 | 5年後の更新時 |
| 学会年会費 | 別途必要 | 年次(申請前に完納が条件) |
試験形式はマークシートで、五択の単純択一形式(もっとも適切な選択肢を1つ選ぶ方式)です。一般問題45問と臨床問題10問の計55問、試験時間は90分。記述問題は一切なく、選択式のみである点が重要なポイントです。
出題範囲は、①骨粗鬆症マネージャーレクチャーコースの講義内容、②骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン、③FLSクリニカルスタンダードと「継続的な二次性骨折予防に係る評価」の診療報酬新設について、の3つから構成されています。試験対策は「広く浅く」より「出題ソースを絞って深く」が有効です。
試験は例年11月(2025年度は11月2日実施)に行われており、会場での受験となります。2025年度は東京の専修大学神田キャンパスで実施されました。試験時間は13:00〜で、12:30までに受付を済ませる必要があります。なお、試験日や会場は年度ごとに変わるため、受験票が届いた時点で必ず最新情報を確認してください。
出題範囲を理解するうえで欠かせないのが「OLS(骨粗鬆症リエゾンサービス)」と「FLS(骨折リエゾンサービス)」の概念です。意外なことに、両者は似ているようで役割が異なります。
FLSは主に脆弱性骨折後の患者を対象にした「二次骨折予防」の仕組みです。一方、OLSはFLSの活動に加えて地域における「一次骨折予防」も含む、より広い概念として定義されています。骨粗鬆症マネージャーはOLS活動のコーディネーターとして位置づけられており、この違いが試験でも問われます。
つまりOLSの方が守備範囲が広いです。
| 概念 | 対象 | 主な活動 |
|---|---|---|
| FLS(骨折リエゾンサービス) | 脆弱性骨折後の患者 | 二次骨折予防・骨粗鬆症治療開始・継続率向上 |
| OLS(骨粗鬆症リエゾンサービス) | 骨折患者+地域住民 | FLSの活動+地域での一次骨折予防まで包含 |
診療報酬との関連も出題に含まれます。2022年4月の診療報酬改定で新設された「二次性骨折予防継続管理料」は、骨粗鬆症マネージャー試験の出題範囲として明示されています。管理料は3種類あり、急性期病院(管理料1:1,000点)・回復期・地域包括ケア病棟(管理料2:750点)・外来(管理料3:500点)という分類で算定できる場所が異なります。
このような診療報酬の仕組みを理解しておくことは、試験対策だけでなく現場のOLS活動の底上げにも直結します。これは使えそうです。
ガイドラインについては「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」が出題の根拠資料として指定されています。骨密度評価(DXA)、椎体骨折の評価、薬物治療のエビデンスレベル、転倒リスク評価、サルコペニア・ロコモティブシンドロームとの関連など、幅広い領域が対象です。
日本骨粗鬆症学会 二次性骨折予防継続管理料ページ(算定要件・施設基準・疑義解釈まとめ)
学習の進め方として最も効率的なのは、まず見本問題で「どの粒度で問われるか」を把握することです。テキストを最初から通読する方法は、重要度の差がつかないまま暗記に終わりやすく、臨床問題への対応力が育ちにくいというデメリットがあります。
日本骨粗鬆症学会のウェブサイトでは、認定試験の見本問題として5問が会員・非会員ともに公開されており、さらに学会員なら58問の練習問題すべてにアクセスできます。この練習問題は試験と同等レベルで設計されているため、試験対策の中核として活用するのが合理的です。
学習順の基本は「総論 → 診断・評価 → 薬物治療 → 転倒予防 → OLS・FLS・診療報酬」という流れで進めると体系が崩れにくくなります。総論では骨密度の定義・骨折リスク・疫学データを整理し、診断・評価ではDXAやYAM(若年成人平均値)の基準値、骨代謝マーカーの意味を押さえます。薬物治療では各薬剤の作用機序と骨折予防エビデンスを整理しておくことが重要です。
| 学習フェーズ | やること | ポイント |
|---|---|---|
| ①出題像の確認 | 見本問題5問を解く | 正誤より「問われ方の型」をつかむ |
| ②体系理解 | 総論→診断→治療→転倒→OLS/FLSの順で学習 | 教材をガイドラインとレクチャー資料に絞る |
| ③実戦演習 | 練習問題58問(会員限定)を繰り返す | 一般問題と臨床問題を交互に解いて判断力を養う |
| ④弱点補強 | ミスした問題の解説をガイドラインで照合 | 「説明できる形」で再確認する |
臨床問題は、実際のOLS場面を想定したシナリオ型です。「骨折患者の入院時に何を評価するか」「退院後のフォローアップ体制としてどう動くか」といった現場判断が問われます。知識の暗記だけで解こうとすると詰まりやすい部分です。
日頃の臨床業務と結びつけて学ぶ方法が有効です。担当患者を題材に、ガイドラインや参考書で症例検討する習慣が一番定着しやすいとも言われています。仕事と勉強の境界を曖昧にするくらいの感覚が、忙しい医療従事者にとっては実践しやすいアプローチです。
日本骨粗鬆症学会 骨粗鬆症マネージャー制度トップページ(制度概要・レクチャーコース・練習問題へのリンクあり)
認定を取得した後に意外と見落とされやすいのが「更新の管理」です。更新は5年ごとに必要で、認定期間終了の3月末までに申請しなければなりません。更新を失念した場合でも、次年度の申請期間中に限り申請が認められますが、その間は「骨粗鬆症マネージャー」の名称を使用できない「資格停止期間」となります。
これは厳しいところですね。
更新に必要な要件は4つです。①前回認定から更新申請時点まで継続して学会会員かつ会費完納、②前回認定から更新申請時点までに日本骨粗鬆症学会学術集会に1回以上参加、③骨粗鬆症マネージャーとしての活動記録(800字程度)の提出、④研修単位50単位以上の取得。
研修単位の内訳は次の通りです。
5年間で50単位というのは、学術集会に毎年参加すれば10単位×5回=50単位に達する計算です。ただし、学術集会の参加証を紛失した場合、学会事務局にメールで問い合わせることで照合確認番号を発行してもらえます。参加証を紛失しても即座に失効にはなりませんが、紛失に気づくのが更新直前では焦ります。参加のたびに専用フォルダへ保存するなど、ペーパーレスで管理する習慣がおすすめです。
また、研修単位が不足している場合も、1年間の猶予期間内に単位を補充することで更新が認められる救済制度があります。ただしこの間も資格停止扱いとなるため、取得後から計画的に単位を積み上げる方が得策です。
| 更新要件 | 詳細 | 注意点 |
|---|---|---|
| 学会会員継続 | 5年間継続して会費完納 | 未払いが1年でもあると要件未達 |
| 学術集会参加 | 5年間に1回以上 | 参加証の保管が必須 |
| 活動記録提出 | 800字程度の活動報告 | 日頃の活動を記録しておかないと書けない |
| 研修単位50単位 | 認定期間中に取得 | 最終年にまとめて取ろうとすると間に合わない可能性あり |
5年間で50単位が条件です。
日本骨粗鬆症学会 骨粗鬆症マネージャー認定更新申請ページ(更新要件・申請フロー・救済制度の詳細)
骨粗鬆症マネージャーの価値は、試験合格・資格取得そのものよりも「現場でのOLS活動を型として回せるようになること」にあります。これは、他の多くの医療系資格とは少し異なる点です。
2024年4月時点の認定者数は4,483名で、職種内訳は看護師が最多ですが、理学療法士・薬剤師・診療放射線技師・管理栄養士・作業療法士など多職種が取得しています。薬剤師は全体の約16%(約552名・2022年時点)を占めており、病院薬剤師だけでなく保険薬局薬剤師も含まれます。
多職種が持つ意味は大きいです。
骨粗鬆症治療は「薬を処方して終わり」ではなく、「転倒リスク評価 → 転倒予防指導 → 服薬継続支援 → 外来フォローアップ」という継続的な介入が必要です。骨粗鬆症マネージャーは、このフローを院内外でコーディネートする役割を担います。
職種ごとの現場での強みは下記のとおりです。
骨粗鬆症マネージャー資格を持つことで、院内での多職種連携の中に「専門的なコーディネーター」として加わりやすくなります。二次性骨折予防継続管理料の施設基準には「骨粗鬆症の診療を担当する医師・看護師・薬剤師が適切に配置されていること」が必要であり、資格保有者がいることで施設の届出要件を充足しやすくなるケースも実際にあります。
日頃の業務に直結する資格であること、これが骨粗鬆症マネージャーの最大の特徴です。試験対策を進めながら、自分の職種でどう活かすかをイメージしておくと、学習の定着率も高まります。
m3.com 薬剤師の資格「骨粗鬆症マネージャー」取得体験記(取得のきっかけ・勉強法・試験の心構えなどリアルな体験談)