デエビゴとベルソムラの違いと効果と副作用と半減期

デエビゴとベルソムラの違いを、作用機序・半減期・用量・相互作用・副作用の観点で整理し、患者背景に合わせた使い分けの考え方もまとめます。翌朝の眠気や併用禁忌まで含めて、現場で迷いがちなポイントを確認しませんか?

デエビゴとベルソムラの違い

デエビゴとベルソムラの違い:臨床で迷う5点
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用量設計(開始用量・高齢者)

デエビゴは通常5mg開始、ベルソムラは成人20mg/高齢者15mgが基本。処方設計の癖が違う。

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半減期と翌日影響

デエビゴは最終消失半減期が長めで、持ち越し眠気に注意。ベルソムラは中等度で相互作用の影響が大きい。

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相互作用(CYP3A)

両薬剤ともCYP3Aが重要。ベルソムラは強力阻害薬で併用禁忌が明確、デエビゴは併用時に2.5mgへ。

デエビゴとベルソムラの違い:作用機序とオレキシン受容体


デエビゴ(一般名レンボレキサント)もベルソムラ(一般名スボレキサント)も、いずれも「オレキシン受容体拮抗薬(DORA)」で、覚醒維持に関与するオレキシンA/Bの働きをブロックして睡眠へ移行させる薬剤です。
一方で、受容体親和性(Ki)の記載を見ると、デエビゴはOX1が8.1nmol/L、OX2が0.48nmol/Lと、OX2優位の設計が読み取れます。
ベルソムラはOX1が0.55nM、OX2が0.35nMで、OX1/OX2の双方に高い親和性を示すことが添付文書ベースで示されています。
現場では「同じDORAだから同じ」と捉えがちですが、OX1/OX2のバランスが異なるため、患者が訴える“効き方の体感”(入眠寄り・維持寄り、夢の鮮明さ、翌朝感など)に差が出たと感じるケースがあります(ただし、個体差・併用薬・服薬タイミングの影響が大きい点は前提です)。
また、両剤ともベンゾジアゼピン系のようにGABA受容体を直接増強しないため、筋弛緩・呼吸抑制・せん妄などのリスク設計は異なりますが、「翌朝の眠気」や「注意力低下」自体は普通に起こり得るので、運転・危険作業の指導は必須です。

デエビゴとベルソムラの違い:半減期と効果持続と翌朝の眠気

デエビゴの最終消失半減期(t1/2)は、反復投与14日目で2.5mgが50.6時間、10mgが47.4時間と記載されており、薬物動態として“長い”部類です。
ベルソムラは、日本人健康成人に40mg単回投与時のt1/2が10.0時間とされ、デエビゴより短いことが明確です。
この差は、臨床でよく言われる「デエビゴは持ち越し(翌日)に注意」「ベルソムラは相対的に翌日影響が軽いことがある」という説明の根拠になりますが、単純に半減期だけでは決まりません(年齢・肝機能・併用薬で曝露が変わります)。
とくにデエビゴは、食後投与でCmaxが低下しtmaxが遅延する記載があり、患者が「効き始めが遅い」と訴える背景に“食直後内服”が隠れていることがあります。
ベルソムラも同様に、食事同時/食直後は避けるよう注意されており、実務的には「就寝直前+できれば空腹寄り」を指導しないと、効き目の評価がぶれます。
翌朝以降の眠気・注意力低下は、両剤とも添付文書に明記されているため、「眠気が残る=薬が合っていない」と即断せず、用量、服薬時刻、睡眠時間(服用後に十分な睡眠を確保できたか)をセットで見直すのが安全です。

デエビゴとベルソムラの違い:用法用量と高齢者と肝機能

デエビゴは、通常成人に1日1回5mgを就寝直前、必要に応じて増減するが1日1回10mgを超えない、という設計です。
さらにCYP3A阻害薬併用時は1日1回2.5mg、また中等度肝機能障害では1日1回5mgを超えないなど、「状況で細かく減量して使う」前提が添付文書に組み込まれています。
ベルソムラは、成人20mg、高齢者15mgを就寝直前という年齢で分けた設計で、まずここが処方設計上の大きな違いになります。
またベルソムラは、強力CYP3A阻害薬(イトラコナゾールクラリスロマイシンリトナビル、ニルマトレルビル・リトナビル等)との併用が禁忌として列挙されており、「薬歴で拾って止める」タイプの落とし穴がはっきりしています。
デエビゴもCYP3A阻害薬で曝露が上がるため慎重投与が必要ですが、添付文書上は“併用注意”として可否判断+2.5mgへ、という運用です。
肝機能に関しては、デエビゴは重度肝機能障害が禁忌と明記されている一方、ベルソムラも重度肝機能障害の患者では血漿中濃度上昇のおそれがある旨が記載されており、どちらも「肝機能が悪い不眠」に対しては慎重な導入が必要です。

デエビゴとベルソムラの違い:相互作用とCYP3Aと併用禁忌

両剤とも主にCYP3Aで代謝されるため、相互作用の主戦場はCYP3A阻害・誘導です。
デエビゴは、CYP3A中等度/強力阻害薬(フルコナゾールエリスロマイシンベラパミル、イトラコナゾール、クラリスロマイシン等)併用時に、患者観察のうえ可否判断し、併用するなら1日1回2.5mgとされています。
ベルソムラは、強力CYP3A阻害薬が併用禁忌として具体名つきで多数列挙され、さらに中等度阻害薬併用でも1日1回10mgへの減量考慮が必要、という運用です。
つまり「併用薬が多い患者(とくに抗真菌薬マクロライド抗ウイルス薬)」では、ベルソムラは禁忌チェックが最優先になり、デエビゴは“減量で逃げられる場合がある”一方で、曝露上昇と翌日影響のリスク評価がより重要になります。
また、両剤ともアルコール併用で精神運動機能の相加的低下が記載されているため、睡眠薬一般の注意として「飲酒と一緒に飲む」は強く避ける指導が必要です。
併用薬の観点では、ベルソムラはP糖蛋白(腸管)への阻害作用を有し、ジゴキシン濃度上昇の可能性があるため、循環器薬を併用する高齢患者では“眠気”以外のモニタリング視点も持てます。

デエビゴとベルソムラの違い:副作用と悪夢と独自視点(非臨床情報)

デエビゴの主な副作用として、傾眠(10.7%)、頭痛(4.2%)、倦怠感(3.1%)が記載されており、まずは「眠気系」を想定した説明が安全です。
ベルソムラも傾眠、頭痛、浮動性めまい、悪夢、入眠時幻覚、睡眠時随伴症などが記載され、患者の“夢が変わった”訴えは薬理から想定内として受け止める必要があります。
ここで検索上位では触れられにくい独自視点として、「ベルソムラの非臨床(ラット)がん原性試験で網膜萎縮の発現頻度増加が観察され、薬理作用を介した光照射の増加が関与した可能性があり、ラット特有の変化と考えられた」という情報があります。
この種の情報は、患者説明に直接使うというより、医療者側が“何を根拠に安全性評価が組み立てられているか”を理解する材料になります(過剰に不安を煽らない運用が重要です)。
加えて実務的には、両剤とも「服用して就寝した後に途中で起床して活動する可能性があるときは服用させない」旨が明記されているため、夜間オンコール・介護・育児など生活背景のヒアリングが、処方適正化そのものになります。
相互作用・用量調整の根拠(電子添文ベース、用法用量/禁忌/相互作用/副作用)。
デエビゴ(レンボレキサント)電子添文:用法用量、CYP3A阻害薬併用時の2.5mg、半減期、主な副作用
ベルソムラ(スボレキサント)電子添文:併用禁忌の具体薬剤、減量、半減期、非臨床の網膜萎縮記載




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