アルダクトンの最も重篤な副作用として電解質異常が挙げられます。主要な電解質異常には高カリウム血症、低ナトリウム血症、代謝性アシドーシスがあります。
高カリウム血症では以下の症状が現れます。
低ナトリウム血症による症状。
電解質異常の発生頻度は不明とされていますが、腎機能低下患者や高齢者では特に注意が必要です。定期的な血清電解質測定により早期発見・対応が可能となります。
スピロノラクトンはステロイド骨格を持つため、性ホルモン受容体に結合し内分泌系副作用を引き起こします。
男性患者でみられる症状。
女性患者でみられる症状。
女性型乳房は最も頻繁にみられる副作用の一つで、減量または中止により通常は軽減しますが、まれに持続する例も報告されています。長期投与では乳癌発生リスクの症例報告もあるため、慎重な経過観察が必要です。
アルダクトンでは重篤な皮膚副作用として中毒性表皮壊死融解症(TEN)、Stevens-Johnson症候群が報告されています。これらは薬剤性過敏症候群の一種で、頻度は不明ですが生命に関わる可能性があります。
初期症状。
皮膚症状の進行。
これらの症状が現れた場合は即座に投与中止し、専門医への紹介が必要です。早期発見・対応により予後は大きく改善されます。
急性腎不全はアルダクトンの重大な副作用の一つです。電解質異常を伴うことが多く、以下の症状に注意が必要です:
腎機能障害のリスク因子。
予防策として投与前の腎機能評価、定期的なモニタリング、適切な水分管理が重要です。異常が認められた場合は速やかに投与中止し、腎機能回復を図る必要があります。
アルダクトンの消化器系副作用は比較的頻度が高く、患者のQOLに影響を与えます:
消化器症状(0.1〜5%未満)。
神経系症状(頻度不明)。
これらの症状は用量依存性があり、減量により改善することが多いです。特に高齢者では脱水や電解質異常による意識障害と鑑別が重要です。
肝機能への影響として、AST・ALT上昇、γ-GTP上昇などの肝酵素上昇も報告されており、定期的な肝機能検査が推奨されます。
投薬指導では、これらの副作用について患者・家族への十分な説明と、異常時の対応方法の指導が不可欠です。