リフヌア(一般名:ゲーファピキサント)は、難治性の慢性咳嗽に用いられる選択的P2X3受容体拮抗薬です。
まず押さえるべきは、「眠気」は検索ニーズとして非常に多い一方で、電子添文で“頻度付きに整理された主な副作用”の中心は味覚関連(味覚不全・味覚消失・味覚減退・味覚障害)である点です。
杏林製薬FAQに掲載された「その他の副作用」では、5%以上として悪心・口内乾燥・味覚不全(40.4%)が挙げられ、5%未満として浮動性めまい等が記載されています。
またインタビューフォームでも、報告されている副作用として味覚不全(40.4%)、味覚消失・味覚減退・味覚障害、悪心、口内乾燥などが列挙され、味覚関連の副作用は63.1%で投与開始後9日以内に多く、軽度~中等度で投与中または中止で改善する傾向、さらに曝露量依存性が示されています。
では「眠気」はどう扱うべきでしょうか。
結論から言うと、リフヌアは鎮咳薬の中でも中枢抑制(眠気)を“前提にして設計された薬”ではなく、患者が訴える眠気は「薬剤性の可能性」と同時に「背景因子(感染、睡眠障害、低酸素、併用薬、腎機能など)」を必ず並行評価した方が安全です。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/8e6b47dc678702f2a4f5945a2ea8636dec2668da
特に慢性咳嗽患者は、夜間の咳で睡眠が分断されやすく、日中の眠気が治療前から存在することも珍しくありません(患者向け資材でも“夜眠れない”など生活影響が示されます)。
参考)https://www.kyorin-pharm.co.jp/prodinfo/manual/lyfnua_setumeisizai_icly0001.pdf
医療現場で実際に困るのは、「服用開始後に眠くなった=薬の副作用」と短絡され、原因の見落としが起きるパターンです。
鑑別の優先度は、患者安全と頻度の観点から次の順で考えると整理しやすいです。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/9617b489526f7dedc7ae63989b9904de9a45a9fe
参考)リフヌア
ここで「意外に見落とされがち」なのが、眠気の背景に“低酸素や睡眠時無呼吸が潜んでいる”ケースです。
リフヌアは慢性咳嗽の対処療法であり、原因疾患の見落としや不十分治療を避けるべき、という位置づけがインタビューフォームに明記されています。
したがって眠気を訴えたタイミングこそ、「咳が減ったのに眠い」のか、「咳は続いて睡眠が崩れて眠い」のか、「SpO2や呼吸状態が悪くなって眠い」のかを、問診とバイタルで切り分ける価値があります。
添付文書で“眠気が頻発する”と明示されていない薬でも、患者が眠気を自覚したときの事故リスクは現実に存在します。
医療従事者としては、断定ではなく「安全側に倒した説明」が実務的です。
一方で、リフヌアで患者が困りやすいのは眠気よりも味覚関連で、ここを丁寧に説明しておくと、患者の不安が整理され「眠気も含めて何かあれば相談しよう」という行動につながりやすいです。
味覚不全は主に苦味・金属味・塩味として報告されることがある、味覚関連の副作用は投与開始後9日以内に多い、投与中または中止で改善する傾向、という“経過の見通し”は患者指導に使えます。
参考:リフヌアの副作用一覧(電子添文ベース、味覚関連の頻度・発現時期の要点)
https://www.kyorin-pharm.co.jp/prodinfo/faq/details/002908/
眠気の相談で受診した患者でも、実際には味覚障害や口腔乾燥、悪心が生活の質を大きく下げていることがあります。
特に味覚関連は発現割合が高く、治療継続の可否に直結しやすい副作用です。
臨床での確認ポイントはシンプルにしておくと回しやすいです。
また、インタビューフォームでは味覚関連副作用が曝露量依存的に増える傾向が示されており、腎機能低下で曝露が上がりうる点は“意外に効いてくる臨床の勘所”です。
重度腎機能障害(eGFR 30未満、透析不要)では45mg 1日1回投与へ調整する、という具体的な指示があるため、眠気やふらつきなど非特異的症状が出たときにも腎機能確認を同時に組み込むと説明と判断がブレにくくなります。
検索上位の多くは「副作用の羅列」になりがちですが、医療者が押さえておくと差がつくのは“眠気の意味づけ”です。
慢性咳嗽の患者では、リフヌアで咳が軽くなることで睡眠が改善し、これまでの睡眠負債が表面化して「いつもより眠い(むしろ眠れる)」と表現されることがあります(副作用の眠気と混同されやすい)。
この場合は、日中の活動性が戻っているか、睡眠時間が適正化しているか、起床時の爽快感が出ているか、といった“睡眠の質”の問診が役立ちます。
逆に注意すべきは、咳が落ち着いたのに日中の眠気が悪化する、あるいは息切れや起床時頭痛などが出てくるパターンで、OSAや呼吸状態の問題が隠れていないかを疑う導線になります。
医療関係者向け情報では、OSA患者を対象とした海外試験で酸素飽和度指標に変化が観察された一方、AHIは差がなく相関は不明とされており、臨床では「断定しないが、見逃さない」姿勢が現実的です。
この“逆転現象(治療で眠れるようになった結果としての眠気)”を言語化しておくと、患者説明では次のように整理できます。
参考:リフヌアのインタビューフォーム(適正使用、腎機能、味覚関連副作用の発現時期などの根拠)
https://www.kyorin-pharm.co.jp/prodinfo/medicine/pdf/i_lyfnua.pdf