酸素飽和度が低い時の対処法と原因

酸素飽和度(SpO2)が低下した時、医療従事者はどのように対応すべきでしょうか?パルスオキシメータの正しい測定方法から緊急時の具体的な対処法、低下の原因となる疾患まで、臨床現場で必要な知識を総合的に解説します。適切な観察とアセスメントにより、患者の安全を守るための実践的な対応方法を学びませんか?

酸素飽和度が低い時の対処法

酸素飽和度低下時の対応ポイント
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測定の確認

パルスオキシメータの装着位置や測定部位の状態を確認し、正確な値かどうかを判断する

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患者観察

意識レベル、呼吸状態、チアノーゼの有無など全身状態を迅速にアセスメントする

緊急対応

90%以下の場合は呼吸不全と判断し、酸素投与や医師への報告など速やかに対処する

酸素飽和度の正常値と測定方法

 

 

酸素飽和度(SpO2)の正常値は96~99%とされており、血液中のヘモグロビンに結合している酸素の割合を示す重要な指標です。パルスオキシメータを使用して、指先に光を当てることで非侵襲的に測定することができます。kango.mynavi+3
測定を正確に行うためには、まず測定部位の状態を確認することが重要です。末梢冷感がある場合は血液量が減少しており、正しく測定できないことがあるため、加温やマッサージを行ってから再測定する必要があります。また、マニキュアや付け爪、ジェルネイルなどが装着されている場合や、指が汚れている場合も誤差が生じる可能性があります。jeita+2
測定時は患者を安静にさせ、センサーが動脈の拍動を感知するまで待ちます。機械に表示される脈波が安定してはっきりと表示されていれば、正しく測定できている状態です。測定部位は手指が一般的ですが、末梢循環不全がある場合は耳朶や前額部での測定も検討します。kamimutsukawa+1

酸素飽和度が低下した際の初期対応

SpO2が低下した時、まず患者の様子を観察することが最優先です。意識レベルが低下している、または呼吸停止といった状態の場合は緊急の対応が必要であり、すぐにBLSやACLSによる蘇生を行います。knowledge.nurse-senka
患者に呼吸苦の様子が見られない場合は、パルスオキシメータが正しく装着されていたか確認し、測定部位での一時的な循環不全がなかったかを検討します。測定部位の加温やマッサージを行ったうえで再度測定しても、SpO2が改善しない場合は主治医に報告する必要があります。kango.mynavi
SpO2が90%を下回る時は呼吸不全と考え、速やかにかかりつけ医に報告または受診をする必要があります。90%以下になると急激に酸素化が悪くなり、意識障害や昏睡状態に至る危険性があるため、早急な対応が求められます。患者が苦しそうにしている場合は、意識レベルや呼吸状態を迅速に確認することがポイントです。jrs+3

酸素飽和度低下時の具体的な対処法

酸素投与を行っている患者の場合は、まず酸素吸入器のトラブルの可能性を考えます。酸素流量を調節するなどの処置を行って再度SpO2を測定し、改善がみられるかを確認します。kango.mynavi
酸素療法では、酸素毒性をもたらさずにPaO2を60~80mmHg(飽和度92~100%)に保つため、動脈血ガスまたはパルスオキシメトリーの測定値を参考にしながら酸素投与量を調節します。許容可能なPaO2を維持できる最低の吸入気酸素濃度(FIO2)を用いるべきで、60%を超えるFIO2は患者の生存に必要でない限り避けるべきです。msdmanuals
体位変換も酸素化改善に有効な手段です。鎮静下の患者では、側臥位が仰臥位と比較して低酸素血症の発生率を有意に低下させることが報告されています。また、腹臥位療法は仰臥位によって生じた下側肺の虚脱に対するリクルートメント効果によってシャント率を低減させ、酸素化を改善させる効果があります。carenet+1
呼吸リハビリテーションとして口すぼめ呼吸を指導することも重要です。口をすぼめて息を吐くことで気道内に陽圧がかかり、狭くなった気道が塞がるのを防ぐことができます。鼻から2秒かけて息を吸い込み、口を笛を吹くようにすぼめて4~6秒かけてゆっくりと息を吐き出す方法を繰り返します。kobe-kishida-clinic+1

酸素飽和度低下の主な原因疾患

酸素飽和度が低下する原因は、換気障害と酸素化障害の2つに分類されます。換気障害には、意識レベルの低下による換気ドライブの低下、気管支攣縮や気管内チューブの位置異常などの気道閉塞、肋骨骨折や手術後の疼痛などが含まれます。msdmanuals+1
酸素化障害の肺性原因としては、急性呼吸窮迫症候群、無気肺、肺炎、気胸、肺塞栓、肺挫傷、誤嚥性肺炎などがあります。非肺性原因としては、医原性の体液過剰や心不全の増悪、急性心筋梗塞などが挙げられます。msdmanuals
慢性呼吸器疾患では、COPD(慢性閉塞性肺疾患)や間質性肺炎などで肺の組織が壊れたり硬くなったりすることで酸素を取り込む能力が低下します。特に坂道を上ったり、入浴したりといった労作時に酸素飽和度が下がりやすくなり、病状が進行すると安静時でも低い値を示すようになります。kobe-kishida-clinic
肺炎では、炎症により肺胞での酸素交換が障害され、痰の貯留によってもSpO2が低下することがあります。喘息では気道の狭窄により換気が障害され、発作時には著しい酸素飽和度の低下を認めます。kango-oshigoto+1

酸素飽和度低下時の観察とアセスメント

酸素不足のサインは息苦しさだけではありません。唇や指先が紫色になるチアノーゼ、頭痛、判断力の低下、強い眠気なども体が酸素不足に陥っている危険なサインです。これらの症状が見られた場合は特に注意が必要です。kobe-kishida-clinic
アセスメントでは、まず患者の意識レベルと呼吸状態を確認します。意識レベルが低下し呼吸停止状態である場合は医師に報告し、挿管や人工呼吸管理の準備などの指示を仰ぐ必要があります。knowledge.nurse-senka+1
低換気の場合は、まず気道を確保し、バックバルブマスクを使い用手的人工呼吸で換気をします。呼吸回数、呼吸の深さ、呼吸パターン、胸郭の動きなどを総合的に観察し、原因を特定していくことが重要です。knowledge.nurse-senka
動脈血液ガス分析を実施することで、より詳細な酸素化状態と酸塩基平衡の評価が可能になります。PaO2、PaCO2、pHなどの値から、呼吸不全のタイプや重症度を判断することができます。msdmanuals
血中酸素飽和度が正常でも息苦しさが強い場合や、貧血の人ではもともとヘモグロビンが少ないため数値が正常でも血中の酸素が少ないこともあるため、血中酸素飽和度と症状の両方をみて判断することが大切です。kamimutsukawa

酸素飽和度を安定させるための生活指導

医師から指示された流量と時間できちんと酸素療法を続けることが最も基本で重要です。自己判断で酸素を止めたり流量を変えたりすることは病状を悪化させる原因になるため、必ず指示を守るよう患者に説明します。kobe-kishida-clinic
呼吸リハビリテーションとして、口すぼめ呼吸や腹式呼吸などの呼吸法を習得することで呼吸の効率を高め、息切れを軽減することができます。理学療法士などの専門家の指導のもと、日常生活に取り入れることが推奨されます。kobe-kishida-clinic
栄養バランスの良い食事を心がけ、体力を維持することも大切です。呼吸をするだけでも多くのエネルギーを消費するため、十分な栄養摂取が必要です。また、水分が不足すると痰が硬くなり出しにくくなるため、こまめな水分補給も重要です。kobe-kishida-clinic
感染症予防も重要な要素です。風邪やインフルエンザ、肺炎などの感染症は呼吸器疾患を悪化させる大きな原因となるため、手洗いやうがい、人混みを避ける、予防接種を受けるなどの対策を徹底するよう指導します。マスクの着用や適切な環境管理により、感染リスクを最小限に抑えることができます。kobe-kishida-clinic
日本呼吸器学会によるパルスオキシメータの使用方法と酸素飽和度の評価基準について、詳細なガイドラインが提供されています
MSDマニュアルの酸素飽和度低下に関する項目では、重症患者へのアプローチとして酸素療法の具体的な管理方法が解説されています

 

 




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