先発品を希望した患者の自己負担が、後発品との差額分だけ増えるのをご存知ですか?
テルビナフィンの先発品である「ラミシール」(サンファーマ)は、1993年7月にアリルアミン系抗真菌薬として国内で初めて承認された歴史ある薬剤です。 錠剤(125mg)と外用クリーム・外用液の剤形があり、それぞれ用途が異なります。
薬価について整理しておきましょう。
ラミシール錠125mgの薬価は60.3円/錠(銘柄指定なし版は58.4円)です。 これに対して後発品(ジェネリック)は33.6円/錠のものが多く、外用クリームは先発品のラミシールクリーム1%が18.5円/gに対し、後発品は9.5〜13円/g程度です。 つまり、錠剤の場合、1日1回・6ヵ月(180日)投与した場合の薬剤費だけで計算すると、先発品では約10,854円、後発品は約6,048円となり、差額は約4,800円にのぼります。med.sawai+2
これは条件が整う場合の試算です。
外用製剤でも同様で、クリームの場合は1gあたり約9円の差があります。 皮膚科・内科の日常診療で処方頻度が高いテルビナフィンでは、この薬価差の把握が患者の経済的負担に直結します。
| 剤形 | 先発品(ラミシール)薬価 | 後発品薬価(例) |
|---|---|---|
| 錠剤125mg | 60.3円/錠 | 33.6円/錠(沢井製薬など) |
| 外用クリーム1% | 18.5円/g | 9.5円/g(沢井製薬) |
| 外用液1% | 18.5円/g | 4.8〜9.2円/g |
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2024年10月から、後発医薬品がある先発品を患者が希望して使用する場合、先発品と後発品の差額分が「選定療養費」として全額患者自己負担になりました。 つまり、患者さんが「ラミシールがいい」と希望した場合、保険の窓口負担(1〜3割)とは別に、差額分を100%自分で払う必要があります。
参考)後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について|…
差額が全額自己負担になる、という点がポイントです。
従来は「先発品を処方しても自己負担はあくまで1〜3割」という認識が医療現場でも広まっていました。しかし、この制度変更以降、処方する側が患者に正確な説明をしないと、窓口でトラブルになりうるケースがあります。 医療従事者として、患者に「先発品を選んだ場合の自己負担の増え方」を事前に伝える説明プロセスが重要になりました。
患者説明がそのままクレーム防止になります。
なお、医療上の必要性があると医師が判断して先発品を処方する場合は、選定療養の対象外となります。 たとえばアレルギーや副作用歴がある場合は「医師が必要と判断した」記録を残すことが、後日のトラブル回避につながります。
「ジェネリックだから効きが違う」という患者さんの声を聞いたことはないでしょうか。
後発品が市場に出るためには、先発品と血中濃度推移が同等であることを示す「生物学的同等性試験」をクリアする必要があります。 この試験では、健康成人を対象に先発品と後発品の薬物動態(バイオアベイラビリティ)が同等と確認されています。
参考)後発(ジェネリック)医薬品は先発品と効果が違う?〜その原因な…
つまり、有効成分と用量が同一なら効果は同等が原則です。
ただし、皮膚への浸透性や感触に関わる「添加物・基剤」が先発品と後発品で異なる場合があります。 外用製剤では基剤の違いが使用感や塗り広げやすさに影響することがあり、患者の継続性(アドヒアランス)に関わることも。添加物の違いがアレルギーにつながる可能性もゼロではないため、変更時は一度確認しておくと安心です。
数字の上では同等ですが、現場では個体差が出ることもあります。
また、先発品から後発品、あるいは後発品どうしの切り替えでも「効果が変わった気がする」という訴えは起こり得ますが、これは先発品どうしの切り替えでも同様に起こり得る現象です。 ジェネリック固有の問題ではないと理解しておくことが、患者への適切な説明につながります。
テルビナフィン内服(ラミシール錠)の重大な副作用として、肝機能障害・黄疸・中毒性表皮壊死融解症(TEN)・Stevens-Johnson症候群などがあります。 これらは頻度が低いものの、重篤化すると生命に関わるため、投与前・投与中の定期的な肝機能検査が不可欠です。
参考)https://vet.cygni.co.jp/include_html/drug_pdf/kouseibussitu/JY-12037.pdf
肝機能モニタリングが必須です。
投与期間は爪白癬の場合、通常6ヵ月(24週間)の連続投与が標準です。 ただし、9ヵ月で治癒率73.9%、12ヵ月で92.0%、18ヵ月で96.8%という臨床データもあり、重症例では長期投与が必要になることがあります。 「6ヵ月飲んだのに治らない」という患者が来た場合でも、延長投与の根拠として示せるデータです。sugamo-sengoku-hifu+1
これは使えそうです。
そのほかに比較的よく見られる副作用として、以下が知られています。
参考)https://med.daiichisankyo-ep.co.jp/products/files/1105/EPTER1L00901-1.pdf
特に「味覚障害」は、患者さんが気づかず放置するケースがある副作用です。投与開始時に「食べ物の味がいつもと違う感じがしたらすぐ連絡を」と一言伝えるだけで、早期発見につながります。
患者への一言が大きな差を生みます。
「水虫にテルビナフィン内服を出していいのか?」という疑問を持ったことはないでしょうか。
実は、テルビナフィン錠(先発品:ラミシール錠)の内服適応は、外用抗真菌剤では治療困難な場合に限定されています。 具体的には以下の条件を満たす場合に内服が適用となります。
参考)https://vet.cygni.co.jp/include_html/drug_pdf/kouseibussitu/EK24534.pdf
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つまり、ありふれた趾間型足白癬(指の間のただの水虫)には、原則として内服の適応がありません。
外来で見落としがちなポイントです。
先発品・後発品にかかわらず、テルビナフィン錠を処方する際は「外用で治療困難」という前提条件の確認が必要です。 レセプト審査でも「外用での治療経過」が問われることがあるため、カルテに記録を残す習慣を持っておくことが重要です。外用剤で効果不十分だった経過を記録しておくだけで、査定リスクを大幅に減らせます。
爪白癬に対するテルビナフィンの作用機序と臨床エビデンスについては、以下の医学文献も参考になります。
爪白癬長期投与データ(治癒率92%など)の詳細が記載されています。
医書.jp:テルビナフィン塩酸塩125mg/日の長期投与成績(爪白癬390例)
ラミシール錠の副作用・添付文書の完全情報はこちら(ケアネット)。
ケアネット:ラミシール錠125mgの効能・副作用・薬価情報
後発医薬品との選定療養差額制度の正式な通知・対象品目一覧は厚生労働省のページで確認できます。
厚生労働省:後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について