フルタイドを常用量で使っても、1日176μgで6人中1人がコルチゾル低下を起こします。
フルタイド(フルチカゾンプロピオン酸エステル)は、小児気管支喘息に対する吸入ステロイド薬(ICS)として広く処方されています。 小児への標準用量は、フルチカゾンプロピオン酸エステルとして1回50μgを1日2回吸入投与です。kamimutsukawa+2
症状に応じて増減は可能ですが、1日の最大投与量は200μgが上限とされています。 これは成人の1日最大800μgと比べると4分の1の量です。子供の場合は少量で基本です。rad-ar+1
剤型は大きく分けて2種類あります。
参考)フルタイド 製品特性|医療関係者向け情報 GSKpro
2010年7月に「使用上の注意」の改訂があり、「4歳以下の幼児は確立していない」という一文が削除されました。 その代わりに「低出生体重児、新生児、または乳児に安全性は確立していない」と書き換えられた経緯があります。 法的な違反ではないものの、乳児への処方には特別な慎重さが条件です。
参考)フルタイド - 西藤小児科こどもの呼吸器・アレルギークリニッ…
スペーサー(吸入補助器具)の使用は、特に幼い子供へのエアゾール指導で中心的な役割を果たします。 6歳未満では呼吸の同調が難しいことから、エアゾール製剤使用時にはスペーサーを使うことが推奨されています。 これは基本です。
スペーサーには「マウスピース型」と「マスク型」の2種類があります。
| 種類 | 対象年齢の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| マスク型スペーサー | 乳幼児〜3歳頃 |
鼻と口を覆い、自然呼吸で吸入できる |
| マウスピース型スペーサー | 4歳〜6歳以上 |
唇でしっかりくわえ、能動的に吸い込む |
吸入後は口腔カンジダ症の予防のため、ブクブクうがい3回・ガラガラうがい3回を指導します。 うがいができない乳幼児には、吸入後に授乳や飲水で口の中の薬剤を流すよう保護者に説明するのが実践的です。 具体的な代替行動を伝えることが大切ですね。fukuoka-allergy+1
スペーサーの洗浄方法も指導に含めましょう。 静電気で薬剤が器具内壁に付着すると吸入量が減ってしまうため、定期的な洗浄と乾燥が薬効維持のために必要です。
参考)https://www.kyorin-medicalbridge.jp/product/ff/guidance/files/checklist_spacer.pdf
吸入ステロイドは全身性ステロイドより安全とされていますが、小児での長期・大量使用には特有のリスクがあります。まず知っておくべきは成長遅延の問題です。
参考)フルタイド100μgエアゾール60吸入用の効果・効能・副作用…
フルタイドを過量かつ長期間吸入した小児で、低血糖と意識低下・痙攣を主な所見とする急性副腎皮質機能不全の発現が報告されています。 重大な副作用です。
注目すべきデータがあります。
身長への影響という点では、最小有効量の使用が最も重要な対策です。 「コントロールできているから増量しない」ではなく、「コントロール良好なら減量を検討する」という視点に切り替えましょう。これが原則です。
参考)喘息の薬・フルチカゾン〈フルタイド〉の効果は?吸入のコツや注…
喘息症状の管理と成長への影響はトレードオフの関係になることがあります。 小児への長期投与では、少なくとも3〜6か月に1回は身長測定を行い、成長曲線での経過観察を保護者と共有することが現実的な対応といえます。askdoctors+1
成長遅延を回避するには、定期的な身長の変化モニタリングと早期の減量・中止の検討が有効とされています。
参考:副腎皮質ステロイドによる小児の成長障害について(日本製薬情報センター)
https://www.fpa.or.jp/johocenter/yakuji-main/_1635.html
正しい吸入手技の指導は、薬効を最大化するために欠かせません。デバイスによって手順が異なります。意外ですね。
ディスカスの吸入手順:
エアゾールをスペーサーなしで使う場合(推奨は7歳以上):
ディスカスは「吸う力で薬が出る」DPIであるため、一定の吸気流速が必要です。 吸う力が弱い幼児や急性増悪時には、スペーサー付きエアゾールのほうが確実に吸入できる場合があります。これは使えそうです。
参考:GSK公式「フルタイドディスカスの使い方」(くすりの使い方サイト)
https://kusurigsk.jp/ft/howto/index.html
発作時の対応は、日常管理時とは異なるアプローチが必要です。 小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2023では、「急性増悪(発作)時にICSを増量しないことが提案される」と明記されています。 増量が正解ではありません。
これは多くの医療従事者が直感的に「発作が強ければ吸入を増やす」と考えがちな部分に反します。 発作時の増量は推奨されておらず、むしろ全身性ステロイド薬の使用を検討する方向が提案されています。
また、見落とされがちなポイントとして、フルタイドの有効率データがあります。
| 対象 | 臨床成績 |
|---|---|
| 成人(臨床試験370例) | 有効率 79.7% |
| 小児(第Ⅲ相試験) | 有効率 82.4% |
| 小児(市販後調査) | 約 98〜100% |
小児の市販後での有効率が98〜100%という数字は、適切な指導の下で使われた場合の高い実力を示しています。 いいことですね。
一方、指導の質が薬効を左右します。 正しい手技ができていない場合、薬の大半がのどや口腔に沈着して肺に届かないことがあります。特に小児では保護者も含めた定期的な吸入チェックが、長期管理の成功を左右する鍵です。itoito-clinic+1
参考:小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2023(Minds)
https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00825/
参考:フルチカゾン(フルタイド)による急性副腎不全(NPO法人医薬品・治療研究会)
フルチカゾン (フルタイド)による急性副腎不全