非麻薬性の鎮咳薬なのに、コデインより強い鎮咳力を持つことがあります。carenet+1
クロペラスチン塩酸塩は、咳中枢に直接作用して鎮咳効果を発揮します。 求心路(感覚神経)にも遠心路(運動神経)にも作用せず、中枢のみに選択的に働くのが特徴です。 これはコデインとは作用機序の面で明確に異なります。kegg+2
気管支弛緩作用と緩やかな抗ヒスタミン作用(H₁受容体に対してKi=3.8 nM)を併せ持つことが確認されています。 さらに、シグマ-1受容体のリガンド(Ki=20 nM)としても機能するとされており、その多面的な薬理活性が近年注目されています。 つまり、鎮咳薬ながら複数の受容体を介した作用を持つということですね。
鎮咳作用の強さについては、モルモットを用いた実験でコデインリン酸塩よりも強力であることが報告されています。 イヌの実験ではコデインよりやや弱い結果でしたが、全体としてコデインと同等以上の効果を期待できる成分です。 非麻薬性でありながらこの強度を持つ点が、フスタゾール(クロペラスチン塩酸塩)が長く使われてきた理由の一つです。hokuto+1
化学的には吸湿性のある白色結晶または結晶性粉末で、融点は148〜152℃。 水・エタノール・メタノール・酢酸に極めて溶けやすい性質を持ちます。 保管環境(湿度)には注意が必要です。
参考:フスタゾール糖衣錠の薬効・薬理情報(ケアネット医薬品データベース)
https://www.carenet.com/drugs/category/antitussives-and-expectorants/2229004F1030
クロペラスチン塩酸塩は、感冒・急性気管支炎・慢性気管支炎・気管支拡張症・肺結核・肺癌に伴う咳嗽が主な適応です。 適応範囲は乾いた咳(乾性咳嗽)だけでなく、これらの基礎疾患に伴う幅広い咳嗽症状をカバーします。
参考)https://clinicalsup.jp/jpoc/drugdetails.aspx?code=57245
成人の用量は1日30〜60mg(クロペラスチン塩酸塩として)を3回に分割経口投与です。 小児では年齢ごとに厳密な上限が設けられており、2歳未満は1日7.5mg、2歳以上4歳未満は7.5〜15mg、4歳以上7歳未満は15〜30mgとなります。 これは成人の最大用量(60mg)と比べ、2歳未満では8分の1以下というイメージです。carenet+1
剤形としては糖衣錠(10mg)・散剤(10%)・小児用錠(2.5mg)・シロップ剤が存在します。 小児用錠2.5mgには有効成分としてクロペラスチンフェンジゾ酸塩4.4mgが使用されており、これは塩酸塩2.5mg相当に換算されます。 塩の違いによる換算を間違えると過量投与につながるため注意が必要です。
参考)https://zensei-med.jp/uploadfiles/products/interview_HUSC.pdf
フェンジゾ酸塩のシロップ剤は塩酸塩よりも吸収がやや遅く、投与後6時間で約90%が吸収されます。 塩酸塩(経口)では投与後4時間で約85%が吸収されるというデータがあります。 剤形・塩の種類が吸収動態に影響する点は、臨床での投与タイミングを検討する上で重要です。
参考)https://www.ps.toyaku.ac.jp/~kosugi/zemi2011/iform/Cloperastine_Hydrochloride.pdf
参考:フスタゾール散10%の用法・用量詳細(ケアネット医薬品データベース)
フスタゾール散10%の効能・副作用|ケアネット医療用医薬品検…
一般的な副作用として報告されているのは、眠気・悪心・食欲不振・口渇です。 いずれも頻度は不明ですが、重篤な副作用の報告は現時点で確認されていません。 副作用リスクは比較的低い薬剤といえますね。rad-ar+1
ただし、眠気には注意が必要です。 日常生活に支障が出るほどの強い眠気やふらつきがある場合は、担当医師や薬剤師への相談が推奨されます。 運転業務に就く患者さんへ処方する際は、眠気のリスクについて説明しておくことが望まれます。
参考)咳止め薬「フスタゾール」の効果と副作用、飲み合わせを解説
毒性の面では、クロペラスチン塩酸塩の毒性がジフェンヒドラミン(抗ヒスタミン薬)の約半分であることが動物実験で示されています。 これは比較的安全な成分プロファイルを示しており、他の鎮咳薬と差別化できるポイントです。 とはいえ、安全性の高さが過信につながらないよう注意は必要です。zensei-med+1
血圧への影響も報告されており、クロペラスチン塩酸塩1mg/kgを静脈内注射した動物実験では約50mmHgの血圧降下が認められています。 臨床的な経口投与での影響は限定的と考えられますが、循環器系疾患を持つ患者への処方では念頭に置いておくべき情報です。
参考:フスタゾールの副作用・安全性情報(くすりのしおり)
https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=52315
最も注意すべき相互作用は、バルビツール系などの催眠薬との併用です。 クロペラスチン塩酸塩はヘキソバルビタールナトリウムによる催眠作用を増強させる傾向が動物実験で確認されています。 これが原因で過度の鎮静が起きるリスクがあります。toyaku.ac+1
単独投与(腹腔内注射)では催眠作用はみられないとされているため、催眠薬と「組み合わせた場合」にリスクが生じる点が特徴です。 意外ですね。 患者の持参薬や他院処方薬を確認する習慣が特に重要になります。
臨床現場では、睡眠薬や抗不安薬を並行して処方されている患者に鎮咳薬を追加するケースは珍しくありません。 その際に「非麻薬性鎮咳薬だから問題ない」と安易に考えず、催眠作用増強のリスクを確認するのが安全な処方管理の原則です。 相互作用は「麻薬性かどうか」とは無関係に起きる点が条件です。kusurinomadoguchi+2
その他の飲み合わせに関して、現時点では重大な相互作用の報告は少ないものの、抗ヒスタミン作用を持つため同系統の薬剤との重複投与には注意が必要です。 たとえばアレルギー疾患で抗ヒスタミン薬を処方されている患者への追加投与では、眠気や抗コリン作用の相加的増強を考慮するのが原則です。 処方時は必ず他の内服薬リストと照合してください。
参考:クロペラスチン塩酸塩 医薬品インタビューフォーム(東京薬科大学)
https://www.ps.toyaku.ac.jp/~kosugi/zemi2011/iform/Cloperastine_Hydrochloride.pdf
中枢性鎮咳薬は大きく「麻薬性」と「非麻薬性」に分類されます。 コデインは麻薬性鎮咳成分であり、体内で一部がモルヒネに代謝されるため長期投与による依存性が懸念されます。 クロペラスチン塩酸塩はこの点で非麻薬性の代表格として位置づけられています。cheer-job+1
鎮咳効果の強さを比較すると、クロペラスチン塩酸塩はモルモットの試験でコデインリン酸塩より強力という結果がある一方、イヌの試験ではやや弱いという結果も出ています。 動物種によって結果が異なるため、一概に「コデインより強い」とは言い切れません。 結論は「概ねコデインと同等~やや上回る水準」です。carenet+1
| 比較項目 | クロペラスチン塩酸塩 | コデインリン酸塩 |
|---|---|---|
| 分類 | 非麻薬性 | |
| 依存性リスク | 低い | あり(長期使用で注意) |
| 鎮咳強度 |
コデインと同等〜やや上 |
基準薬 |
| 呼吸抑制 | 記載なし |
気管支喘息発作中は禁忌 |
| 気管支弛緩作用 | なし | |
| 小児使用 |
可(年齢別用量あり) |
12歳未満への使用に制限 |
デキストロメトルファン(DM)と比較した場合、鎮咳効果の強さは概ね同等とされています。 ただしクロペラスチン塩酸塩は気管支弛緩作用を持つため、閉塞性の要素がある咳嗽では有利な場面があります。 これは使えそうです。h-ohp+1
慢性気管支炎や気管支拡張症のような、反復・長期的な咳嗽管理が必要な状況では、依存性リスクの低いクロペラスチン塩酸塩が積極的な選択肢になります。 乾いた咳(乾性咳嗽)に対して主に用いられますが、適応疾患の病態によって選択薬を再評価することが原則です。 「非麻薬性だから長期投与も安心」と決め込まず、症状の変化に応じて鎮咳薬の種類を見直す姿勢が重要です。clinicalsup+1
参考:鎮咳薬の使い分け・麻薬性と非麻薬性の比較解説(hokuto.app)
【鎮咳薬】麻薬vs非麻薬、 どれが効果強い?日常診療で使える…